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エピローグ
とある森の中にある廃墟に、冬の女王様の姿がありました。かつてここにはある国の都があり、たくさんの人々が暮らしていました。木々の隙間からこぼれる陽の光を浴びながら、冬の女王様は大きく息を吸い込みました。
生まれ変わりというものが本当にあるのかどうか、冬の女王様は知りません。冬の女王様にとって、死は決して訪れることのないものだからです。それでも冬の女王様は、それを信じて待ち続けています。だって、必ず会いに来ると言ってくれたから。大好きだと、そう言ってくれたから。
「さて、行こうか」
冬の女王様はゆっくりと歩き始めました。もうずっと昔、名もない楽士が作ってくれた優しい歌を口ずさみながら、冬の訪れを待つ場所へ。冬は多くの人々にとって、辛く、厳しい季節です。それでも人々は、冬に備え、冬に耐え、そして冬に楽しみを見出すのです。そんな人々のたくましさを、冬の女王様は愛おしいと、そう思うのです。