王 Vs 王
クラスタ王国のはずれ、オーリス達が越えて来た谷側とは反対の場所にある山中にオーリスとグリはいた。
バラッドからもらった地図を頼りに人目がない場所まで歩き、周りに人間がいない事を確認し、歩くと2、3日はかかるだろう道のりを空を飛んで2時間余りで目的地に到着した。
「確かここら辺のはずなんだけどコカトリスは・・・いないな」
「クェーー」
グリはオーリスの飛ぶスピードに合わせ全力で飛んだため、疲れてしまった。
「グリはもー疲れたのか?空の王グリフォンが聞いて呆れるぞ」
「クェー」
グリはオーリに適当な返事を返し、近くを流れる川まで移動すると水浴びを始めた。
オーリスもそれを見て一緒に移動し、川の水に反射する自分の姿を見て納得した。
「やっぱりか」
オーリスの姿はいつも通りの魔王オーリス・ロイスの姿になっていた。
魔法を使うなとファウスに忠告されていたが楽をしたいがために空を飛んだお陰で元の姿に戻ってしまっていた。
空を飛んだのだから当然の結果ではあったが、もう一度ファウスに頼めばいーや程度にしかオーリスは考えていなかった。
「コカトリスのお陰で人目は無さそうだし今はこのままでいーか。帰ったらファウスになんとかしてもらおー」
「クェー」
グリは水浴びをして体を休め、オーリスも足をつけて一休みしていた。
「そー言えばグリは飯食ったのか?」
「クェックェッ!」
グリは首を大きく横に振り返事する。
「こいつ会話はできないけど、何気に俺の言ってる事理解しているんだよな。俺もまだ食べてないしどっちを食べるかだな」
川の中を泳ぐ魚と、川の水を飲みに来ているイノシシ系の動物がオーリスの目にとまった。
「クゥ〜ウェッ!」
グリは魚を見つめた。
「俺としては肉の気分なんだよなー。それなら俺はあっちの猪、お前はそこの魚担当って事で!」
「クェックェッ!」
グリは川の中から勢いよく飛び出し空を舞う。
それと同時にオーリスも猪にそっと近づくと投目からの印象とは違ってそいつが意外と大きい事に気づく。
そしてそいつがただの猪ではなく、獰猛な種のバトルボアだと言う事に気がついたがそれは別にどーでもよかった。
バトルボアはオーリスが後ろから近いて来るのに気がつくと突然反転して、オーリスに向けて突進した。
そして、口元から生えている立派な牙をオーリスに勢いよく突き刺す。
オーリスの体を貫通したように見える牙。
しかし、この程度の魔物がオーリスの体を貫通させる事ができるはずがない。
バトルボアの牙を脇と腕の間に挟み地面と垂直になるまで持ち上げ、そのまま前方の地面に叩きつけバトルボアを仕留めた。
「グリの方はどーだろ?」
バトルボアを片手で引きずりながらグリの元に向かう。
「クゥエックェッー!」
グリも丁度狩を終えて魚を山のよう積み上げオーリスの帰りを待っていた。
「えっ。お前こんなに取ったのか?」
「クェッ」
数にして30匹前後はグリの目の前に置かれた魚を見てオーリスは驚いた。
「取ったのはいーけど全部食えるのか?」
「・・・クェー」
若干反省気味のグリを見てオーリスはグリの頭も羽を撫でた。
「グリ、意外とやるな。後でこっちの肉と交換してくれよ。それでも残ったら後で食えばいーか」
「クェッ!」
オーリスは火をつけ魚を焼き、仕留めたバトルボアを剣で切断しなんとなく食べやすそうな肉の塊だけを焼いて食べた。
「ふぅー。お腹いっぱい」
「クェ〜」
1人と1匹はお腹を満たして寝た。
日が暮れあたりが暗くてなり焚き火の日だけが暗闇で燃えている。
睡眠中の1人と1匹に忍び寄る影。
ザッ・・・ザザザッ・・・。
地を這い木々と草花の間を縫ってそいつはグリに近づくと大きな口を開け襲いかかった。
