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異能戦線-Chronos or BASIC-  作者: 崇詞
編入生編
40/99

編入生編Ⅵ:地獄

「やはり、ランクEX以外は恐るになりませんね。」

「強すぎるでしょ・・・六人相手に一人で!」

 氷川 七姫(ひかわ なき)はバルリア・アンラ・トシティの強さに戦慄する。

「まだまだぁ!」

 他のみんなが屈するなか、音霊 勇牙(おとだま ゆうが)だけは諦めずに立ち向かう。

「無駄ですよ・・・その近接戦闘能力は悪くありませんが、"強化"された私と魔術を使えない貴方ではそもそものスペックが違います。」

 ふらつく勇牙にバルリアは容赦なく拳を叩き込む。

「ぐはっ!」


───クソッ、みぞおち・・・


「「「勇牙!!!」」」





 炎矢(ヒーヤ)


 早坂 零斗(はやさか れいと)の掌に炎が舞い踊る。

「まさか・・・火属性の魔力の実体化!?」

律神(りつか)が言ってたんだ。「魔術を使った後、本来なら霧散する魔力が、零斗の場合は零斗の周りに漂ってる」って。俺の魔力は互いに引き合う性質を持ってる。これは、それの応用!律神も、姉さんも使えない、俺だけの魔術!」

 その説明を受けてアルトリウス・レイバーは納得する。

「なるほど、()()()()()()()()訳だ。『俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。』ってやつかな!」

「はああああ!」

 実体化した火属性の魔力で横一閃。だがアルトリウスは華麗な爆誕で回避する。


 見知らぬ影に、黒き手は伸びる。


 アルトリウスの影から黒い手が伸びる。

「焼き払うっ!」

 黒い手は火に屈さず零斗へ伸びてくる。

「その程度じゃあ止まらないよぉ!」

 黒い手が一つ、零斗の足を掴む。

「握り潰せない!?俺の影の手が?常人の骨なら粉々になるくらいの握力なんだけどねえ!」

 全身硬化(ハードアームズ)の防御力で『骨粉々』は免れるが、凄まじいパワーでアルトリウスの方に引きずられる。

 零斗は斬撃で黒い手を切り落とすが、すかさず無数の手が迫ってくる。

「くっ!」

 零斗は後ろに飛びながら空中で上下逆さになり、火の矢を作り、放つ。

 零斗の放った火の矢はアルトリウスの脇腹を外れ、

「あらら、外しちゃったねえ!・・・ん?」

アルトリウスの背後で爆発する。

「影から手が伸びるなら、影に光を当てて影を消してみる。うまく行ったな。」

「いってててて・・・なるほど、『このリハクの目をもってしても』ってやつかな?」

「・・・なあハゲ、」

「ハゲじゃねえ、スキンヘッドだ!・・・まあ、「魔術師」よりはマシか。」

「なんかおまえ、さっきから日本の文化詳しくない?律神(りつか)は英語で詠唱してたのに、おまえの詠唱はちょっと日本怪談っぽいし。さっきから日本のマンガからの引用したセリフが出てくるし。」

「はあ?知らねえよ!俺は日本の文化が好きなだけのただのイギリス人スキンヘッドだ。」

「もうそれ答え言ってるけどね。」

 零斗が静かに突っ込む。

「でも、そうか・・・律神ちゃん英語で詠唱してるの?」

「それがなんだ?」

「いや、得木(えるき)家は日本の魔術の家系だ。当然、詠唱も日本語。それを英語にアレンジしてるってことは、よっぽど家のことが嫌いなんだねえ。」

「なんか律神と親そうな口ぶりだな、お前。」

「そりゃ、可愛がってやったからな。まあ、思いは一方通行だが・・・・・律神が捕まれば、拷問を担当するのは俺だ。上層部とも話はつけてある。」


───なんだ?さっきから感じる違和感。何かが違うと叫んでる。


「他のやつに任せたら、律神ちゃんには遠慮ない拷問が待ってるだろうよ。」


───この違和感・・・なんだ?


「そんなことしたら律神ちゃんが可哀想でしょ!だから俺が・・・」

 瞬間、校舎の4階が爆発し、爆煙の中から白金 千兎(しろがね せんと)夏色 夕陽(なついろ ゆうひ)、そして黒ずくめのペアルックを着た子供が二人落ちてくる。

「フーーー!フテス君もステファニーちゃんもやるー!派手だねえ!」

「先輩!!!」

「あの二人、知り合い?なら相手が悪かったねえ!フテス・ゴーア君とステファニー・ゴーアちゃん!あの兄妹(きょうだい)はまだ10歳なのに二級執行官、俺を超える才能の卵だ。」

