↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/200

第198話 第2回満月のメリークリスマス・プレゼント交換編

 始まりは十二月二十四日。

 朝食直後、リビングに満月姉妹十人が全員揃っているタイミングでのこと。


 スーツ姿にカバンを提げた状態で、チヨは娘一同に言った。


「あたしから明日のクリスマスパーティーを盛り上げるために一つお願いしたいことがあるんだけど……まず、これをどうぞ」


 チヨはその茶封筒を一人一人に渡す。

 真っ先に声を上げたのはワノであった。

「うおーっ! これは現ナマじゃーあーりませんっスか!?」


 それぞれの封筒には二千円が入っていた。

 ざわめく娘たちに、この急なお小遣いの意味を説明する。

「明日のパーティーで、プレゼント交換会をして貰います。

 その二千円で皆それぞれ、プレゼントを買ってきてください」


 ここでチヨから簡単なルール説明が行われた。

 一、プレゼント交換はベタに、音楽が鳴っている間に、輪になった全員でものをぐるぐる回す。音楽を止めた瞬間に持っていたものをゲットする。

 二、誰でも貰って最低限嬉しいものを用意する。

 三、プレゼントはなるべくお釣りを出さず、二千円に近い額のものを用意する。

 四、プレゼントを買って出たお釣りはレシートとともにチヨに返す。


「多分、今日は全員予定が空いてるはずだと思うから、できれば今日中に用意しておいてね」


 各々の了承の返事を聞いたあと、チヨは、「それじゃあ行ってきまーす」すぐに玄関を出て、仕事に向かう。


「へぶっ!」

 それとほぼ同時に、ルシェヌはキスをし損ねて玄関に衝突した。


 姉妹たちは洗顔なり着替えなりを済ませるなどして、各々の時間を過ごす。

 なんとなくの成り行きでパーティーの幹事になったピコリが『十時からそれに向けての会議をする』と言っていたので、誰も家からはまだ出ていない。


 トツカは、二階の四人部屋のマイデスクに座り、交換会に出す商品をスマホで調べていた。

 するとそこにワノが、露骨な悪巧み顔をして、椅子を滑らせて接近する。


「ねえトツカ、ここでアタイからオトクな情報があるんスけど」


「へえ、それは興味深いですね! 是非お聞かせください!」

 トツカは銀行系のCMの俳優のような爽やかな声で返した。

 下手に拒絶するとよりしつこくなるので、やり取りの短縮のためにあえて乗ってあげているのだ。


「あのプレゼント交換会のことっスけど、トツカはアタイの欲しいものを買ってくれないっスか? お返しもちゃんと用意するんスで」


「ふざけないでください」

 トツカは真顔で言う。あまりの無茶に本心が隠しきれなくなったのだ。


「いやいや、アタイはふざけてないっスよ? アタイには、明日のプレゼント交換会をある程度操作できる方法を考えているんスよ?」


「へえ、例えば?」


 ワノの作戦はこうである。

 まず、仲間を作る。

 次に、その仲間内で誰が誰宛のモノを購入するかを決めて置き、輪を組む際も全員に必要物が行き渡るようにナチュラルに位置を操作する。

 最後に、その時になる音楽を止めるタイミングを、こちら側で調整する。

 結果、二千円以内で自分が欲しい物をゲット!


「……っていうヤツっスね。まだ決めきれていない部分はあるっスけど、なかなかいい作戦っスよね?」


「ですね。じゃあ聞かせてもらったお礼に、俺からも一つ提案させて貰っていいですか?」


「どうぞ」


「母さんに伝えておくと、より結果が確実になると思いますよ、ワノねーさん?」


 そう言ってトツカは、スマホの画面をブラウザからメッセージアプリに切り替え、チヨとのトーク画面に……


「まーてまてまてっス!? そんなあからさまな裏切りあるんスか!?」


 トツカは持っていたスマホをカン! とデスクに置き直す。

「かくいうねーさんもそうでしょうが! プレゼント交換会ってランダム性を楽しむものだっていうのに、そんな暗躍したら企画倒れになるでしょうよ。というわけでキッチリとこの件は母さんに報告させて頂きます!」


