敵と味方
本日2話目です。
木々の間から出てきたのは、肌がくすんだ緑色をしたゴブリンが数匹と、周りのゴブリンよりも縦も横も倍はありそうな褐色のゴブリンだった。
「オーリス様っ!ゴブリン達がっ!」
「そーだね」
「ファウス様っ!ゴブリンが襲って来ましたっ!!」
「うん。それは見てわかってるから」
慌てるミュゼとは反対にオーリスとファウスは無表情でゴブリン達を見ていた。
人国周辺に魔物がうろついているとは聞いていたがこんな近くにいるとは思っても見なかったと言うのが正直な感想。
ミュゼは顔をオーリスの腕に埋め込むかと思うほど強く抱きつき怖がっているが・・・。
あなたが抱きついている相手知ってますか?
ゴブリンごときで怖がってるけど、さっきまで会話していたの一応、魔王ですよっ!
魔族の最上位に対してあんな態度を取っていたのに、ゴブリンごときにそんなに怯える意味がわからないっ!
なーんて思いながらオーリスは今後の対応を考える。
「オーリス。こーゆー場合は倒した方がいーのか?」
ファウスも同じことを考えていた。
魔物も一応、自分たち側であり人間達を襲う。
例えて言えば、種族は違う仲間。
言葉を話し、個々の意思を持って行動している。
人間にとってゴブリンがどれほどの脅威なのかはわからないが、オーリス達にとってはそこら辺の石となんら変わりない存在でしかない。
ミュゼが怖がっているけど、いちいち相手にしてられない。
なので、とりあえず交渉してみる事にした。
「おい、お前らここで何をしているんだ?」
「えっ?なんで人間が魔族の言葉を話しているっ!」
「色々事情があって話すと長いから割愛するな。そらと、俺は魔族で魔王だ。言葉くらい話す」
「魔王?様?」
ゴブリンは変装したオーリス達の姿を観察した。
「変な生き物を連れているようだが、嘘をつくなっ!どーみても人間の姿をしているじゃないかっ!何が魔王だっ!あまりに自然に言ってきたから危なく騙されるところだったぞ」
「だから事情があるんだよっ!」
「人間の言っている事は信じられないっ!人間の分際で偉そーに。しかも魔王の名を語るとはっ!俺達を馬鹿だと思っているだろっ!ムカついたから女は攫って、男は皆殺しだっ!」
褐色のゴブリンにオーリスが話しかけるが、全く信じてもらえなかった。
それどころか怒らせたようで周りのゴブリンが一気に襲って来た。
なので変装が解けないよう抑えていた魔力を解放する。
当然、ドンッと再び爆発音がなった。
「何がおきたっ!?」
「魔法かっ!?」
「魔法だけど、別にお前らに向けたものじゃないから心配するな。よしっ!これで信じてもらえるか?」
魔王の姿に戻ったオーリスが殺意をゴブリンに向ける。
その途端にゴブリン達はひれ伏し許しを求めた。
「これは・・・」
「この存在感っ!本能でわかります。あなたが魔王と言うことがっ!」
褐色のゴブリンが最前列に出て土下座し、命乞いをした。
「どーか先ほどの無礼をお許し下さいっ!今回の責任は私にあり、コイツらは何も悪くないのでどーかっ!どーかっ!ご慈悲をっ!私の命でどーかっ!!」
自分の命で責任を取るつもりの褐色のゴブリンはオーリスに頭を下げ続けた。
「いやいや、殺すつもりは元々ないから。許すも何も変装していたのが悪いし。俺はただここで何をしていたのか聞きたかっただけなんだ」
「今晩のご飯を探しに来てただかですが」
「人間の国の近くまでなぜ?」
「確かに危険ですが、ここら辺の方が沢山食料になるものが豊富なんですよ」
褐色のゴブリンがオーリスの質問に答えた。
「あのー。本当に殺さないんですか?」
「殺す理由があれば殺すけど、今のところはその理由がないから」
「慈悲深き魔王よっ!感謝致しますっ!!私の命をもってあなたへの忠誠を誓いますっ!!」
「いや、そーゆーの面倒だからやめて・・・」
