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第三十三話:更なる依頼3

※前回からの続きです。

エレナさんから聞いた情報を元に依頼主が待っているであろう場所に向かった私達は、いつの間にか森の奥まで来ていた。エレナさん曰く、依頼主は森の奥にある小さく拓けた草が生い茂る草原で、悪い魔術師に出くわさないよう密かに暮らしているらしい。

目的の場所まで辿り着くと、どこからともなく小さな声が風に乗って私の耳に届いた。

「あなたが依頼を引き受けてくださった方ですね」

だが、微かに声が聞こえる程度でその出処が分からない。きょろきょろと辺りを見回していると、下の方から「ここです!ここ!」という声が聞こえてきた。

視線を下に向けると、足元でなにやら小さな塊が動いているのが見えた。しゃがみ込んでよくよく見てみると、そこには着物と笠を身につけた小さな小人のような妖が立っていた。なにもかもが小さい。

「もしかして、あなたがご依頼主の方ですか?」

「左様でございます。私はヨツバと申します」

「私はギルドから命を受けてあなたの依頼を引き受けることになった魔術師です。水無瀬千暁といいます」

「この度は依頼を引き受けてくださったこと、感謝いたします」

「早速、詳しい話をお聞かせ願えますか?」

「はい。では、こちらへ」

そういって案内されたのは、人がやっと入れるくらいの小さな洞窟だった。

中に入ると、その奥に布団が見えた。大きさはもちろんかなり小さい。そこに妖が横たわっていた。

「……妹です」

「えっ?」

思わず聞き返したが、どうぞ、と促されて私はひとまずその場に腰を落ち着ける。すると琥珀がひょいと軽く跳躍し、私の膝の上に着地した。そのまま前足をしまって姿勢よく座っている。

「我々はこの森で密かに暮らしていました」

詳細を語り始めたヨツバさんの声に静かに耳を傾ける。

「ある日、妹のミツバが魔術師にその身を狙われてしまったのです。妹は木の実を採取していたところを魔術師の手により、その者がいる場所へ召喚されてしまいました」

「召喚?なんのために?」

「魔術師の中には無闇に罪のない妖から魔力を奪ったり、より強い妖を使役するために召喚術を使って各地から妖を集めたりする者もいます」

私は魔術を使って非道なことをしようとは思わない。それでも同じ魔術師である以上、ヨツバさんの話を聞いて胸を痛めた。

「本来であればその魔術師は強い妖を召喚しようとしていたのでしょうが、なにかの手違いでミツバが呼び出されてしまったのです」

手違いとはいえ、召喚術を使っているにも関わらず呼び出そうとした妖とは違う妖が呼び出されるなど、そんなことが有り得るのだろうか。そもそも、召喚術は幽世の妖を呼び出す術ではないのか。疑問が浮かんだと同時に、私の視線は自然と膝の上にいる琥珀へと向けられた。私のいいたいことが分かったのだろう。琥珀は一つ頷いてから口を開いた。

「この場合、考えられるのは召喚術を行った魔術師本人の魔力が極端に弱かったか、あるいは、正規の手段を用いていなかったか、のどちらかだ。だが、召喚術はより強い妖を求めて使用されることが多い。その魔術師のようにな。その場合はある程度の魔力がなければそれは不可能だ。今回の場合はおそらく後者だろう」

「正規の手段?」

※続きます。

次回更新は明日になります。

Copyright(C)2023-音愛

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