126話 新たな武器と電光石火
各々が準備に奔走しているとあっという間に一週間が経過し、ドライドから新しい武器とフェン用の髪飾りが届いた。
中には手紙が入っており、召子が読んでいく。
「レルゲンの旦那には注文通り朱雀の素材を活かした片手直剣を。銘は炎剣・朱雀だ。黒龍の剣ほどの重量はないが、伝承の魔物だけあって重い仕上がりになっている魔剣だぜ。特徴は他にも、斬りつけた対象をしばらくの間焼く効果がある。斬った後に回復しようとするやつに有効だ」
「へぇ……」
「狼のフェンには髪飾りを――大きさがわからなかったから首輪みたいに大きさを縛らないものにしたぜ。効果は朱雀の加護。複合型の加護だな。要するに、天歩の加護と耐熱の加護だ。この加護の説明はいらないと思うから省くぜ。また必要になったらいつでも頼ってくれ。じゃあな」
炎剣・朱雀は刀身から鍔、柄に至るまで朱色の朱雀の素材をふんだんに使用した剣となっており、剣を振るうと刀身が温められ、熱を帯びる。
魔力なしでこの熱さになるなら、ブルーフレイムを付与したときと白銀の剣と組み合わせた時には、一体どこまでの熱を帯びるのかが楽しみになる一振りだった。
フェンの髪飾りは、カイニルも元々持っていた天歩の加護で空中の機動力が確保され、耐熱の加護も、熱の軽減が期待できる。
いい仕事をしてくれたドライドには、感謝を込めて次回挨拶をしに行くとして、レルゲンはヨルダルクの主要施設が示されている地図に視線を落として最終確認を行う。
「どこか一つを攻撃すれば、他の攻撃手段をすぐに実行してくるはずだ」
全員が頷き、続きを促す。
「その中でも一撃で破壊する必要があるのが、改造昆虫、疫病兵器、光の矢の三つだ」
ほぼ全部だが、ここを同時に破壊する必要がある。特に改造昆虫と疫病兵器は自爆覚悟で展開されれば、中央王国のみならず周辺国にも波及しかねない。
「光の矢は、俺の念動魔術で軌道を変更して研究施設に突っ込ませることもできる。これは時間的な猶予が他の二つよりかは少しだけあるな」
マリーがレルゲンの用意したものを見上げて
「一撃粉砕用に用意したのがそれってわけね」
「そうだ、急ごしらえだが、ディシアの光の矢を聞いたときに閃いたものだ。他に手がないか何とか考えたが、やはりこれが最善の手になってしまった」
一度咳払いをして、レルゲンが全員に頼む。
「俺からみんなにやってほしいのは一つ。人形兵隊部隊の足止めだ。これは予想だが、魔剣の量産は既に可能になっているかもしれない。人形の一体一体に魔剣を持たせている可能性すらある。まともに打ち合えば、間違いなくこちらが先にマインドダウンを起こしてしまう。だから後ろに引きながら一定の距離を取りつつ、俺が到着次第、殲滅戦に移ろう」
全体の打ち合わせが終了し、それぞれが連携の確認を行っている。
――作戦決行の日。
レルゲンたちは雲の上から潜行していた。
念には念を入れ、セレスティアの隠蔽魔術を全員にかけ、超速度でヨルダルクの施設へ向かっていた。
まず向かうのは人形兵隊部隊が格納されている施設。この研究施設は岩壁に隠されるように作られ、大量の導線が確保されていることから、一度に多くの人形兵隊が出撃できる地形だ。
ディシアは施設の位置確認役として同行しているだけで、戦闘には参加しない。レルゲンとディシアを除いた全員を岩陰に下ろし、動きがあるまでここで待機する。
「みんな、できるだけ早く戻る。それまで何とか持ち堪えてくれ」
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