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亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第三部 異世界召喚編

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106話 召子の中央王国入り

 数ヶ月の時を経て、最上召子は初めての中央王国まで辿り着く。

 自身が召喚されたヨルダルクと比べると、人の温かみが身近に感じられる国だと、素人ながらに感じていた。


 しかし、どうやってレルゲンに近づこうか考えていると、この聖剣を使った良い方法があることに気づく。


 街の至る所に剣闘大会の開催を知らせる張り紙がされており、他の国からも挑戦者が集まってきているようだった。


 張り紙をよく見ると参加資格が書いてある。

 Cランク以上の冒険者、またはCランク以上相当実力を示せる場合の二つの方法があるようだ。

 この際ギルドに登録しておけば、いざ自分だけで生活する必要が出てきたときでも、何とかなるかもしれない。


 帰ることよりも、この世界で生きていくことに思考が傾いた自分に気づき、ため息を零しながら耳に髪の毛を掛け直す。


「ようこそ! 中央ギルドへ」


 張り紙を持って、ギルドの受付嬢へ渡す。


「あの、私、この大会に出たいです。でも、まだギルドの登録をしたことがなくて」


 後ろで昼間から酒を煽っている連中が


「やめとけよ、最後まで勝ち進んだら、あの『国家戦力』のレルゲンと戦うことになっちまうぞ。まぁ嬢ちゃんがそこまで行けるとは思えんがな。ガハハハ!!」


 ギルドの受付嬢があまり気にしないように召子に話しかけ、ざっくりとした剣闘大会の内容を説明してくれた。

 ルールは【魔力による身体強化はあり。魔法・魔術は禁止。武器が壊れ、継続不能と判断された場合のみTKOが認められる。殺しは禁止、怪我程度なら問題無し】


 つまり穏便に済ませるなら、この聖剣で相手の武器だけを壊していけば、大会を勝ち上がること自体は難しくないようにも思えた。


「ありがとうございます。Cランク以上と示せるのはこの剣でも大丈夫ですか?」


「ちょっと拝見させて頂きますね」


 受付嬢が聖剣に直接触ろうとした時に、赤い電撃のようなものが発生し、触るのを拒否したような反応をする。


「なるほど。これは確かに面白い性能の武器かもしれませんね。少々お待ち下さい」


 受付嬢がその場を後にして、ギルド長室の方へ向かってゆく。召子がしばらく待っていると、耳の長い若そうな青年と共に受付嬢が降りてきた。


「これが言っていた、魔剣と思われる代物かい?レイン君」


「はい。私が触ろうと手を近づけたら、拒否するような反応がありました」


「どれ……」


 クーゲルが聖剣を触ろうと手を伸ばすと、今回も赤い電撃が走り、伸ばされた手を阻もうとする。


「なるほど、これは持ち主にしか触れることのできない特殊な魔剣なのは間違いないね。ドライドに見せたら喜ぶんじゃないかな。良いだろう。君を臨時でCランク以上の冒険者と認めることをボクが保証しよう。ついでにギルドの登録もしていくかい?」


「お願いします」


 別室に案内され、自分の背丈よりも五倍以上はある水晶に、手を触れるだけで測れる代物らしいが、実際に召子が触れるだけで変化は何も起きない。


 そして、少ししてからノイズが走りながらも、魔力ゼロ、魔術適性無しという文言が出てきた。


 それを見たレインが


「……おかしいですね。いくら魔力や適性がなくとも、こんな表記は見たことがありません……」


 と疑問の表情を浮かべたが、気を取り直して今度は系統が分かる紙を渡されて、丸まった紙を握る。

 すると、全てが灰色に変化した。


「灰色……ですか。しかも全て同じ系統ですね。魔力は無いのに系統だけ表示されるのもおかしな話ですが、一応系統の色だけは記載させて頂きますね。以上で登録前にする検査は終了になります。他に何かご不明点はございますか?」


「いえ、大丈夫です」


 レインからギルドカードを貰い、召子はその場を後にする。ヨルダルクから渡された旅の軍資金も、そろそろ底が尽きる頃合いだ。安めの宿で、かつ安全な所に寝泊まりしたかった。


「すみません、やっぱり宿の紹介をして頂くことってできますか?」


 レインが微笑みながら、値段と安全性を合わせた宿を地図で示してくれた。


「何から何まで、ありがとうございました」


「いえ、頑張ってレルゲンさんの所までたどり着いてくださいね!」


 軽く会釈を返して、ギルドを後にする。

 中央王国には三段階目の魔物がよく出ると聞いていたので、大会までに聖剣に慣れておこうと考えた。


 魔物退治をしてからというものの、あっという間に日数が経ち、ついでに懐も魔石を換金することで少しは潤った。


 ――大会当日。

 剣闘大会の会場は熱気で包まれていた。

 要人席には何人か座っており、中には騎士服を纏った者もいたため、この人がレルゲンだろうと直感でわかった。


「本日お集まりの皆さん! 大変長らくお待たせ致しました! それではこれより、中央王国主催の剣闘大会を開始いたします! 大会出場者も多くいらっしゃいますので、すこーしだけ巻きでやらせて頂きますが、そこはご容赦を。それでは第一試合、始めて下さい!」


 ――ワァァァアアアア!!!

 と一斉に歓声が沸き起こり、召子が出場する剣闘大会が幕を開けた。

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