難しくて、嫌になって、それでも心は理屈じゃないから、変わった先は良いモノだと信じてきた
『激戦炸裂ホビースピリット!!』はこの下スグ!!
サイトはそのままだ!!
※この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名などはすべて架空のものです。
玩具などで叩く、投げつけるなどの行為は大変危険です。
玩具の使用は用法を守り、安全な遊びを心がけましょう。
「――お前は、始めっからこうするつもりだったのか? 真奈。」
陽が沈み、暗くなり始めた大通り脇の歩道を歩く水乃真奈、針嶌玲、戸松巴心、虹衣雫祐佳の4人。玲の問いかけに、真奈は小さく首を横に振った。
「ううん…。アタシも初めは、ただファイトをしてシオンに仲が良かった頃のことを思い出して貰おうって思ってた。 …でも。」
真奈は俯き、溜息を一つ吐く。
「アタシを真っ向から拒絶するシオンには、幾ら魂をぶつけあっても何も伝えられなかった。」
「だから…、か。」
「うん、せめてシオンには… 『知って欲しかった』んだ…。」
そう言うと、真奈は再び口を閉ざした。陽の沈んだ暗い街の大通りには、真昼間の活気だった人の声に代わり、車の走行音だけが灰色の臭いと共に駆けまわる。
あれから… 真奈がシオンに背を向けて歩き始めてから、シオンとラブアワーハンズの面々がどうなったのかを真奈は知らない。あの場に居辛くなって、シオンに背を向けてからは一度も振り返ることなくそのまま正門を潜り学園をあとにし、そして今に至る。
「ライヴの後、ラブアワーハンズの人達と初めて会ったとき、何となく『いい奴ら』だなって思った。」
「うん、皆、シオンさんのことを気にかけてた。優しい人達だったよね。」
巴心は小さく頷きながら、ラブアワーハンズの面々の顔を思い浮かべた。
「アイツらの優しさは嘘じゃない。それをシオンに伝えたかったんだ…。」
そう言って遠い眼を空に向ける真奈に、玲は歩み寄った。
「でも…。 こんなこと言うのは変かもしれねぇけど…。 お前が『そこまでする義理』はあったのか? シオンは、お前が幾ら話しかけても拒絶してばっかだし、ファイトの時は、怒りをぶつける様に攻撃して来るだけだった。そんな奴の為に、お前がわざわざシオンを精神的に追い詰めるような汚い事言って…、『悪役』になってまでアイツに仲間の優しさを気付かせることなんてなかったんじゃねぇのか?」
「ほら、アタシいつも言ってるじゃん? 『友達は大切にする』って。」
「でも、シオンはお前の事を友達だなんて欠片も思ってなかったじゃねぇか。それに、お前が打ったその『芝居』の所為で、シオンの中ではお前は完全に『敵』って事に…。 いや、それだけじゃねぇ…。 ラブアワーハンズの奴らからも、お前は『シオンを傷付けた敵』って思われる事になったんだぞ…! お前、シオンとダチに戻りたかったんだろ? でももう、こうなったら無理じゃねぇか…!」
「…分かってる! 分かってるから、そんな風に言わないでよ…。」
「悪ぃ…、 でも…。」
玲の眼は僅かに憤っていた。 確かに真奈のやったことは間違いだとは言えないし、誰にでも出来る事ではない。しかし、彼女の自己犠牲的な行動が、腑に落ちなかった。彼女には傷ついてほしくなかったのだ。
「玲…。」
真奈は真っ直ぐ前を見て歩きながら声を発した。
「――アンタの言ってる事……… 確かに間違ってはない…。 多分。」
その思いも寄らない一言に、玲、巴心、彩祐佳は無言となる。
「確かに、アタシとシオンはもう友達じゃないから『友達は大切に』っていうアタシのポリシーには当てはまらない。それにもし、アタシのした事でシオンが大切な事に気付いたとしても、それでシオンのアタシに対する見方が変わることはない。 『理屈的に考えれば』アンタの言う通り、アタシがこんな事する義理なんてないと思う。
でもさ… 人って…
理屈の中だけで生きてるワケじゃないじゃん?」
真奈は、顔に微かな笑みを形作る。
「シオンにこれまでどんなことがあったのか、どうしてあそこまで人を疑って、拒絶するようになったのかアタシは知らない。でも、人と繋がれないシオンだからこそ『今持っている繋がりまで失くして欲しくなかった』んだ。だから、あんなにステキな仲間がいる事に気付かないシオンを見てらんなかった。 それで、強く、衝動的に、『シオンに気付かせたい』って思ったんだ。」
そこまで聞いて、玲は問うのを止めた。真奈は、自分が引き起こした結果を全て受け入れている。そこには既に他人がどうこう言う余地はなかった…!
