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友と妹と嗤い顔

今賀と関わったことにより日常が崩れた敦。

朝のことを春樹に言えないもどかしさ。

そしてリア充妹、八重登場。

「で?敦、あいつとはどういった関係で?」

朝のホームルームが終わった途端に春樹がニヤつきながら聞いてきた。

「べっ別に⁉︎なんでもないけど⁉︎」

ああ…こんな言い方をしたら余計に変な誤解をされてしまううう!

「ふーん?」

そういった春樹の目が一瞬冷たくなったような気がしたが、すぐにいつもの顔に戻りこう言った。

「いやー、そんな言われ方したらより一層気になるなあ」

ヤバい!出来る限りこいつには嘘をつきたくない…でも!

これは言えないだろう⁉︎

僕が一人で焦っているとはつゆ知らず。

今賀はホームルームが終わってからずっと、イケイケ系の女子達の質問攻めにあっていた。


「ねぇねぇ!どこらへんに住んでるのぉ?」

「好きなタイプとかある⁈」

「今日放課後暇ぁ?」


などなど、

僕だったらこれからの人生で一度もそうなることは無いであろう場面に出くわしていた。

が、当の本人は慣れているのかうまい具合に全てかわしているようだった。


畜生…思い出すだけでも腹が立つ!

なんであんな!

しかも男に初めてのキスされなきゃならないんだ!

「敦ぃ」

「あっ⁈なんだよ春樹」

「顔すっごい赤いけどなんかあった?」

「へっ?」

僕はすごい勢いで教室を飛び出し、廊下を走り抜け、トイレの鏡を見た。

そこに映った自分の顔は、今まで見たことがないほど真っ赤になっていた。

「なっ!」

僕はその顔を見た瞬間今朝の風景を思い出してしまった。

益々顔が赤くなる。

これは違う。

決して照れているとかではなくて、初めてのキスを奪われて腹が立っているだけだ。

照れているとかでは断じてない!


「ビックリしたー。本当何があったんだよ?」

鏡の前で顔を両手で覆い、うずくまった僕を見て、遅れて追いついた春樹が驚く。

顔から熱が消える事もなくただただ赤くなった。

(これは照れてるんじゃなくてまさか恥ずかしいのでは…?)

そんなことを思いながら、うずくまっているわけにもいかないので立ち上がる。

「ごめんごめん。からかいすぎたな」

そう言って春樹はとても申し訳なさそうな顔をした。

ああああ春樹は何も悪くないのに謝らせてしまったああああ。

「いやいや!こっちこそごめん。ちょっとあのーその〜驚いちゃって、なっ⁉︎春樹は別に悪くねえし!」

「?おっおう」

「まっまあまあ、とにかく教室戻ろう!」

「そっそうだな?」

春樹は、どうして赤くなったのかまだ分かっていないようだった。

このまま気づかないでくれ!


****************


教室へ戻ると女子がちょうど今賀に禁断の質問をしているところだった。

「あっ!てかさぁ、今賀くんさぁどこで鶴賀なんかと知り合ったの?」

「本当だよねー。あんなキモオタと今賀くんじゃ釣り合わなぁい」

ぐっ!女子からのキモオタ発言は少し傷つくぞお!

僕は決してMじゃないからな!

「んっ?ああ今日登校する時に電車で」

なんで質問全部かわしてたのに答えたんだよあいつ?

「ええぇ?本当にそれだけぇ?」

「んーでも電車乗ってる時にキ…」

「どぅわああああっ!」

僕は思わず今賀の口を塞いだ。

えっ?今こいつ言おうとしたよね?キスって言いかけたよね?