襲ってきたゴブリン達と和解し、お詫びにクラスタ王国の入り口まで道案内をさせて欲しいと言って来たので任せる事にした。
「オーリス様・・・。本当にゴブリン達に道案内させて大丈夫なのでしょうか?もしかしたら巣に案内されて仲間たちが私に襲い掛かってきたりは・・・」
「ないない。コイツらが何を言っているかわからないだろーけど。そこら辺にいる人間よりは信用できるから」
ゴブリン達はオーリス達を中心に前後左右に配置され危険がないように護衛までしてくれた。
途中、仲間のゴブリンが合流したのか気がつけば褐色のゴブリンを先頭に20前後ゴブリンがオーリス達を囲っていた。
「オーリス様。ところで人間の国に行って何をなさるおつもりですか?」
褐色のゴブリンが質問する。
「ちょっと犯人探しにな」
「犯人探し?とは?」
「この姫様に呪いをかけた相手と誘拐した相手を見つけに行くんだけと、お前らの中に何かしら知ってる奴はいないか?」
「いやー。私は知りませんが他の仲間が何か知ってるかもしれないので聞いてみます。あっちょっと笛を吹いてもいーですか?」
そう言ってオーリスから許可をもらうと周りに響かせるように笛を吹いた。
すると空から1匹の細いゴブリンが降ってきた。
「お頭っ!お呼びですか?」
「4番きたか。あのだな・・・」
褐色のゴブリンはオーリスから聞いた話を伝え他の仲間に聞いて来るよう指示を出した。
「えっ?この方が魔王様っ!?・・・生の魔王様初めて見たー」
4番と呼ばれたゴブリンは口を開けてオーリスを眺めた。
「お前なんかの口の中を見せてどーするっ!さっさと知ってる奴がいるか確認してこいっ!!」
褐色のゴブリンは4番を木の上に投げとばした。
4番は空中で1回転すると器用に木の枝を掴み着地するとオーリスに向けてお辞儀をし、どこかへ消えて行った。
「さっき4番とか言ってたけど、それが名前なのか?」
ファウスは褐色のゴブリンに質問した。
「そーです。数が多いので名前より番号の方が使いやすくていつのまにかそーなりました」
「なら、お前は何番?」
「私は・・・何番だったかな?いつのまにかお頭って呼ばれてるので・・・番号はわすれました」
恥ずかしそうにファウスの質問に答えた。
「名前がないと不便だし、俺らもお頭って呼ぶか」
オーリスの提案をゴブリンは断った。
「滅相も無いっ!魔王様にそんな事言われたら私の立場が悪くなりますからっ!どーかそれだけはっ!」
全力で拒否られた。
「名前で呼ぶならゴブとか?」
「それはセンスなさすぎだろオーリス」
「ならファウスは何て呼ぶつもりだ?」
「シュナイゼルとかどーだ?偉そうだろっ!」
「多分だけどそれは違うと思う・・・」
「なら、どーする?」
「んー。ミュゼに任せた」
オーリスはミュゼにゴブリンの名前を一任した。
「私が付けるのですか!?」
「名前を呼ばれるなら男より女に呼ばれたいから、それ名案だなっ!」
「それじゃー。どうしよ。・・・カシラをもじってカーシラってのどうかな?」
恥ずかしそうに、ミュゼが名前を決めた。
「案外普通だな」
「ギリ60点くらいか」
オーリスとファウスの評価はあまり良くなかった。
「だったら何で私に任せたんですかー!」
「嘘、嘘。いー名前だってっ!という事で今からお前はカーシラだっ!」
「名前を頂き光栄ですっ!その名に恥じないよう今後も人間を駆逐し魔族へ貢献したいと思いますつま!」
「えっ?」
「まー、本来魔族ってそーだよね・・・」
ミュゼの顔が固まり、オーリスは口元が引きつり、少しだけ場の空気が悪くなりながらクラスタ王国の入口向けて、5人+20匹は歩き続けた。
連続投稿中の。
嘘つきな猫です。
まだまだ投稿は続きますので今後もオーリスらカーシラ共々よろしくお願いしますっ!
気が向いたら感想、評価お願いしまーす( ・ ̫・)




