164話 二度目のレベルアップボーナス
イビル・ラプトルを討伐して街を後にしようとしたが、召子とフェンが同時にレベル200を達成し、レベルアップボーナスの選択画面が表示されていた。
召子が興奮気味に画面を見ながら、レルゲンを見る。
「出ましたねレベルアップボーナス! フェン君も同時に! フェン君は……おぉ! また進化項目があるね! でも進化先が分岐してる……どうしよっか?」
召子がフェンを見ながら問いかけると
「クゥン?」
何を言われているのか分からないようで、フェンは聞き返すような声を上げていた。
「先にフェン君の進化先を決めたいと思います。レルゲン先生! ご意見をお願いします」
「進化先は、前肢の強化と、巨大化か。召子は今のフェンの強みはなんだと思う?」
「やっぱり一番は他の魔物よりも速いところですかね」
召子の答えにレルゲンも頷いて肯定する。
「そうだな。俺もフェンの強みは速度がとにかく出せることだと思う。仮に巨大化を選んだとして、室内戦闘の時には結局小さくなって戦う必要が出てくる」
「つまり、これ以上の巨大化はあまり意味がないかもしれないって事ですね」
「そうだ。前肢全体の強化なら今の大きさで速度を殺さずに戦える幅がきっと増える。さっきのイビル・ラプトルに与えた目潰し攻撃が強くなるイメージかな」
「なるほど……フェン君は大きくなるのと、前肢が強くなるの、どっちがいい?」
「クゥン、ワンワン!」
「フェン君も前肢でいいよって言ってますね」
「〈動物との会話〉か?」
「はい。今まではそこまで会話する機会がなかったので、断片的にしか伝わってこないことが多かったですけど、レベルが上がって理解できる言葉が増えてるみたいです」
「そうか、フェンもそれでいいと言っているなら、進化先は決まったな」
「はい。前肢の強化にします」
召子が進化ボタンを押すと一度目の進化と同様の変化がフェンに起こり始める。
前足全体の筋肉が強化され、鉤爪が今までよりもかなり巨大になっていた。
フェンは突然の変化に若干戸惑いながらも、新たな身体に慣れようと辺りを走り回る。
前足の強化で地面を蹴る力も強化され、さらに速度が増しているようにも感じられた。
「フェン君凄い! 本当にお話に出てくるような狼みたいになってきたね!」
フェンは召子に応えるように、遠吠えをして気分が良くなっているようにも見えた。
「さて、じゃあ次は私のレベルアップボーナスを見ようかな。前回は〈能力上昇率UP〉を取ったから、今回もそれに近いものがいいよね……
あれ? 私の能力値の数字が、なんか変です」
「どう変なんだ?」
「なんか全部同じ数字になっているんです、ほら」
レルゲンが召子のステータス画面を覗くと、全ての能力値が1000と表示されており点滅しつつMAXとも表示されている。
「これ、多分これ以上は上がらないと思うぞ」
「えぇ!? それは困ります。〈能力上昇率UP〉を取ったからかな。どうしましょう……?」
「レベルは上がっても能力値が上がらないのはかなり勿体ないな。〈能力上限突破〉がされていて上限に到達しているなら大量のポイントを消費するが、この〈能力上限突破の解放〉を選んだらどうだ?」
「一度押してみますね。ふむふむ、能力上限が1000から3000に増えると……取得しないとレベルが上がってもあまり強くなれないなら、これにしようと思います。本当ならもっと自分で考えてやった方がいいと思うのですが、この手のゲームは全くやったことがなくて……」
「ゲーム? 試合のことか?」
「いえ、なんでもありません。とりあえずレルゲンさんのご意見を毎回頼ってばかりで申し訳ないですが、今回は〈能力上限突破の解放〉にしようと思います」
「ちゃんと納得できているならいいと思う」
「はい、これでまたお役に立てる機会が増えてくるかと!」
ボタンを押してスキルを取得すると、上限突破だけのはずが一律で能力値が1500付近まで上昇している。
召子やレルゲンでもこの変化はわからず、いったんは幸運だったと受け止めて、レベルアップボーナスの取得は終了した。
「ねぇ、少し寒くなってきてない?」
街を後にしたレルゲンたちは、更に南方へと進んでいた。マリーが言うように少し肌寒い風が吹いてきていた。
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