「そ、そんな……っス」

 両肘を両膝を突き、肩をすくめるワノ。同情を誘おうったってそうはいかないぞ。という気概でトツカはチヨへメッセージを送ろうとする。


 ところが、いざ送信ボタンを押そうとした瞬間に、ワノは不敵な笑みを持ち上げて、

「……『ハピバズっ! プチドールハウス 天宮ミハルの展望台』」


 トツカは反射的にスマホの電源ボタンを押し、ワノへ目を合わせる。

「……どうしてその商品名を知っているんです、姉さん!?」


「アンタの欲しそうなものは事前に調べてあるんスよ、アタイとて無策でこんな危険な賭けに挑んでないっス……!」


 伊達に異世界で一財を成した女傑をやっていない。

 トツカは改めてこの一見おちゃめな守銭奴の姉の真価を思い出して震え、背中を無意識にザラザラと椅子の背もたれに擦り付けた。


「このプチドールハウスは一個千八百円のセットを三つくらい組み合わせてやっと家っぽくなるタイプの商品っスよね? その一個をタダで手に入れるこのチャンス……賢いアンタならそう安々と見逃すわけないっスよね?」


「……」

 トツカは目を閉じ、自分の良心と本能を、外部時間数秒、内部では小一時間会話させたのち、言った。


「……わかりました、協力します」


「まいど! アンタいい判断したッスねぇッ!」


 これにてプレゼント交換会の操作を目論むグループメンバーは二人になった。

 だがこれでは足りない。


「二人で相互で欲しそうなものを買ったら、母さんがレシートを見たとき、絶対怪しまれるでしょうね」

「でしょうっスね。だからもっと仲間が必要っス。そうすればなんか偶然そういう連動性が出来ちゃったっていう風に押し切れるっスもんね」


 というわけで、二人はさらなるメンバーを増やしに行く。

 正義感に手足と犬耳としっぽを生やしたようなアイツは絶対に論外。

 欲にある程度は忠実で、自分たちの意見が通りそうな姉妹……という条件を踏まえて、


「おーいピコ姐、ちょっと話があるんスけど!」

(なんとなく幹事っぽい人ですよこの人……本丸行きましたねぇ……)

