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第二十九話:秘策4

※少し長めです。

未玖さんの創り出す結界はその形や強度、大きさを変幻自在に創り変えることができる。それを細く鋭く、そして強度を増して剣のような武器を創り出すこともできる。加えて、結界の大きさを自由に変えることもできるのだ。要するに、九条の魔力を溜めるために私のすぐそばに配置した結界を見えにくい極小さな大きさまで縮小することができる。逆もまた然り。そしてそれを光の屈折を利用して結界の厚みを調整し、相手の視界に映りづらくすることもできる。当然、結界の大きさが小さいほど、その厚みが薄いほど、魔力を感知する感覚も鈍くなる。精密な術の使い方ができる未玖さんだからこそ為せる技だ。

こうして、密かに結界内に閉じ込めていた九条の魔力を放出させるために未玖さんが結界の大きさを少し大きく変化させた。私がその在り処をしっかりと認識できるようにするためだ。そして私が魔術道具を取り出したのを見て、結界を解く。この魔術道具はここに来る前に先日もらった報酬で購入しておいた。私は瓢箪のような形をした魔術道具の蓋であるコルクを引き抜き、魔力を回収すべくそれを前に突き出すように構えた。

すると、どうだろうか。魔術道具目がけて魔力の塊がこちらに押し寄せてくる。引きつけられるように瓢箪の中に収まった魔力を確認し、コルクを押し込んで蓋をする。そして私は、ツキミ様が祀られている祠へ走った。

「くそっ!!いつの間に!?」

ここにきてようやく事態に気づいたらしい九条が炎を使って私に攻撃を仕掛ける。しかし、それは琥珀と未玖さんの発動させた結界によって阻まれた。今頃私達の作戦に気づいたところでもう遅い。

「ツキミ様!」

祠まで辿り着いた私は急いで壺の中に魔力を注ぎ込む。するとその直後。壺は神々しく輝き出した。しばらくして光が収まると突然、人影が現れた。

白い長い髪を後ろで緩く束ね、純白の礼服を纏ったその人には、神々しいオーラが漂っていた。この人がツキミ様なのだろう。一目でそう確信した。

「あなたはもっと早く気づくべきだったわね。千暁ちゃんが目立って動いてる裏で私が暗躍していたことを。魔術師の強さを計るものはなにも、魔力の強さだけじゃないのよ」

背後から未玖さんの凛々しい声が聞こえてきた。

「……っ!!」

九条は苛立ったように鋭く私を睨んでいる。

「この方々のおかげで力を取り戻すことができました。私が復活した以上、この土地の今後は安泰。あなたが望む結果は得られないはずです。それとも神である私を討伐し、禁忌を犯してでも力を手に入れますか?」

ツキミ様の言葉に、九条が顔を歪める。しかし、分が悪いと悟ったのだろう。舌打ちを残してその場を去った。それも当然だ。ツキミ様が復活した以上、人間と妖の争いには終止符が打たれるだろう。だとすれば九条が莫大な魔力を得るためにはツキミ様や妖達を一気に討伐しなくてはならなくなる。だが、神聖な妖を討伐することも、むやみやたらに罪のない妖を討伐することも、禁忌とされている。御三家の一族である以上はいくら九条家といえどそこまでのリスクは犯せない。

「千暁殿。本当にありがとうございます」

ツキミ様が深々と頭を下げる。

「約束しましたから。最善を尽くすって」

そういって笑えば、ツキミ様も笑顔を返してくれた。

最初こそどうなるかと思ったが、こうして今回の依頼もなんとか無事に完遂することができたのだった。

※もう少し続きます。次回更新は明日です。

Copyright(C)2023-音愛

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