リーゼロッテ 最後の任務
遂に最後の任務の日が来たわね。
姉さんからの呼び出しだから間違いない。
お城に入り姉さんの部屋に行く。
「姉さん、遂に終わらすのね?」
「ええ。一族最後の仕事として子爵家を綺麗にしてきて頂戴。暗殺だけで良いわ。資産の回収と文官の捕縛等は衛兵を派遣するから、当主関係者を殲滅ね。同時に騎士達も伯爵家を攻める。そちらは気にしないでね」
一族としての任務を終える事がようやく出来る。
絶対に犠牲者は出さないわ。
「意識していると思うけど、犠牲者は必要無いわよ。楽勝でしょう?」
「勿論、この仕事を終わらせて、後は中央が整うのを待たせてもらうわ」
王女様が私達の居場所を作ってくれるみたいですからね。
姉さんの悲願が達成される瞬間だわ。
仕事も調査任務になるでしょう。
「エリーゼはどうするの?エリーはお城で厳重に守るわよ?」
「最後ですから本人に確認するわ。終わったら報告に来るわね」
「ええ、素早くお願いね」
「勿論よ。それが私達じゃない」
「行ってくる」
「頼んだわよ」
私は軽く里まで走るとエリーゼに声をかける。
「エリーゼ、最後の任務どうする?エリーは姉さんが守ってくれるらしいわ」
「そうですね。一族の人間として最後だけは参加します」
「そう。じゃあ一緒に行きましょう」
「はい。お母様」
「全員集合!」
「はっ!」
姉さんに綺麗に粛正されて少なくなったわね。
残ったのは20人程。
でも、これで良かったのよ。
新しい時代に残せたのだから。
「最後の任務、子爵家の掃除よ。関係者の殲滅だけで良いわ。当然ですけど、犠牲者はありえない。無傷で終わらせます。襲撃に遭った事すら悟らせずにやるのが私達よ」
「はっ!」
「5人1班でそれぞれの領の子爵家を殲滅します。では予定通りに散開」
「はっ!」
「エリーゼ、私達は一番危険なアーベライン領よ。爆弾を流した馬鹿が里にいたからね。領内は全て持っているかもしれない。使う暇もなく、気が付かせる事も無く終わらせるわよ」
「はい。お母様」
「でわ、向かいます」
「はっ!」
私達に爆弾なんて関係無いわ。
気が付く事なく死んでいるのですから。
「私と娘で当主一族を粛正します。分家は任せましたよ」
「かしこまりました」
「エリーゼ、行くわよ」
「はい!」
今のエリーゼは既に私より強いのかもしれないわね。
動きに隙がほとんど無くなっている。
「いたわね、一気に行くわよ」
「勿論です」
「エリーゼ、行きなさい」
「はい!」
エリーゼも毒や麻酔を使う様になったのね。
麻酔で眠らせ毒で殺す。
声を出す事すら出来ないでしょう。
ナイフの届く距離なら即殺出来る様になったのね。
もう室内に突入している。
最後に娘の仕事を見学して終わりそうだわ。
本当に静かだわ。
足音も声もしない。
鳥の鳴き声が良く聞こえるわ。
私が入ると邪魔になりそう。
そろそろ出てくるでしょう。
出て来たわ。
本当に強くなった。
「終わりました。生存者はいません」
「お疲れ様。仲間が集まるのを待ちましょう」
これだけ強くなっても、まだ足りないのよね。
この国に姉さんより強者はいないと思う。
それでも万が一がある。
それを防ぐために地獄を歩く。
恐らくエリーは今のエリーゼよりも強い。
それが分かるからエリーゼも歩き続ける。
本当に悲しい事ね。
でも、悲しい連鎖もやっと終わらせる事が出来る。
姉さんが色々考えて改善しても、粛正しても終わらなかった。
娘達の代で終わるのは嬉しい事。
でも、私達の代で終わらせたかった。
全てが綺麗に整った後、娘達の仲が戻れば私としては最高ね。
「終わりました」
「お疲れ様。では里に戻ります」
里の粛正をせずに最後の任務をしたら本当に危なかったわ。
一族で殺し合いをする所だったのだから。
犠牲を貴族のせいにして戦いを長引かせる。
一族で殺し合いをしていたら終わらないわね。
貴族がここまで増長したのは王族の責任だけど、一族の責任もある。
暗躍して有能な人間を殺していたのでしょう。
だから姉さんが城に入って止めた。
結果だけ見れば全て姉さんの思惑通り。
ただ、王女様の改革の規模が大き過ぎたのは想定外。
でも嬉しい誤算でしょう。
新しい時代を感じる事が出来るのだから。
貴族がいなくなって終わりじゃない。
違う国の形を娘達が見せてくれるのだから。
私はお城に入り、姉さんの部屋に行く。
「終わったわよ。姉さんの思惑通りにね」
「そうね。娘が孤児院の改革をするまでは、思惑通りだったわ」
本当に面白い物ね。
孤児院の改革が王国の改革まで発展するのだから。
姉さんが思惑を外されて満足そうなのは初めて見るわ。
姉さんの思惑を外した人は今までいないのだから余計に面白いわ。
綺麗にして終わりです。