人は少しでも上手く行動するために考える。深く考えれば考えるほどに、『より良い行動』が導かれる。
そして、より良い行動をより効率的に導くためにシステムが生まれ、それに合わせてより良い行動と合理的行動は同義となる。
合理は確かに有用ではあるが、それだけでは人間から離れてしまう。
合理を求めるのが人であるなら、心に従うのも人。感情を持ち、衝動に突き動かされるパワーがあるから人はここまでこれたのかもしれない…
――『理屈の中だけで生きてるワケじゃない』…、か。
自分の衝動を信じる勇気と、結果を受け入れる覚悟。その二つを持つ水乃真奈だからこそ言える言葉なのだろう。玲はゆっくりと目を細め、街頭を見上げた。
すると、不意に真奈は小走りで前に出て真心、彩祐佳、玲の方を振り返った。 顔には先程と変わらない笑みが貼り付けられている。
「…アタシは自分のやった事に後悔はしてない。それは皆のお蔭なんだ。『シオンにアイツらがいるように、アタシには皆がいる…。』そう思って割り切れるのは、皆が居てくれるから…。 ――だからね、…ありがとう。 これだけ、最後に言いたかったんだ。 アタシは…、今から買い物して帰るからここで別れるね。 ってなワケで、みんな! また明日ッ!」
言い終わるが早いか、真奈は笑顔のまま前に向き直り、小走りで去っていった。
「真奈…、無理してるよね。」
「私たちにもそれがわかる。その『理由』だってわかる。」
「でも、これはもう仕方ねぇよ…。」
真奈が見えなくなった後、巴心、彩祐佳、玲は溜め込んだ重い息を吐き出せなかった。当然だ。 明るい声も最後に見せた笑顔も、全て真奈が無理に作ったものだと分からないハズがないのだ。
自分が覚悟して招いた結果とはいえ、やはりそれは容易に受け入れることが出来るものではなかった。人と人との繋がりを人一倍大切にする彼女だからこそ、それを自分から手放したことを、割り切ることは難しかったのだ…。
――だから、 自分達だけはどんなことがあっても真奈の友達であり続けよう。
3人は静かに夜空に誓った。
……………………
――眠れない…。
彼女は、いつまで経ってもやってこない眠りを求め、はっきりとした意識のまま本日何度目かの寝返りを打った。
…巴心、彩祐佳、玲達に心配を掛けたくなくて、笑顔が崩れる前に別れて自宅のマンションまで急く様に歩いてきた。そして、諸事等を済ませいつもより早く寝床に着く。
…ここまではよかった。 だが、眠ることが出来なかった…。心身共に疲れているのに眠れないのだからタチが悪い。眠りに近付こうと眼を閉じると、今日の出来事が瞼に映り込み心の安静を妨げる。
『本当にこれで良かったのか?』 …その問いが頭の中で何度も繰り返される。
『これで良かったんだ。』 …自分にそう言い聞かせ思考を止めようとする。
『もっと色んな話をしたかった。』 …シオンの顔と、叶わなかった願いが何度も思い描かれ、目頭が熱くなる。
兎に角早く寝たい。 寝て、朝起きれば、このような暗い気分も幾らか晴れるハズだ。断続的に涙が滲み、鼻が詰まり、ティッシュ箱に手を伸ばす。鼻をかみながら『羊でも数えてみようか?』と思い立ったその時・・・
『~♪♪』
不意に聞き慣れた音楽が耳に滑りこんできた。 枕元に置かれた携帯電話が、持ち主に電子メールの受信を知らせようと着信メロディを響かせていたのだ。
――何? こんな時間に…。
胸中に愚痴りつつ、携帯電話を手に取り操作を始める。新着の電子メールを開こうとした瞬間、真奈は固まった…!
