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5 城での対応が…クソ面倒ですわ

 ガタリと揺れ、馬車が止まりました。

 そして御者により開けられる扉。


 その瞬間。


「シシリー、待ちかねたぞ!」


 は?何でいますの?

 今は公務のお時間ではございませんの?


 扉の向こう。

 そこに両手を広げて待ち構える「王太子殿下」の姿。


「カル様ぁーーー!」

「ちょ!危ない!」


 脇目もふらず、馬車から文字通り飛び出す(ダイブする)妹に、思わず手を出す。

 幾ら阿呆な妹とは言え、怪我でもされたら困りますわ!と言うか、後が面倒くさい!


「うぉ!」

「きゃーーー!」


 ほら、言わんこっちゃない。


「痛ったぁぁあい!」


 私の手が、飛び出す妹に空振りしたと同時に、妹は殿下まっしぐら…からの。


 良かった、たいした惨事にはなりませんでしたわ。


「はぁ、一安心」


 王族の方に怪我をさせた…なんて、洒落にもなりませんもの。

 とは言え、目の前では殿下の近侍により捕獲された妹の姿が。

 馬車を飛び出した妹は、殿下に衝突寸前、飛び出してきた近侍が盾となり衝突回避。

 近侍はその美しいお顔に頭突きをくらい鼻血が。


(……ある意味大惨事でしたわ)


「大丈夫ですか、イスカ様!」


 私も馬車を降り、急いで殿下の近侍であるイスカ様の元に。

 この方は、王宮内でも常識人で、いつも私に頭を下げてくださる方。

 毎度の事ですが、原因が妹なのは本当に申し訳ないですわ。


「大丈夫です…お気遣いなく…ミラージュ様」


 鼻を抑え、途切れるように言葉を発するイスカ様。

 事故とは言え、侯爵令息でもあるイスカ様に頭突きって…シシリー正気ではないわ。


「とりあえずですが、これで」


 私は外野に見られないよう、指先をイスカ様のお鼻に一瞬だけ触れ、回復魔法をかけました。


「…………!」

「(この事はどうぞご内密に)」

「(わかりました)」


 ハンカチをイスカ様に渡し、手を取り立ち上がって頂きます。

 その瞬間、忘れていた外野…兄からの発言に耳を疑いましたわ。



「ミラージュ!シシリーを突き飛ばすとは何事だ!」



 は?


 いつ私が妹を突き飛ばしましたか?

 手を出して助けようとしただけですが?


「お兄様…何を見ておいででしたの?シシリーは勝手に飛び出した挙句、イスカ様に頭突きを喰らわせましたのよ?私は助けようとしただけです。視力、また落ちたのではなくて?」


 目を細め睨みつける私に、ビクリと肩を振るわすお兄様。

 幼少期に、お祖母様から受けたお叱りを思い出したのかしら?


「だ、だがあれはどう見ても」


 兄がそう反論しかけた瞬間。


「やはりお姉様でしたのね!酷いわ!」

「ミラージュ!貴様、妹であるシシリーに何て事を!」


 え?シシリー、自覚無しですの?自業自得ですわよ?

 それに、誰かが自分を触ったら分かりますわよね?


「私は助けようとはしましたが、押してはいません。だいたい、妹の行動に突拍子がなさすぎて判断が遅れ空振りになりましたわ……それに、シシリー?触った触られてないの判断くらい、いくら貴女でも出来るでしょ?」


 ウルウル目でコチラを見る妹に、猛獣の如き怒りを露わにした殿下。

 ご丁寧に、妹は殿下により抱きしめられていますわ。


「知りません!私はお姉様に突き落とされたんです!」


 仕舞いにはワンワン泣き始めるシシリー。

 ここが何処だか頭から抜けてますの?

 王国の太陽…国王陛下が住う王城ですのよ?


 ほら、騒ぎを聞きつけた方々が集まって来られましたわ。


「イスカ、ミラージュ嬢、これは?」


 そんな中、たまたま通りかかったらしきイスカ様の父君。現ハルト侯爵である宰相閣下から声が上がりました。


 殿下や兄にではなく、ご子息と私に聞くあたり閣下の事がよく分かりますわね。


「いえ、妹が馬車からダイ…ぅゔん、飛び出したせいでイスカ様に頭突きを…それが何故か私が馬車から押した事になってしまいまして」


 困ったように小首を傾げると、イスカ様も閣下に頷いてくださいました。

 その瞬間、額に手を当て項垂れる閣下。

 えぇ、お気持ち痛いほど分かりますわ。


「分かりました。では、シシリー嬢は医務室へ。殿下は…まだ公務中のはず、速やかに執務室にお戻りを。イスカ…お前は後私の執務室に来なさい。いくら乳兄弟とは言え、殿下を甘やかしていい理由にはならん!」


 はぁ、地位のある常識人が通りかかって良かったですわ。


(本当に………クッソ面倒ですわ!)

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