「ちょっとぉ。いま今賀くんと話してたんだけどぉ?いきなり何よぉ、うっさいわねぇ」

そりゃそうだ。そうなるよな。

「あっ、あはははは…」

やっべえこいつ何言うか分かんねえな。

「今賀君ちょっと良いかな?」

僕は返事も聞かずに今賀を廊下まで引きずり出した。


****************


「ちょっとお前何言おうとしちゃってんの??」

僕は今賀を問い詰めた。

でも多分こいつはそんなこと気にもかけていないのだろう。

「は?何があったか聞かれたから電車でキスしたこと言おうとしただけだろ?」

こいつ飄々と、とんでもないこといいやがった。

「だからそれを言う必要が無いだろうが!何も無かったって言えばいい話だろう⁉︎」

「何も無かった?俺は2回も壁ドンされたんだぞ?」

「だからそれを言うなって!」

そんな言い合いをしているとチャイムがなった。

「とりあえずお前今日のことは忘れろ!今日は何も無かった!ただ電車で会っただけ!わかったか⁉︎」

教室に入りながら出来る限り小声で怒鳴る。

「お前に指図される筋合いはねえけどな」

本当にこいつ無愛想だな…

…にしても厄介な奴と関わってしまった。

席に着くと、春樹がとても心配そうに大丈夫か聞いてきたから大丈夫と言った。

親友に心配かけさせるわけにはいかねえからな…

はあ、これからどうすればいいのだ?


****************


学校が終わり、春樹と共に帰路につく。

あぁ、今日は本当に散々な日だった。

早く行くのはもう辞めた方が良さそうだ。

「敦、大丈夫か?今日はなんか一段と疲れてるように見えるんだが…」

ああ、心優しき親友よ…

僕の心配をしてくれるのはお前だけだよ…

「だっ大丈夫だぞ!ただ…いろんなことがありすぎて疲れたというか…」

電車の中には、僕達のような学生は少なかった。


僕は漫画研究部に所属しているが、週3なので、今日は休部日だった。

春樹は、部活には入っていないが、図書委員会に所属している。

だから、2人共部活と委員会が無い日は、一緒に帰ることになっていた。


「そう言えばおばさんとおじさん、今日も夜遅いのか?」

春樹は少し考えて

「どうだったかな…昨日は結局帰って来なかったからな」

春樹の両親は共働きで、帰って来る時間がいつも遅い。

帰って来ないで泊まっている事も結構よくある。


「まあ、帰って来ない様なら、また僕んちに飯食いに来いよ!母さんが『春樹君栄養偏ったりしてないかしら』って心配してるからさ」

春樹の両親の帰りが遅い日は、うちで一緒に晩御飯を食べる。

だが、春樹は休日だと起きるのが遅く、昼過ぎまで寝て朝昼のご飯を食べない日が多々あった。

それを知った母は、春樹の体調ばかりを気にしている。


「いつも悪いな。おばさんの料理美味いからなあ」

そう言いながら、春樹は少し下を向いた。

車内の空調は、少し効きすぎていると思うほど、寒く感じた。


「じゃあまた後で」

「ああ」

春樹はいつもの笑顔で家に入った。


****************


春樹とは家が隣同士だ。

だから、家族ぐるみで仲がいい。

春樹が晩御飯を食べに来る度に、母さんが自慢の腕によりをかけて作る。

母さんは家族も認める料理の腕で、この歳で毎日晩御飯を楽しみにしてしまうほどだ。


「ただいま」

玄関を開けると、丁度妹の八重がバタバタと階段を降りて来ていた。

…なんだあの大量の箱は。


「あっおかえりー」

「ああ…お前その箱は?」

八重は最後まで聞かずに、リビングへと入っていった。

俺も付いて行くと、驚きの光景に目を奪われた。

「おっお前…これはどう言う事だ…」

そこには、大量に並べられた靴があった。

「ちょっと春休みのバイト代で買っちゃった」

いやいやいやいや、これはちょっとには入らないだろう…

しかし、使い古した様なものも見える。

元々買ってあったのもあるのか

というか、春休みのバイト代全部これにつぎ込んだのか…?

