ヘレナの特訓
ヘレナは路地裏の道をどんどん進んで行く、道中怖いゴロツキや浮浪者がいたが全員がヘレナに挨拶するので彼らに対する怖さは半減した。
ヘレナに知り合いなのか聞くと、少し自分の顔が広いんだと言われた。
いったいこの人は何者なんだ。
そんなことを考えていると誰もいない空き地に着いた。
「さぁ、ここで剣術を教えてやる。お前の流派は何だ?」
「はい、天心一刀流です」
「天心一刀流か、分かった。お前の剣のレベルを見たい。打ち込んでこい」
「は、はい」
この人俺のこと舐めてるのかな?
そこら辺のやつよりは俺強いんだけどな。
まぁ、考えるのも面倒くさいし本気で行こう。
俺は腰に差していたカミルを抜き、ヘレナも自身の日本刀を抜く。
その日本刀は綺麗な漆黒色で何か惹きつけられるようなオーラを発する。
これは本気で行かないとまずいな。
俺はヘレナの元に全速力で駆け、日々の修行で培われた剣技を見せていく、左、右、フェイントを入れて下段からの切り上げ。
しかし、すべての技は簡単に避けられていく。
なんだこの人の反射神経は常軌を逸しているだろ。
そんなことを考えているとヘレナは剣を鞘に戻した。
何かよくわからないがここがチャンスだ一気に決める。
俺はヘレナに対して一気に距離を詰め上段から一気に斬り落としたその時。
「『壱ノ型抜刀』」
そう呟くと彼女は目にも留まらぬ速さで抜刀を繰り出し、俺の喉元を狙ってきた。
やばい、死ぬ!っと思った次の瞬間、刀は俺の喉元近くで止まった。
俺はカミルを手から離すと手を挙げ呟く。
「こ、降参です」
「よし!私の勝ちだな!」
なんだこの人大人気なさすぎるだろ!
どんだけ強いんだよ!
ふざけんな!
「でもなかなか良かったぞ、その歳にして剣を振り抜くスピードは申し分なかった。それならば『天斬』もできるのだろう」
良かったって俺のぼろ負けですけど。
「は、はい。ありがとうございます。あと『天斬』は使えませんよ」
「何?それぐらいの剣筋なら『天斬』は打てるのだがな。まぁ練習不足だろう。さぁ!まずは『天斬』の習得から行うぞ!」
「は、はい!」
「まず、『天斬』打つ時に大事なことは剣の刃の部分に鋭利なものが付着して、それが剣を振りかぶった時に飛んでいくイメージをすればいい。こんなふうにな。ふんっ!」
そういうとヘレナの剣先から『天斬』が発射され建物を切り刻んていった。
複数の悲鳴を聞かなかっとことにして。
それから大会まで2週間彼女にみっちり剣術を教わることとなった。