 二人は六人部屋にいたピコリを訪ねた。


 ピコリはベッドから降りつつ、ワイヤレスイヤホンを外す。

「ん、どうしたの二人とも?」


「単刀直入に言うと、プレゼント交換会で、アタイら相互で欲しいものを送り合うようにしたいんスよ」


「なるほどね、いいよ」


 拍子抜けするほどの二つ返事に、トツカと提案者のワノまでもが目を点にした。

「え……」

「は……」


「いいよ。ウチもどうせなら二千円を自分用に使いたかったし、それに……」


「「それに……??」」


「誰かしら、絶対にふざけたもの紛れ込ます可能性があると思っててさ……マジナ姉さんとか、ルシェヌとか」


「な、なるほど……」

「そ、そうっスね……」


 後でマジナも仲間に引き入れよう。

 ルシェヌは気を抜いて情報を漏らす恐れがあるからやめよう。と、思う二人であった。


「じゃあ細かい流れは後々確認しましょうか」


「だねだね。あと十分くらいでウチが言い出した会議があるもんね」


「ちなみになんスけど、ピコリが交換会で欲しいものって何っスか?」


「え、ウチはこれかな」

 こういうのが欲しい。と、言うように、ピコリは通販サイトの実物画像をスマホで見せた。地を這う水色のワニのぬいぐるみだ。


「……そうっスか、ワニのぬいぐるみっスね」

「……何故にです?」


 ピコリは左手で自分のベッドの縁を叩きながら、

「枕の延長みたいに、寝てる横にこういうの置いたらちょうどいいかなーって思って」


「だとしても何故にワニなんですか?」


「クマとかでもいいっスよね? プーさんのヤツなら色んなのあるっスし」


「そういうベタなのはちょっといいかなー。なんかそういうの置いてると中学生っぽいっし」


「そうっスね。じゃあここは少しずらしてテッドを送るようにするっス!」


「やだよあんなトラブルメーカーなんて! せめてもっとマシな奴……パディントンとかにしてよ!?」


「どっちも知らない俺はどうコメントすればいいんですか?」


*


 会議終了後。ワノたち交換会の操作を目論むグループは、他の姉妹にもロビー活動まがいの交渉を行った。


「とゆーわけで、お願いできるかな?」

「ランダムなのが面白いと思うんだがな……まあ、俺もどうせならちゃんと欲しいものが欲しいからよ。いいぞ」

 ピコリはコーリンと、


「では、お願いできますか、ねーさん?」

「わかったよ。じゃあちゃんと欲しいもの、用意しておいてくれよね」

 トツカはマジナと、


「てな感じっス。どう、行けるっスか」

「はい、お任せください。僕も、誰にとっても嬉しいものが思いつかず困ってましたから……」

 ワノはネロアと約束を結んだ。


 これ以上メンバーを増やすとかえって怪しくなるので、交渉はここでストップ。

 交換会当日の動き、誰宛のものを用意する、などなど、決行に向けての確認をメッセージ上で行ってから、メンバーはそれぞれプレゼントを買いに行った。


 チヨが帰ってきてからも作戦は続いた。

「ピコリ、貴方そういうクラシック好きだっけ?」

「最近のマイブームだよ?」

「あっ、そう」

 ワイヤレスイヤホンから漏れているテイで、チヨに『音楽を止めたくなるタイミングがはっきりしている曲』を聞かせ、明日の交換中に流す曲を誘導した。


 クリスマスパーティーとはまた別の準備を万端にしたうえで、六人は明日の夜に臨むのだった。


*


 十二月二十五日、夜八時頃。

「では、本日のもう一つの大イベント……プレゼント交換会を行います!」


 このチヨの宣言を聞くや否や、暗躍グループの六人は周りに悟られぬよう、目をキリッとさせる。


 満月姉妹十人はそれぞれのプレゼントをリビングに持ってくる。

 キチンと全員、クリスマス用の包装をしているのが、十人ともなんだかんだ家族愛があることを示していた。

 箱型だったり袋だったりと形はバラバラで、中に何があるのかはまるで見当がつかないようになっている。これで他の四人には普通に交換会に臨んでいるようにしか見えない。


「それじゃあ、ちょっと待っててね……」

 チヨは一瞬廊下へ行き、必要物を二つ取って戻る。

 まず、一から十までの番号が振られたシールを、全員のプレゼントに貼った。

 この時点で暗躍グループの顔色が怪しくなる。


 続いて、正方形の箱から十本の割り箸が伸びたものを、姉妹全員に見せた。


「じゃあルール説明ね。

 今から全員にこの割り箸を持って貰って、せーので引っこ抜いて。その番号のモノを貰える。これだけ。

 じゃあ早速皆集まっ……」


「待ってくれ、母さん! 昨日聞いたルールと違うが、これは如何に!?」

 ここでサバキは堂々と挙手する。実にルールに厳格な彼女らしい行動だ。

(いいっスよ。言ってやってくださいっス……)


 チヨは言いにくそうに答える。

「ああ、実はね……お釣りと一緒に返してもらったレシートで、皆が買ってたプレゼントのラインナップを見ていたんだけどさ。

 どうも誰かしらを狙い撃ちしたような事例がチラホラあってさ……それじゃあいい意味での運っぽさが無いから、急遽くじ引きスタイルにしました。

 ……あんまり、言いたくないんだけど!」

 この説明の間、チヨは計三周ほど、コーリン、マジナ、ワノ、ルシェヌの四人へ、順繰りに視線を飛ばしていた。


(え、アタシ何もしておらんぞい!?)


