仕上げ前の一仕事
夜更かしさんへ投稿ー!
サブロイは無残な死を遂げた。
全身の皮が引き裂かれ、ありとあらゆる場所をくり抜かられたのち、神に助けを求めながら自国の兵に殺されていった。
ふとっ空に浮かぶアゲハを見上げると、アゲハは逆に吐きそうにこちらを見下ろしていた。
「おいっ!吐くのかっ!?マジで吐くのかっ!?」
「魔族的にはこれくらいっ…うっ…」
「吐くなよっ!まだ吐くなよっっ!!絶対吐くなよっ!!!」
アゲハを見上げたままゆっくりと後退りするオーリス。
「あっ。なんとか大丈夫そぉっ……」
「まったく、ビックリさせないでくれよっ!」
「やっぱ無理っ。おっ…おっ……おぇぇぇっ!!」
アゲハは口を両手で塞いだ。
しかし、その口を塞いだ両手は堤防としての機能をなさなかった。
口から出された物は堤防で一旦せき止められはしたが、奥から流れ出てくる勢いに負け小さな隙間を通ってむしろ勢いを増し飛び出す。
勢いよく飛び出した結果、それは霧状になって飛散し、空に綺麗な虹をかけたのだった。
そんな虹に目もくれず素早くオーリスは転がりながら退避する。
「危なっ!」
「ずびまぜん…うっ」
サブロイの体から流れ出た血溜まりに飛び込むように転がり、結果的に血と泥に塗れ汚れるオーリスだった。
「あーあっ…結局血で汚れたし…でもお前のゲロを被るよりはマシか…」
オーリスのテンションは見るからにマイナス方向に向かう。
転がった先に死体となったサブロイを一瞬見てオーリスはアゲハに指示をだした。
もし魂があるとして、天か地のどちらかしか行き場がないとしたら、多分こいつは地下奥深くの場所に落ちて行ったに違いない。
なんてオーリスがそんな事を考える事は微塵もない。
なぜなら他人に興味がないのだから。
アゲハはオーリスの指示に従い、ペコペコ頭を下げると洗脳した敵国の兵を引き連れて残りの敵国の兵士と同士討ちさせに別の場所に飛んで行った。
「やれやれ。後は黒騎士さんの方はどーなったかな?」
腹が減ったなと思い目の前にあった崩れかけの店を物色しているとサブロイが最初乗っていた大きな生き物の後ろの檻から声が聞こえた。
「誰か、誰かいたら妹だけでも助けて…下さい」
オーリスは桃のような見たことない果物を躊躇なく口に運び、そらをもう1つ谷持ち食べながら声のする方に近づく。
「どーした?…モグモグ」
「誰かいるのですかっ!?」
「俺がいるけど。…ムシャムシャ」
「敵国の兵士達は?いえ、誰もいないなら今すぐ助けて下さいっ!」
「なんで?…シャリシャリ」
「えっ…貴方は敵国の兵士なんですか!?」
「いーや、どちらかと言うと敵じゃないな。しいて言うなら、ここの国の国王からこの国を貰った者だけど」
「意味がわかりませんが、それなら助けて下さい…妹が…妹だけでも…どーか…」
少女はオーリスより左を向いて土下座した。
「お前、眼はどーした?」
「妹の命を助ける代わりに、私の眼を差し出しました…」
オーリスは檻の隙間から手を入れ、眼を焼かれた少女についているクサリを引っ張り眼球があった場所を確認した。
「ファウスを呼びたいとこらだけど、アイツは今外にいるしな」
鎖から手を離すとオーリスは光の輪を飛ばし少女に質問した。
「自分の眼を治してもらうか、そのグッタリと倒れて死にそうな妹を助けるかお前ならどちらを選…」
「妹をっ!妹をどーかっ!!」
少女はオーリスが質問を終える前に答えた。
「答え出すの早くないか?妹が助かったとしてもお前は目が見えないでどーやって生きていくつもりだ?」
「お母さんとお父さんが私達を命をかけて助けてくれたから、だから妹が死んでしまったらお母さんとお父さん達になんて言えば…」
少女は泣き崩れた。
「お姉ちゃん…」
「っ!?マイネっ!?マイネなのっ!?」
姉に妹が抱きつく。
質問する前にすでにオーリスは妹を回復させていた。
なぜか?
それはとても簡単な答え。
質問したところで妹を助けるために自分の眼を差し出すような姉が今更自分の眼を回復してもらう事を選ぶ訳がないからだ。
ならなぜそんな質問をしたのか。
単にこの姉、いや1人の人間に興味を持ったから。
それだけの話。
「悪いけどその子の眼も治してやってくれ」
「呼ばれるたびにこき使いやがってっ!アゲハは実体化させたのに俺はなしかよっ!」
「なしだ。これ以上増えられても魔族的にも困るからな」
「だったらリアやアゲハより先に俺を実体化させればいーだろっ!」
「適材適所なんだからしかたないだろっ!ならお前に多勢の軍を1人で短時間に効率よく殲滅する能力あるのかよっ!」
「いーですよー。俺にはこんな力しかないからなっ!」
光の輪は少女を優しく包み込むように広がると暖かな光を浴びせた。
「はいっ!終わり。次呼ぶのは俺だからなっ!」
「はいはい。わかったから」
光の輪は文句を漏らしながら消えていった。
「あ、あれ…マイネがみえる…」
姉は声を震わせ涙を流しながら妹マイネを抱きしめた。
「よいしょっと!」
檻を無理やり腕の力でこじ開け、鎖を引きちぎる。
オーリスの姿を始めてみた姉は恐怖した。
助けてくれた恩人はどこかの心優しき賢者や名高き僧侶だと勝手にそー思っていた。
実際見てみるとその相手は人間でもなく。
ましてや心優しそうには全く見えない。
むしろ血に塗れ、薄汚く汚れた魔族だった。
その表情をみたオーリスは苦笑いしその場を去ろうと
城へと向かおうとする。
「あのっ!あなたは?」
「ん?」
「あなたは誰ですかっ!?」
「知ったところで知らない方がよかったときっと思うから知らなくていーよ」
「そんな…でも、あ、ありがとうございました」
姉は深々と頭を下げた。
「…守りたい者がいるなら強くならないとな」
「はいっ!妹は必ずどんな事があっても私が守ってみせます!」
「ならコレを持ってけ」
オーリスは腰に下げていた剣を姉に放り投げた。
「売ればそこそこの金になるだろ。それで暮らすもよし。その剣で妹を守るもよし。勝手に使って勝手に幸せになれるといーな」
姉はオーリスから投げられた剣を抱きしめ深々と再度お辞儀し、妹のマイネはオーリスに笑いかけながら小さな手を振った。
清々しい気持ちでオーリスは城に向かっているとある事に気づく。
「あっ…あの剣って確かリザドのじーさんに渡すって約束…。まぁー必死の戦いで無くしたのだから仕方ない。って事にしておこう」
今更、剣を返してくれとは言いづらいので自分なりの理由を付け、心の中でリザドにスマンっと一言謝った。
「さーて、そろそろ最期の仕上げにいきますかっ」
オーリスは吹っ切れた顔で歩き出したのだった。
皆さま暑さには気をつけて!
嘘つきな猫です。
まったく課題が手につかないぐーたらやすみ、、、。
最高です(笑)
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今後もそれを励みに頑張りたいと思います^ ^
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