第58話 Keep-up Tonight
今回は2020年10月15日に執筆されたものです。例の映画の前日です。
こんばんは、満月姉妹の癒やし担当、満月ピコリでーす!
今回はようやくウチの主役回です! パチパチ! てなわけで今日は他のみんなに負けないくらいの面白いことするz……
「おいピコリ、九時だ。消灯時間だぞ」
「あ、すいません」
いけないいけない。ウチときたら、何故冒頭を『こんにちは』じゃなくて『こんばんは』にしたのか忘れてた。
サバキ姉さんの言う通り、もう夜の九時で消灯時間なんだ。
というわけでウチは、他の姉妹と一緒に部屋へ行き、自分のベッドにインする。
え、なになに、『せっかくの主役回なのにただ寝て終わりでいいのか』って?
だいじょーぶ! 今回はウチが寝るだけの回じゃない! 今回は『満月ピコリが映画館にいく回』だよ!
えへへ、ちょうど明日が例の大人気漫画が原作の映画が公開される日だかんねー。きっちり前売り券も押さえてありますよーだ。
というわけで、今日はもう寝ます! そして、ウチの作者特有の『*』を挟んでの場面転換で明日に飛んで、映画館に行きます!
ではでは、おやすみ〜。
*
一時間後。
別に誤字ってないよ。ウチの作者、車用信号が切り替わるぐらいの頻度で誤字るけど、今回は誤字ってないよ。本当に一時間後だよ。
ウチは本気で寝て、明日の映画館に場面転換しようとしたんだよ。
けど……どういうわけか眠れないんですよ。
明日が楽しみ過ぎるからかな? いやそんなことどうでもいい、早く何としてでも寝ないと。
さもなくば睡眠不足がたたって映画館で寝ることになる!
とりま、オーソドックスなスタイルで、羊を数えるんだ!
(羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹、羊が六匹、羊が七匹、羊が八匹、羊が九匹、羊が十匹……)
……ダメだ、全然眠気が来ない! しかも陣内のコントみたいに面白おかしいイベントも起きないから、画的にもまずい! これじゃあただの字数稼ぎだよ!
ピコリよ、他の方法を考えるんだ。いや、調べるんだ。スマホで!
ウチはスマホを取り出し、『すぐ眠れる方法』で検索する。
(これだ、リラックス運動!)
ウチは寝ながらでも、ベッドをギシギシ言わせなくても出来る体操を発見し、即実行する。
全身に力を入れたり抜いたりして、かつ、それに合わせて呼吸をする。そう呼吸、タイミングがいいネタだね。
それを五回ぐらい繰り返して、ウチはようやく眠る……ない。まるで眠気が起きない。
くっそー、他に、他にいい方法はないのかな。あった、リラクゼーションミュージック!
ウチは動画アプリでそれを検索し、イヤホンを装着して、それを流す。
よし、これを聞き流せば、ゆくゆくは眠れるはずだ。
三十分後。
だめだ、全く寝れない!
しょぼすぎる新事実、ウチは『うるさいと寝れない』タイプだった!
いつもうるさい音楽ばっか聴いて生きてる人間なのに!
ええと、なら次はとウチは考え、スマホを手に取る。すると惰性で、また動画アプリを開いてしまう。
何やってるんだピコリ、お前にリラクゼーションミュージックはこうかはいまひとつなんだぞ。
いや、待てよ、この動画アプリを利用すれば!
ウチは普段しているように、気になった動画を次々と観始める。
寝落ちだよ、寝落ち! 動画観ながらゴロンとしてると自然とウトウトしてくるアレ! アレをコペルニクス的転回で利用すれば、ウチは寝れる。
よくやったピコリ、明日の映画館は近いぞ! あと一行もすれば念願の『翌日、映画館にて。』の地の文が現れるに違いない!
*
三十分後。
未だにウチは目をガン開きにして、動画を観ていた。
三十分を無駄にしている感覚は全くない、何故ならなんとなく眠い感じがしてるから。
このまま行けば寝られ……
「寝る時間に動画を観るなっ!」
「ひぃっ!?」
……サバキ姉さんの説教だ。まずい、スマホしまってイヤホン外さないと……
「……すぴー」
ウチはもう一つの三段ベッドの一番下を見た。
……なんだ、よく見たらサバキ姉さん寝てるじゃん。じゃあ今のは、やたらとピンポイントな寝言だね。
それからウチは動画を観続けて寝落ちを狙ったけど、まるで寝られなかった。
というわけで次の策のためにまた検索した。そして知ったんだけど、寝る前にスマホ見たらダメらしい。なんかブルーライトが脳を興奮させるらしいからだって。
はぁ、じゃあ次は……『ホットミルク』か。
ウチは下に降りて、ホットミルクを飲むためにリビングへ。
あーそう言えば、どこかの漫画でホットミルク飲んで、二十分ほどのストレッチで体ほぐしてから寝てる人がいたなぁ。
その通りやってればそれのパロディ出来たじゃん。あーあ、時間巻き戻したいなぁ。
……ってあれ? なんか電気ついてる。
「やぁ、こんばんは、ピコリ」
そこでマジナ姉さんが悠々とコーヒーを飲んでいた。それもこんな夜中に。
「……何してるの?」
「普通に夜更かしだよ、ピコリは?」
「明日の映画のために、なんとしても寝たいからホットミルクを一杯飲みに来た」
「へぇ、ホットなミルクを一杯ねぇ、明日の映画の為に……あ、明日の映画ってあの映画?」
「そうそう、あの映画だよ」
「あの映画かぁ。私はアプリで原作読んでるから、結構気になってたんだよね」
「そうなんだ。ウチはアニメだけ」
「アニメだけなんだ。じゃあひょっとしたら私のほうが詳しいんだね。あのキャラが死ぬことも知ってるよ」
「……ま、マジナ姉さん。今、なんて言ったの」
「え、あのキャラがフラッと現れた敵に殺されることだよ」
ウチは絶望した。あのキャラが死ぬことを知ったことと、マジナ姉さんからさりげないネタバレを食らったこととで。
「……う、う、ウワアアォォォォッ!」
「ちょっ、ピコリ、どうしたんだいっ!?」
こっから先のことは、ウチはあんまり覚えてない。
後々マジナ姉さんから聞いた話だと、ウチが怒り狂ってマジナ姉さんにグルグルパンチして、マジナ姉さんは電気を出すドラゴン『SGL』で反撃したらしい。
けど一つ、これだけはわかってる。
「ピコリ……どうしてそこで寝てるの?」
それは、そのマジナ姉さんの反撃のおかげで、ウチは無事リビングで眠れたということです。
……いや、厳密に言えば麻痺か気絶じゃん。
【完】