「というわけで、じゃあ早くみんな一本持って! 恨みっことトラブル無しでお願い!」


 満月姉妹は自分たちのプレゼントをローテーブルの上に並べて置く。そこから母親の持つクジ箱へと向かった。

 半数はクリスマスパーティーには似合わない、しょげた様子である。


 番号を見ようにも、口が小さいのと、内側が暗いので不可能。

 何人かは自分の能力を使って透視を試みたが、企画者のチヨと、サバキやユノスなどの、公平性を尊ぶ姉妹が睨みを利かせており、実行不可能であった。


「では一斉に、せーのっ、どうぞ!」

 この声に合わせて、十人は一気に割り箸を引き抜いた。


 ワノが引き抜いたのは、五番のクジだった。

 そのシールが貼られていたのは、一辺十五センチほどの、緑色のラッピングがされた立方体。

「あれは……ユノスが持ってたヤツっスね。はあ」

 

 ユノスはグループに組み込まれていない。生徒会仲間のサバキの内通者になる危険性があったためだ。だから彼女が何を買ってきたのかは、さっぱりわからない。


「じゃあ当たった番号のプレゼントを開けてください!」


 せめて学校に使える文房具とかであってくれ。と、思いつつ、ワノはその箱を開けた。

 するとその中にあったのは、学校関連のプリントをシュレッダーにかけたもの……をクッションにした、図書カード二千円分だった。


「うおっしゃああああっーースッ!」

 ワノは中から掴み取ったカードを指の間に挟み、両手で思い切りガッツポーズを取るのだった。


 ワノが相互交換先のコーリンに頼んでいたプレゼント、それは読書カードだったのだ。


 ちなみに当人からは、

『何で直で欲しい本を頼まないんだ?』

 と、聞かれたが、「BL小説っス」と答えるわけにはいかないので、

『資格取得の本が欲しいんスけど、どれがベストかまだわかってないんで……図書カードでお願いするっス』

 どうにか濁してこれにしたのである。


「よかったですね、ワノさん!」

 ネロアは小脇にワニのぬいぐるみを抱えながら、ワノへ拍手を送った。


「なにに……つかえばいいの……?」

 ちなみに本来コーリンから貰うはずだった図書カードは、イバラの手に流れ着いていた。

「自分のも中々だぞ。人形遊びの年でもないのもそうだが、これだけあっても困る……」

 そして『ハピバズっ!』のプチドールハウスは、サバキに渡っている。


*


 翌朝。


 満月家で最も早起きなのはコーリンである。

 彼女は日課のランニングのために、冬の寒さにも、休日の余裕に負けず、普段通り五時に起きた。


 パパっと学校のジャージに着替えて、さっと部屋を抜け出し、一階へ。

 リビングへの戸が全開になっていた。

 暖房は起動していないので、問題があるわけでもないが、コーリンは何となくリビングの中を見てみる。


「うわおおっ!?」

 そしてコーリンは、戸と反対側の壁に、吹っ飛ぶような勢いでもたれかかった。


 コーリンはついさっき下りた階段をドタドタ駆け上り、

「起きろお前ら! 早くリビングに来い!」

「起きろお前ら! 早くリビングに来い!」

 六人部屋と四人部屋、両方に叫び、妹たちを叩き起こした。


 何だ何だ。眠い眠い。と、姉の蛮行に文句をぼやきつつ、満月姉妹九人はリビングに来る。

 そして全員、モーションは違うが、コーリンと同じくらいの驚き方をした。


「これは、クリスマスプレゼントじゃないか!?」

「それ以外の見方があるか、マジナ殿!?」


 十人は、当然のごとくクリスマスツリー一点を見つめた。

 そこの周りに、黄色、赤、青、オレンジ、緑、群青、マゼンタ、黄緑、青緑、紫のペーパーで包まれたプレゼント十個が積まれている。


「これはきっと、ウチらのカラーに対応してるんだね!?」

「というより、ご丁寧に名前付きのカードが結びついてるよ、ピコリお姉ちゃん」

「……うわ、ドヤ顔で言ってた。ウチはっずう」


 すっかり眠気を追い払った全員は、衝動で自分のプレゼントを開封する。

 ランニングウェア、最新カードパックのワンボックス、高級シャープペン、ホテル仕様の枕、左手デバイス、人気アクションゲームのディレクターズ・カット版、FP検定の学習書一式と電卓、調理ポット、『ハピバズっ!』のプチドールハウス三セット+補助セット、学習マンガセット……十人それぞれに必要そうなプレゼントが入っていた。