「わざわざ探す手間が省けたよ」
オーリスが尻尾の先を掴んでいたお陰で、大きな口はグリには届かずに口の中の毒牙が地面に突き刺さった。
「これが蛇の王か。思っていたより小さいな」
オーリスが掴んでいるのは胴回り1メートル、体長がおよそ5メートルほどあり頭に小さなトサカのような物をつけた蛇だった。
その正体は当然、蛇の中の蛇こと蛇の王、コカトリス。
「人間はこんなのんいちいち怖がって生きてるとか不便すぎるだろ。まー今回は王同士正々堂々と戦ってやりたいが寝たいし、悪いけどすぐ終わらせるな」
オーリスはそうコカトリスに告げ剣で頭部を切断した。
切られた頭部と胴体はしばらくもがき苦しむとそのまま動かなくなった。
「こんな簡単で本当にいーのか?簡単過ぎて逆にひくんだけど」
頭部だけを残して胴体は遠くの方に投げ捨てた。
昼寝のつもりがだいぶ熟睡したようであたりが真っ暗になっていた。
グリはまだ何も気づかず寝ているので、オーリスも寝ようと森を背にした瞬間、上空からの殺気に気づいてオーリスは横に跳んだ。
「だろーね。さすがにあのレベルで蛇の王な訳ないよな」
後ろを振り返るとそこには大きな鳥の形をした生き物が立派な鶏冠を焚き火の光で光らせ立っていた。
「えっ!?こっちがコカトリス!?蛇の王って言われてるけど全然蛇感ないんだけどっ!!」
焚き火の光しかないので全体的な姿には薄っすらとしかわからないがどー見てもそれは鳥の姿だった。
「いやでも・・・鶏冠はあるし、なんか尻尾は蛇みたいだし・・・さっきのとどっちがコカトリスだよっ!!」
「私が蛇の王、コカトリスだっ!よくも俺の子を殺してくれたなっ!」
「あっ喋った」
コカトリスはオーリスに怒りを向けた。
オーリスはキマイラの親と話した事を思い出し、ある程度成長した魔物は話しができるのだと再確認した。
「さきに襲ってきたのはそっちだから。それも不意打ちで。だから正当防衛だろ」
「黙れ低俗な生き物がっ!そんな事は関係ないっ!私の子を殺した罪の報いをむけろっ!」
コカトリスは口から霧状の毒をオーリスに向けて吐いた。
「おっと」
オーリスは吐かれた毒を避け、グリが寝ている場所まで後退する。
「風が吹いていない今。この毒はお前たちに近づくき広がり続ける。逃げ場はないと思えっ!」
「風があれば防げるんだ」
オーリスは右腕を水平方向に高速で動かした。
「なっ!何をしたっ!」
コカトリスは突然の突風に驚き、地面に爪をたて姿勢を低くした。
「お前が風で吹き飛ばせるみたいな言い方したから、単に腕を振って風を起こしただけだぞ」
霧状の毒はオーリスの起こした風に乗ってコカトリス自身を襲った。
「馬鹿め。私に毒を跳ね返したところで、自分の毒が効くとでも思ったかっ!」
「あっ。そこまでは考えてなかった」
オーリスの起こした風にグリは反応しようやく目覚める。
「・・・クェ〜。・・・!クェッ!!!」
「ようやく起きたか。俺が助けなかったらお前、この小さいコカトリスに食われてたからな」
「クェッ!?」
それを聞いたグリはオーリスが切り落としたコカトリスの子の頭を嘴で攻撃した。
「おいっ!依頼達成の証拠になにしてんだよっ!」
オーリスはグリからコカトリスの子の頭部を素早く奪いとった。
「ふざけた事をするなっ!お前らは石にした後、子供達の糞の中に沈めてやるっ!」
コカトリスはグリの行為に激怒し鶏冠を震わせオーリスとグリを睨んだ。
「ヤバっ!」
睨まれたオーリス達の体は、足の末端から徐々に石化していった。
ブックマありがとうございます。
嘘つきな猫です。
人間と魔族編、書きたい事ありすぎて全く進めません_φ(・_・
長い目で見てください笑
気が向いたら評価してねー。




