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第三十話:神と人と妖と

※続きです。

ツキミ様が復活を遂げた後。村はどうなったかというと。無事に和解が成立した。復活したツキミ様を前に私が事の次第を伝えると人間も妖もこれ以上、争う必要はないと思い至ったのだろう。ツキミ様が復活したのならば村を襲う日照りは収まり、村の者達はこれまで通り平穏な生活を送ることができる。争う理由はどこにもない。

「それでは私はこれで」

依頼を完遂した後、私は緑水さんの家に呼ばれていた。依頼完遂認定証を発行してもらうためだ。そこにはツキミ様と田端さんもいる。

滞りなく認定証を発行してもらい、私はお暇することにする。

「本当に、ありがとうございました」

外に出ると緑水さんが深々と頭を下げた。その隣でツキミ様が優しく微笑んでいる。

「私からもお礼を。ありがとうございました。是非、また遊びにいらして下さい。歓迎いたします」

「ありがとうございます。また来ます。ですが、私は私のやるべきことをやっただけなので、そんなに畏まらないで下さい」

そう返せば、ツキミ様は更に破顔する。ツキミ様の隣では田端さんが黙って深々と頭を下げている。彼なりの感謝の表し方なのだろう。

温かく見送ってくれた三人に手を振りながら私は村を出る。結界の外に出たところで未玖さんの姿が見えた。事後処理が終わるのを待っていてくれたのだ。

「お疲れ様。あなたのおかげで全て丸く収まったわね」

「いいえ。未玖さんと琥珀のおかげです」

「私はちょっと手を貸しただけにすぎないわ。あなたの機転と覚悟がなければ村は救えなかった」

「未玖さん……ありがとうございます」

少し強引な作戦でもあったが、未玖さんの心からの賛辞が素直に嬉しい。

「琥珀もありがとね」

すぐ隣を歩く白い猫に笑いかけると、どこか怒ったような返答が返ってきた。

「全く。お前は随分と無茶なことをする。無鉄砲なところは暁人譲りだな。今回はたまたま上手くいったから良かったものの、こんな無茶苦茶な作戦、そうそう上手くはいかんぞ」

尻尾をブンブン振ってぷりぷり怒ってはいるが、そこには私を心配する感情が乗っている。それが分かっているから、私は笑顔でこう返した。

「大丈夫だよ。今回は未玖さんがいてくれたし、それに。頼もしい、唯一無二の相棒がついてるからね。私には」

信頼を込めてそう伝えれば琥珀はフン、と鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。これも照れ隠しであることを知っている。ふふっと私が笑いを漏らすと琥珀は突然、変化を解いた。

「今日は疲れた。乗れ。さっさと帰るぞ」

きっとこれも、琥珀なりの気遣いだろう。

「やった!ひとっ飛び!」

「まぁ。私も?有り難い申し出だわ」

未玖さんと一緒に琥珀の背中に乗る。そして最早恒例となっているがーーそのもふもふした毛並みを堪能した。

「もふもふ……柔らかい……」

「またそれか。ここまでくると一種の変態だな」

「変態!?私が!?」

やいやい言い合う私と琥珀をよそに、未玖さんが楽しそうに笑い声を漏らす。

頬に触れる山風の冷たさを感じながら私達は無事、帰路についたのだった。

※第三章完結です。

次回更新は明日になります。

Copyright(C)2023-音愛

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