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番外編:花咲高校の七不思議1

※長めです。

「七不思議?」

いつもの喫茶店。隣にはぬいぐるみに扮した相棒、向かいには大好きな美男美女の二人という、いつものメンバーでランチを楽しんでいた私はその言葉を聞いて首を傾げた。

すると、美女ーー未玖さんがこくりと頷いた。

「今、学校内で流行ってるらしいの」

トマトソースのパンダをフォークでくるくる巻く未玖さんを見ながら美男子ーー真琴さんがデミグラスソースが美味しそうなハンバーグを頬張りながら呟く。

「よくある都市伝説だろ?」

話をしながら私もオムライスを口に運ぶ。

琥珀と未玖さん、真琴さんとの近況報告を兼ねた食事会は最早、定例と化している。楽しいから全然構わないんだけどね。

「それが、そうじゃないみたいなのよ。実際に体験したって子が沢山いるみたいで」

未玖さんの話はこうだった。ここ、花咲街にある花咲高校である噂が広まっているとのこと。その内容は、夜の学校に訪れると窓が閉まっているはずの廊下から突然不穏な風が吹いたり、大きな物音が聞こえてきたりするらしい。なにそれ怖い。

「まず、夜の学校に行く意味が分からねぇ」

ハンバーグを食べながら呆れたように真琴さんが呟く。それについてはごもっともです。

「単なる好奇心でしょうね。ただ、これが妖の仕業だった場合……」

「状況によっては見過ごすことはできませんね」

私の言葉に未玖さんが頷く。

「調査に行った方が良さそうですね。ただ……」

私はじぃっと真琴さんの顔を見つめる。なぜかって?彼は私のとある事情について既に把握しているからだ。

すると彼はぷっと吹き出し、頷いてくれた。

「分かってるよ。一緒に行くよ」

その言葉に私は安堵の溜息を漏らす。

「えっ?なんの話?というか、私も行くけど?」

状況が掴めずにいる未玖さんに、真琴さんが説明する。

「こいつ、超がつく程の怖がりなんだよ。こういうホラー系の話はてんでダメ。普段からおっかない妖相手にしてるのにな」

「そうなの!?でも、可愛らしいじゃない。というか、二人はいつの間にそんなに仲良くなった訳?」

どこか拗ねたようにいう未玖さんに、真琴さんは楽しそうに笑う。

「さぁな」

私が極度の怖がりだということはあることをきっかけに真琴さんに知られることになるのだが、この話はまた機会があったら話そうと思う。

ーーこうして、実に久しぶりに、御三家全員での共同任務が幕を明けたのだった。

「七不思議が起こる時間は決まってないんですか?」

夜八時。私達はこっそりと校舎に忍び込み、下の階から順に巡回を開始した。

「そうみたい。実際体験した子に話を聞いてみたけど、怪奇現象が起きる時間はまばらみたいね」

懐中電灯を持った真琴さんを先頭に、私と未玖さんが並ぶ。

ちなみに、真ん中の位置を陣取ったのは、前後に人がいた方が怖くないからである。

「だが……いるな」

私と右肩に乗っかっていた琥珀が、天井を見上げて目を細める。

「いるってなにが!?おばけ!?」

「アホか。集中しろ。お前ならすぐ分かるはずだ」

なんのことだかイマイチよく分からなかったが、私は一度立ち止まって目を閉じる。意識を集中させると、琥珀のいわんとすることがやっと分かった。

「……三階の西側隅の部屋に、妖の気配が一つ」

「やっと理解したか。アホめ。怪奇現象の正体は、おそらくここに棲みつく妖者が原因だろうな」

私と琥珀の会話を聞いて未玖さんと真琴さんも意識して集中させる。

「……すごいな。気配は分かるが、俺じゃ場所までは特定できん」

「私なんて微かに気配を感じる程度よ」

驚く二人を見ながら、私は苦笑いを漏らす。そう手放しに褒められてはさすがに気恥しい。

だが、これでも私は御三家を束ねる長で、日々成長している。

いつまでも未玖さんや真琴さんに頼ってばかりもいられない。

「害ある妖か否か……確かめに行きましょう」

私の言葉に未玖さんと真琴さんが頷く。私達は妖がいるであろう、三階へと急いだ。

※次回更新は明日の予定です。

Copyright(C)2023-音愛

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