それもそのハズ…
「『シオン』…!?」
それが、電子メールの送信元として表示された名前だった。小学生のとき以来、何年も目にすることのなかった送信者名に、真奈は困惑する。何故メールなど送ってきたのか? どんなことが書かれているのか?
電子メールを開いて内容を確認する勇気が持てない。 何しろ、強引にファイトを申し込むは、精神的に追い詰めるは、この日の自分の行動はやりたい放題だった。シオンにしてみれば文句の一つも言いたくなるだろう。
想像するだけで気が重くなる。しかしもう、今更何を言われようが気にする必要は無いとも思えたため、『なんだっていいや』とメールを開く…
そこには短く、こう記されていた…
〈またいつか続きを
〈そのときは1対1で
…携帯電話の液晶画面に写り込んだのは、たったそれだけの文字列だった。記号や絵文字も無い、20文字にも充たない簡単な文章だが、不思議とそれで十分だと思えた。
「――そういえば、決着付いてないんだった。」
シオンとの2on2ファイトは決着が付く前に真奈達がその場を立ち去ってしまった為、勝敗は有耶無耶となってしまったのだ。 つまり、『その決着をいつか付けよう』ということなのだろう。だが、あれほど真奈を嫌い、拒絶していたシオンが、『ファイトの決着を付けるため』に再戦を申し込むことが滑稽だと感じ、鼻孔から小さく吐息が弾んだ。
「つーか、アイツ。 アタシのアドレス消してなかったのか…。」
真奈の携帯電話にメールを送れるということは、真奈のアドレス(電子メール等を送る際に必要なネット上の住所)を、未だシオンが消去することなく、データとして保持いたということに他ならない。
真奈が『必要のない人間』であったなら、連絡を取り合う必要は無いため、真奈のアドレスは消去していたはずである。
…シオンが真奈を拒絶し絶交した後もアドレスを消さずに残していたのは、真奈を拒絶しきれなかったためか? それともただの偶然か? それはシオン本人にしか分からない。
ただ一つ言えることは、人は『好き』か『嫌い』かの二択だけで他者を区別するほど単純ではないということだ。
「『続き』 …か。」
僅かに滾り始めた血流が、布団の中でかき集めてきた眠気を霧散させてゆく。
その滾りに身を任せ、ゆっくりと起き上がりベランダへ向け歩き出し、サンダルを履く。ベランダに出て柵に左手を預けると、夜の風が優しく吹き抜け、布団の中で火照った身体を冷やし始めた。
しばし、ぼんやりと夜風に打たれた後、右手で携帯電話のボタンを操作し、文章を打ち込み、ゆっくりと夜空に掲げる。
「うん、シオン。 いつかやろう…。 今日の続き…!」
力強く決定ボタンを押し込み、文章をシオン宛てに送信。打ち込んだ文章とそれに込められた真奈の意思が不可視の電波となり夜空に吸い込まれていく。
真奈はそれを見送るように夜空に目を凝らした。
この日の見上げた夜空は、いつもより大勢の星々が賑わい、輝き合っているように見えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「人は分かり合える…」
その願いはいつしか形骸化する…
いつしか願いは意思を失い、結果のみを前提とする惰性に埋もれる
だから、分かり合えなかったとき、そこには怒りが生まれる…
でも、怒りを避けるために「人は分かり合えない」と始めに言い放ってしまうことは
「人は分かり合えない存在だからしょうがない」という
「人という種を言い訳にした」一種の開き直りなのかもしれない…
だから、こう考える…
ただ、そこには可能性がある…
「分かり合える可能性」だけがある…
分かり合おうとする強い意思と行動だけが、その可能性を近づける…
そう考えて、怒りも諦めも、大きな足取りで乗り越えていくことが
もしかしたら…
『激戦炸裂ホビースピリット!!』
次回は今のところはないんだ!!
ただ、『人物像』だけ作って本編に出ていなかったり、
『ファイトスタイル』を設定してるのに本編ではホビーファイトをしていない登場人物もいるんだ!!
とりあえず、今はここで区切るけど、ボクはまたいつか、みんなをホビーファイトの世界に招待するかもしれないぞ!!
それじゃあ『いつもの』を行こうか!!
せーの!!
ホビーファイト… スピリット・・・
クラーーーーーッシュ!!!!