「なんだこれ! 今着てるのよりうんと軽いぞ!」

「久々に復帰してみよっかな、紙カードの方にも」

「これで事務作業をよりスムーズに行えるといいな……」

「まあ、これで寝返り回数が減るといいけど」

「先輩絵師さんの言う左手デバイスってこれのことなんだね、へえ……」

「話題作じゃないですかこれ。意外とまだやれていなかったのですよ!」

「うわ、本当に資格関係が来たとはっス……まあ、ビジネスに役立てそうで結構なもんスね」

「また……ハイテクりょーりマシン……? これでなにつくろう……」

「うわははは、これならラージトライだけのドールハウスが作れるじゃないですか!」

「アタシはこれでどうしろというのじゃ……?」


 十人とも、自分たちのプレゼントをしかと見つめて、思い思いに興奮するのだった。


 リビングの上……二階の小部屋にて。

 チヨはベッドに入って横になっている。下からのざわめきで目は覚めている。

 そしてうっすらと聞こえる喜びの感想で、天井に向かってニヤけていた。


「ふふふ……一応成功ってとこかな」


 ベッドの近くにある、仕事用のデスクには、レシートが十枚ある。

 血は繋がっていないが、十人の娘たちとはそれなりに長い付き合いがある。

 だから誰かしらが、交換会の予算二千円を自分のためだけに使おうとしているのも、残念ではあるが、読んでいた。

 

 チヨはそれを逆手に取ることにした。

 昨日のプレゼント交換会の真の目的は、娘たちが何を欲しがっているか調べるためでもあった。

 この日に向けて、雑談の盗み聞きなどで欲しいものをある程度絞り、そしてレシートを最後のヒントとして決めた。

 

 娘たちがパーティーの支度をしている間、チヨは仕事を部下たちにお願いして、プレゼントを自分の足で買い集めていた。

 そしてそれを、

「いやあ、本当にすみませんね、野木さん。こーんな夜遅くにここに来させてしまって」

「いいんですよ。ホーム・アローン二作とダイ・ハードを観れるくらいヒマでしたから。それにどうせ僕まだ、クリスマスにうかれてちゃいけない身分の新人ですし」

 深夜、会社の部下に多大なるご協力をしてもらい、家に運び入れたのだった。


「仕事も頑張っておいてよかった……ふふふ」


 コーリンたち六人の娘が異世界から帰ってきたのは、去年の十一月頃だった。

 あれから約一年が経ってからも、信じられないようなことが次々と起こった。

 社長就任、新たな四人の娘との合流……それと、それと……


「……それ以外にも結構大きな出来事があったと思うけどなあ。ほんっと色んなジャンルのことが起こり過ぎて、もはや一つ一つ上げてられないかも……」

 なのでチヨは、いい意味で面倒なので、一言で片付けることにした。

 ――楽しかった。と。


「また来年も、ここまでくらいの、天と地がひっくり返るレベルのどんちゃん騒ぎが起こるのかなあ……まあ、きっと今みたいに、区切り目に笑えるんだろうけど。あの子たちとならね」


 そう言えばだが、十人とも異世界の存在を認知しているのだから、サンタは現実にはいないと分かっているのだろうか。

 あるいは、異世界次第なら本当にそれに該当する存在がいるから、まだ信じていたりするのだろうか。

 ならこの下で盛り上がっているタイミングで、自分が下りて行って、何かセンスある一言でも言うべきだろうか。

 

 ……ということを考えながら、チヨはまどろみへと流れていき、やがて完全なる二度寝に落ちていく。

 また起きたのは、スマホにセットしたタイマー通りの時間だった。


【完】

【あとがき】(2026年5月31日、執筆)


 ここまでご愛読いただきましてありがとうございます。作者の都Pです。


 別作品三作を挟んで、約四年ぶりの本連載となりました。まさかここまで経ってしまうとは私も思いもしませんでした。


 その甲斐あって、このシーズン4は我ながら良くできたと思える当たり回が多く作れたのかと思っております。


 前々から散々懸念していた文章力も、よーーやく階段の一段上を踏めたと自覚しており、全48話ともそれなりに納得いく形で執筆できたと思いました(誤字脱字はいつまで経っても減らせてないけど)。