「フテス・ゴーア・・・君。」


───そうか、この違和感の正体。


「お前、律神をどう思う?」


───軽薄そうに見えるから、おちゃらけて律神を『ちゃん呼び』してるのかと思ったけど、フテスとか言う男の子も『君呼び』してた。コイツはもしかしたら・・・


「ん?質問の意図がわからないねえ!」

「単純に律神の性別を男と思うのか女と思うのかって話だ。」

「思う思わないじゃなく、()()()()()()()()()?」

「そうか・・・一応聞くが、律神がトランスジェンダーだってことは、知ってるんだよな?」

「ああ、もちろん。難儀だよねえ。それに勿体ない、あんなに整った顔立ちしてるのにさあ。」

「律神は男として生きたいって願ってる!それを分かっててお前は女として扱うのか!?」

「そうだよ!・・・美しいよねえ。生来持って生まれた変えられない物に抗ってる。」

「時代は変わった。性別はもう変えられない物じゃない!お前や!律神の家族が!律神を女に縛ってるんだ!」

「変えられないさ!得木家の魔術は女が使うことを前提とした魔術だ!律神ちゃんにはお兄ちゃんが4人も居るんだよ!いずれも『男だから』と得木家の魔術を継げなかった奴らだ!やっと生まれた女の子を得木家が縛らないわけないだろ!」

 得木 律神の、得木家の内情をアルトリウスが話す。

「だから!教えてやったんだ!お前は女として生きた方が遥かに楽だって!言葉だけじゃなく()()にもな!」

「!!!・・・お前、律神に何をした?」

「男の子が、高校生にもなってわからないかなァ!!!


犯してやったんだよ!この俺がァ!!!


最初は威勢よく抵抗してたけど!次第に可愛く泣き叫んじゃってさあ!!!そんな良い声で泣かれたら、余計興奮するだろ!」


───ああ、ダメだ。こいつは、こいつだけは殺さなきゃ。


「アルトリウスゥゥゥ!!!」


「やっと名前で呼んでくれたじゃん!レイト君よォ!」


───そっか。律神・・・お前は、()()で生きてきたんだな。


 炎矢(ヒーヤ)雷牙(ラーガ)!!!


「何よ何よ!いきなり()る気じゃん!!!しかも二重属性!!!」


 呪われし井戸に、水は溢れ。


「わざわざ魔力を実体化させるなんて非効率な事しなくても、属性魔術を使えばエレメントを扱えるのさ!」

 アルトリウスは水の魔力を高密度に圧縮した魔術的な大砲を展開する。


「炎の弓、(いかづち)の矢!!!」


炎矢(ヒーヤ)って名前なら火を矢にしなさいよォ!!!」


 水の大砲と雷の矢がぶつかる。だが、矢にした電気は水を流れ、アルトリウスを貫く。そして、アルトリウスの上半身を半分ほど吹き飛ばす。

「純粋な水は電気を通さない・・・・ずいぶん汚い水だったな。」

「それ、皮肉のつもり?」

「さあな・・・・・何か、言い残すことはあるか?」

()()()()()()()()()?じゃないと、化て出てくるかも・・・なんちゃって!」

「い、言われなくてもやるさ!」

 零斗は斬撃でアルトリウスの首を落とす。




「お、落ちるーーー!千兎!どうしよう!」

「夕陽は磁力を使って!校舎は鉄筋コンクリートだからくっつけるはず!」

「千兎はーーー!」

「今、錬鉄、してる!!!」

 夕陽は磁力で壁に引っ付き、千兎は剣を壁に刺して落下死を回避する。

「あははははははははっ!!!」

「フテス!楽しいね!」

「もっと楽しくなるぞ!ステフ!


このお兄ちゃん達が遊んでくれるみたいだからな!」

登場キャラクター紹介


バルリア・アンラ・トシティ

性別女身長160cm体重49kg誕生日3/31年齢41歳

 魔術連合執行部の一級執行官。赤紫の髪をベリーショートにした女性。

 ゾロアスター教を原典とした悪性魔術の大家、アンラの家の産まれで自身も弟のスペアとして魔術を習得した。その後弟が家督を継いだ為、16歳で家を出て魔術連合執行部に入り、わずか二年18歳で一級執行官に昇格した天才。

 徹底した仕事人間で仕事に個人的な感情を持ち込まない。それは嫌いな人間に対しても例外では無く、勇牙達と交戦した時も、魔術戦に置いて律神と相性の悪いアルトリウスを逃すなど。ただし無表情過ぎて、アルトリウスには手柄を独占しようとしていると勘違いされた。


 好きなものは特にない。嫌いなものはアルトリウス。特技は格闘技。苦手なものは部屋の片付け。


 魔力能力は9。属性は火。魔術形態は普通魔術、ルーン魔術。使う魔術は強化、悪性、ルーン、暗示。

 

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