「そっ、そうか…ところで何で並べてあるんだ?」

「んー?ちょっと明日のデート用の靴をどれにしようかなと思って」

八重は世間から見たら、リア充と呼ばれる人間に分類されるだろう。

彼氏がいて、クラスでも中心に立つ人物だ。


だがこいつには、クラスメイトは知らないであろう秘密がある。

「あっそうだ、あつ兄。今度のイベントお使い頼んでもいいかな?ちょっと私のサークル混みそうだから」

何を隠そうこいつもオタクである。そして本を出すほどの腐女子である。

某イラスト投稿サイトでも、常に上位に入るほど人気だ。

ちなみに彼氏は、イベントで出会ったレイヤーだ。

前に見たことがあるがイケメンだった…

元がいいと色々出来ることはよく分かったが、自分との差が悲しくなるほどに…


そして今気づく。

山積みにされた本たちを。

「お前これ、なんだ…?」

「んー?漫画用の資料集とか、そのーホモ漫画とか…別に?春休みのバイト代全部無くすくらい買ったとかそんな訳じゃないよ??」

ああ…そういうことか…

僕は呆れ顔でため息を吐く。

そして邪魔だと追い出された。

解せぬ。

そんなことを考えながら、二階に上がろうとした時に八重が

「今日はお母さん7:30過ぎるって!」

と言った。

そういえば今日はパートの日だったな…

ちなみに、八重は母さんにオタクと言うのは知られているが、腐女子と言うのは隠している。

当たり前と言えば当たり前だが…


****************


「今日の飯、20:00くらいでいいか?」

「おう!」

春樹とそんなやりとりをしていると、ふと飲み物が欲しくなり一階に降りた。

もうそこに八重は居らず、代わりに二階から「終わんないいいいいいいいいいい」という声が聞こえてきた。

課題が終わらないのか、もしくは原稿が終わらないのか…

冷蔵庫の中には麦茶しか見当たらなかった。

なんでジュースも炭酸も無いんだ…八重の仕業か…

めんどくさいが、今は炭酸が飲みたい。

母さんに頼むのも一つの手だが、まだ夕方だ。

帰って来る時間までは一時間ほどある。

しょうがない…買いに行くか…


****************


この時期だと、18時はもう暗い。

少し見える太陽が今にも沈みそうだ。

あぁ…早く買ってこよう。

遠くまで行くのは何だし、すぐそこの公園に行こう。

確か自販機があったはずだ。


まだ子供の声が聞こえる。

もうそろそろ帰った方がいいんじゃないか!?

親が心配するぞー!

思うものの口には出さない。

そんな度胸はないッ!


自販機に着いた。

もう疲れた…体力どんだけないんだよ…

「あっ鶴賀じゃねえか」

ん?確かに鶴賀だがどういうことだ?

いきなり苗字を呼ばれて、驚きながらに顔を上げるとまたもや驚いた。

「なっ…!なんで今賀がここに…」

「俺の家すぐそこだし」

思わず財布を落とし固まる。

今賀が何か言っている気がする。

「あっ!幻か!そうだよなー!今賀がここに居るわけ無いもんなー!」

大声を出しながら財布を拾う。

「いや幻じゃねえけど?」

そう言いながら今賀もしゃがむ。

顔を上げると目の前に今賀がいた。


「うっ嘘だああああああああああああああああ‼︎」

「いや、本当なんだけど…」

なぜ動じない!

僕は驚きしかないぞ!

「信じない!俺は信じない!今賀がご近所とか信じない!」

「えっ⁉︎信じろよ!あっこれなら…」

今賀の唇が僕の唇に触れる。

唇を離すと、今賀が笑った。

僕は嗤ったようにしか見えなかったが。

「うわあああああああああああ!」

僕はそう言いながらその場を後にした。

今賀は「また明日な!」と叫んだ。

ああ、明日よ。

来ないでくれ…

書き方が不安定なのは、書いてる日が違ったりするからです。

多分。

とりあえず、王道な感じでやってこうと思います。

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