 ただしまだ踊り場すらも遠く、半端な技術のせいでMAX一話16000文字という、小説家になろうにあるまじき重量の回を提出してしまっておりますが……まだまだ精進が足りません。



 今後の私の創作関係の予定についてです。


 次は完全新作を投稿いたします。

 流行とか完全に無視して好き勝手作った『4Iワールドエンフォーサーズ』が、コテンパンに滑って受けなかったので、今度は流行にズブズブにすり寄った作品を執筆する予定です。

 ……というより、このあとがきを書いている辺りに、もう12話くらいできあがっております。


 今作のシーズン4の執筆形態のように、ある程度ストックを作ってから連載を始めたいので、9月末頃には初投稿したいと思います。


 早い話ですが、その次は今のところ、あの『4Iワールドエンフォーサーズ』の続きを執筆しようかと思っています。

 あの作品はまだまだ広げる余地のある作品だと、私は信じていますから。



 そして、この作品はどうなるのかという話ですが……一応、シーズン5は前向きに進めていきたいと考えております。

 これを書いている時点でも、15話くらいは作れる自信があります。


 しかし、これは私事ではあるのですが、小説家の端くれとしてやっているからには、やはり賞レースのどっかしらに引っかかって欲しい、また『カンナギイヤサカ』の蜜の味が欲しい! というところ。


 こんなところで話す話ではないというのは重々承知の上で。

 この作品はとても賞レースに向いた作品ではないし、一度どこかの賞の応募規定をおっちょこちょいで外してあえなく撃沈した作品です。

 まだまだ続きが描きたい気持ちは山々ですが、現時点でシーズン5は『連載構想中!』という半端なステータスとさせていただきます。


 上に挙げた作品以外にも、賞レースに使えそうな作品のネタが三本くらいありますので、また世界的なスポーツ大会ばりの間隔が空いてしまうかもしれません。


 長々と失礼いたしました。

 今までご愛読していただいているだろう皆様、シーズン4から新規で参入してくださった皆様、ここまで応援いただきましてありがとうございます。


 第一に本作、次に別作品にて、またいつの日か、どこかで会いましょう。

 以上、作者の都Pでした。




(以下、2026年9月27日追記分)


 いやあ、ほんっとすみませんね、色々と状況が変わってきたもので。


 上で話してた完全新作『勇者パーティーには戻れない、漂流先の島ではホムンクルスたちを守る』(現時点で完結済み。こっちも読んでいただけると幸いです)のあとがきにも書いた内容と重複しますが、念のため。


 まず、いきなり全作品を削除する暴挙に至ってしまい申し訳ございませんでした。今後はなるべく早く過去作の再投稿を行ってまいります。


 次に、4Iワールドエンフォーサーズは再投稿と続き共に、お見せするのに相当時間がかかる予定です。あれは問題作過ぎて基礎からやり直さないとまずい部分も多々あるので。


 続いて、書きたいネタが三本あると上で言ってましたが、五本に増えました。年内にはそのうちのどれかを動かそうかと思ってます。お楽しみに。


 そして、本作のシーズン5は現在も前向きに『未定』です。やはりもう少し賞レース向きの作品を作りたいからです。

 あと、再三にわたって言っている通り、私は文章力と構成力に自信が無いですから、そちらをより、さらに、永久に、永遠に、永劫に、果ての果てまで、死してもなお鍛えないとならないかと思います。

 さらに誤字脱字慣用句の使い間違いもひどいですからね。最近はAIに原稿ぶん投げて校正やって貰っていますが、オキシ漬けしたみたいにミスが出てきて、何年やってるんだ(※おおよそ8年)と軽く傷つきました。


 重ねて長々と失礼いたしました。

 改めて、第一に本作、第二にさらに次の作品にて、お会いできますと幸いです。


 以上、作者の都Pでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。