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亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第三部 異世界召喚編

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118話 初めてのラストアタック

 戦闘が終わり奥地へ進んでいくと、一体強い魔力反応があった。


「セレス」


「はい。全員分にバフをかけます」


 間違いなく六段階目の魔物がレルゲンたちを待ち構えていた。周囲に茂る木々の種類が若干変わり、白い幹が特徴的な種類で、木からは緑色のツタのような紐状の茎が何本もぶら下がっている。


「少し戦いづらいがこれも経験だ。ちょっかいかけてみよう」


 全員を一度見て確認を取ると、レルゲンが青い炎から出来たファイアボールを弓に形状変化させ、六段階目の魔物に放つ。


 一発だけ撃ち込んだ火弓は、よほど熱かったのか一気にロンリー・コングの毛並みを焼いてゆき、半身を焼いたところでようやく鎮火に成功する。


「レルゲン、あの魔物は知ってるの?」


「あぁ、六段階目のロンリー・コングだ」


 全身が茶色い毛で覆われており、基本的には四足歩行だが、威嚇や攻撃の際には二本足で走って追いかけ回し、対象を引きちぎる攻撃を得意とする。


 また機動力も申し分ない。これほど周囲をツタで覆われている中だと、積極的にツタを利用した移動で撹乱してくるだろう。


「接近戦だと分が悪い。魔術戦でやろう」


 マリーとセレスティアが顔を見合わせて頷き、レルゲンは火の上位魔術であるブルーフレイム・アローズを展開させると、セレスティアが瞳に涙を浮かべながら声を漏らす。


「とうとうあなたも……上位魔術師の仲間入りですね」


 と小さな声で「ようこそ」とばかりに笑顔を見せた。レルゲンも笑って返すと、こちらの位置を把握したロンリー・コングが怒りながら走って距離を詰めてくる。


「グゥオオウ!」


 短い声を発しながら近づいてくるのは、レルゲンよりも倍は大きい巨大なコング。


 手頃なツタを見つけて左右に跳びながら移動し、レルゲンに的を絞らせないように、工夫しながら距離を詰めてくる。

 それでも十本ほど展開された青い弓が一斉に射出され、ロンリー・コングに命中した。

 しかし弓の軌道から紙一重で躱し、距離を詰めようとする、その表情はどこか得意げだ。


「――曲がれ」


 躱された弓矢が軌道を修正するように弧を描き、ロンリー・コングの肩口に二本の矢が命中し、毛並みを更に焼いた。


 焦ったロンリー・コングは接近を中止し、鎮火に集中すると、今度は準備が完了したマリーとセレスティアが合体魔術を発動する。


「「ユニゾン・テンペスト!」」


 テンペストよりも更に強力な暴風となり、燃えている箇所を叩いて消そうとしているロンリー・コングを襲う。

 そして、暴風に体勢が乱された瞬間に、レルゲンが既に放った残り八本の青い弓とユニゾン・テンペストが同時に命中する。


 深傷を負ったロンリー・コングは一度退却しようと逆方向のツタに手をかけ移動しようと踵を返した。


「ああ、それだな」


 とレルゲンが呟くと、飛び移ったロンリー・コングの体重を支えることなく地面に落下した。

 思い切り地面に激突したロンリー・コングは、未だに立ち上がれない状態が続いていた。


「召子! その聖剣で止めを刺してくれ!」


「は、はい!!」


 何とか立ち上がろうとしているロンリー・コングの背中から斬りつけた聖剣の一撃は深く、一撃でロンリー・コングを魔石へと還すことに成功する。


「いい踏み込みだったよ。魔物との戦闘は今回が初めてじゃないんだっけ?」


「はい、王国周りで少し経験があります」


 レルゲンが頷き、早速レベルアップしているか召子に尋ねる。


「〈オープン・プロパティ〉」


 召子が周りにも見えるように画面を展開すると、丁度レベルが40を示していた。


 今までずっとグレーアウトしていた〈魔物召喚 優先度:高〉が白く光っており、どうやら使えるようになっているように見える。


 またスキル欄にあった〈鑑定スキル:下〉が〈鑑定スキル:中〉に格上げされていることにレルゲンが気づき、何か変化があるか召子が確認すると、パーティメンバーのレベルと称号のような物が記載されていた。


 マリーのレベルは246〈加護の使い手〉

 セレスティアのレベルは270〈魔術の宝庫〉

 そしてレルゲンのレベルは???〈精霊騎士〉となっており、同様にウルカのレベルも???となっていた。


 このことを伝えると、マリーはセレスティアより下のレベルに悔しがり、それを見たセレスは


「モンストルム・ファブリカとの戦いで、私はマリーより場数が多いですから、きっとそのためですよ」


 とマリーを慰めるが、それよりもレルゲンとウルカのレベルが???になっていることに全員が首を傾げた。


「レルゲンはウルカ様と契約しているから、レベルが測れないのでしょうか」


 セレスティアが疑問をレルゲンに問うと


「恐らくな、それか鑑定スキルが上になる必要があるのかも」


 マリーがもう少し便利になったらなぁといった言い方で「これ、敵のレベルも分かるようになるといいわね」と漏らす。


「確かに、敵のレベルがわかれば、無駄な危険を排除できるからな」


「あの、さっき倒したロンリー・コングのレベルならここに書いてあります」


 よく見ると、討伐履歴のような欄があり、王国で倒した三段階目の魔物から順に記録されている。

 バイコーンはレベル100、ロンリー・コングはレベル150となっていた。


「二回のうち一回は止めを刺して40まで上がったなら、とりあえず目指すのはレベル100だな。召子にはさっきのバイコーンくらいなら一人で倒せるくらいになるのが目標にしようか」


「あの電気魔物を一人でですか……道は長いですね」


「そうでもないぞ? 多分だが数日レベル上げをすれば割とすぐだと思う。やっぱり〈勇者〉だとレベルが上がりやすかったりするのかな」


 レルゲンは召子の強さが数値化されている画面を見ながら、「便利だなぁ」と呟く。


「よし! 最初から根を詰めても仕方ないし、今日はもう終わりにしようか」


 帰りに水龍へ気になることを聞いておくとして、召子のレベルアップ計画はまだ始まったばかりだ。


 そして後日、いざ召子の〈魔物召喚 優先度:高〉を試す日がやってきた。

 場所は大事を取って、ナイトが基地を建設していた深域の平原で行われた。


 全員分のバフをかけ終えて、召子が魔物召喚のボタンを押すと、一つのポップアップが表示される。


『注意、一度実行すると再実行までに一ヵ月を要します。本当に実行しますか?』

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