第23話 討伐終了
私が光属性魔術『光線』を高出力で放ってすぐ、緑龍の隠れていた巨体が明らかになった……かと思ったら、すぐドスンと音を立てて倒れた。即死である。
試験が始まって、まだ10分も経ってない。早く試験が終わって何よりだ。試験始めはいつ帰れるか不安だったけど、早くこいつを見つけることが出来て本当に良かった。おかげでさっさと帰れる。
「よし!試験終了!おっ?巻き込みで何体か大猪も死んでるな?今日は焼肉パーティーかなー。」
今日の晩御飯を想像すると、思わずヨダレが出てしまった。緑龍は滅多に市場に出回らない高級食材だし、大猪も他の肉と比べて少し臭みはあるが、香草で臭み抜きをすれば脂が乗った美味しいお肉でしかない。さて、血抜きをせねば。
「お、お前…緑龍狙ってたのか!?」
緑龍の血抜きをしている横で、オルソさんが驚いた顔でこちらを見ていた。
「そうですよ?だって、討伐した獲物は貰って良いんでしょ?そしたら自分が得する魔物を狙いますよ。」
「そりゃそうだが、あれは見つける事すら難しい特級クラスの魔物だぞ!?」
「え?特級な訳ないじゃないですか。あんな雑魚。」
オルソさんは興奮気味で、いかに緑龍の狩りが難しいか語ってくるが、私にとっては狩りが楽で色んな意味で美味しい獲物でしかない。
実はこの緑龍、巷では狩るのは難しいと言われているが、きちんと手順を踏めば簡単に倒せるのである。
まず一つ目。『探索』で緑龍の大好物である大猪の群れを探します。
二つ目。その群れの近くに単独でいる生き物を探します。
ここでのポイントは『探索』の精度を上げること。緑龍は『気配遮断』『魔力隠蔽』『音遮断』等、あらゆる隠密系魔術を駆使するので、『探索』では魔物として捉えられないのですが、精度を上げることで何か生き物がいることくらいは分かる。
三つ目。『探索』で位置を確認したら、その生き物の背後に周ります。この時、きちんと『気配遮断』『音遮断』等の隠密系魔術を掛けましょう。
四つ目。背後からこっそり『熱源感知』の魔術を自分にかけます。すると4~5mくらいの巨体が隠れているのが分かるようになります。
五つ目。熱源が一番高温の所、つまり心臓を高威力魔術で貫きます。これは別に頭でも良いです。
これで狩り終了。
一応、オルソさんにも説明したが、
「待て待て。まず緑龍の隠密系魔術を見抜ける『探索』や『熱源感知』が出来る魔術師、なかなか居ないからな!?それに奴は龍種の中でも一番気配に敏感なんだぞ?それに対応出来る隠密系魔術が出来る魔術師もなかなかいねーよ。どんな指導受けたらこんな子になるんだ…。」
と、言って頭を抱えてしまった。しかし、ふと我に返り、通信機で学園から遠隔で試験を見守っていた先生方とやり取りを始めたようだ。
さて、緑龍の血抜きは終わったぞ。次は大猪の血抜きだな。お、2体倒せてるな。良きかな、良きかな。
私はオルソさんが先生方とやり取りしている間に、大猪の血抜きを手早く済ませた。
「オルソさん、試験はもう終わりですよね?もう帰りたいのですが。」
とりあえず、狩った獲物の血抜きが終わり後は帰るのみになり、オルソさんが先生方との通信を切った時点で声をかけた。
「……あぁ、色々言いたいことは多いが、試験は終わりだ。ご苦労様。今から転移魔術を起動させるが、狩った獲物はどうする?さすがにそのサイズをこの転移魔術で運ぶのは無理だぞ?」
そう言って、緑龍や大猪の方に少し困った様な視線を向けた。
「今から亜空間に仕舞うんで大丈夫ですよ。」
オルソさんにそう伝え、私は亜空間に獲物を全部入れた。亜空間に物を入れている間はその物の量や大きさに応じて魔力が減っていくのだが、一方でその物の時間は止まるので食料保存には便利な空間魔術である。
「…普通そんな容量の物入れられないんだがな。」
「皆から言われますけど、私、保有魔力量多いんで。」
高等部入学時点で魔術師の平均保有魔力量の3倍以上はあったからな。師匠の指導の賜物である。今はどれくらいの保有魔力量かは知らんが。
「そうか……もういい。もう俺も疲れた…。では学園へ戻るぞ。」
オルソさんは少しゲッソリした顔でそう言った後、転移魔術を起動させた。こうして私達は学園へ戻るのだった。




