編入生編Ⅳ:高専祭
「いよいよ明日が高専祭。今日の放課後が最後の準備期間だ。完全下校時刻の9時までには帰れよ?」
「「「「「はい!」」」」」
巡戸 進次郎の注意にクラス全員で返事をする。
「いよいよ明日かー!勇牙、一緒に回ろう?」
「は?お前と俺、休憩の時間帯ズレてるだろ。」
「はあ!?女の子からの誘いを断るとか、あんた何様?」
音霊 勇牙に断られた氷川 七姫は怒る。
「何様も何もねえだろ!」
「女の子の誘いを断っていいのはモテてる男だけって昔から決まってるでしょ!?」
「んな時代遅れな、女尊男卑とか今どき流行らねえよ?」
「うっさいわね!この筋肉バカ!」
「あ!!!?筋肉のどこが悪いんだよ!?」
「別に悪く無いけど、プロテインぶっかけるわよ!?」
「プロテインはかける物じゃなくて飲む物だバーカ!」
軽い口論になる二人に皆んなは少し呆れる。
「何やってるの・・・」
「喧嘩しないで!勇牙、そんなこと言わずに一緒に回ってあげなよ!氷川さんは勇牙と回りたくてわざわざ司馬さんと休憩変わってもらったんだよ?」
「なっ!」
五十嵐 楓太に、バラされ七姫は赤面する。
「喧嘩するほど仲が良いってやつか?」
勇牙と七姫を遠目に勝也がそう言うと、
「そう言えば、零斗はやっぱり一途さんと回るの?」
得木 律神が、早坂 零斗の予定を聞いてくる。
「ああ、姉さんと回るつもりだ。仁音さんも一緒だけどな・・・と言うか、勇気出して仁音さんを誘ったら姉さんも着いてきたの方が正しいが・・・」
音霊 仁音と二人っきりで回れると思っていた零斗は少し落ち込む。
「あ、あの、楓太君。」
「ん、何?」
勇牙と七姫を諫めて戻ってきた楓太に司馬 一歌が話しかける。
「な、七姫ちゃんと休憩時間変わってもらったから、楓太君と同じ時間に休憩なんだ、私。」
「う、うん・・・じゃ、じゃあ、一緒に回る?」
「・・・うん。」
翌日、高専祭当日。
「はい、参加賞。お菓子ひとつどうぞ。」
「一個も当たらなかった・・・。」
零斗は一途、仁音と高専祭を周り、射的に挑むが一つも取れず、参加賞だ。
「次、私!」
今度は仁音が射的に挑戦する。
「その次、私やりたい!自信あるんだよね、射的!」
軍で射撃訓練を受けている一途は、異能を使わずとも射的が上手い。夏祭りなどでも射的の景品を取り過ぎて出禁を食らうほどだ。
「姉さんがやったら、他の人の景品が無くなるだろ!」
「えー」
二人を横目に、銃を受け取る。
「頑張ってください!」
「仁音は射的下手だから、期待しない方がいいよ、零斗。」
「一途、後で覚えとけよ?」
「んー、どうだろうね?」
普段なかなか聞かない仁音の低い声での威圧も、一途は位に介さない。
「六発もあって景品一個だけ?」
一途が射的を終えた仁音を煽る。
「それ言ったら零斗君一個も取れなかったし、まだいい方でしょ!?」
「ぐは!」
そして、関係無い零斗が被ダメする。
「あっ、ごめん、零斗君。別に零斗君が下手って言ってるわけじゃなくて・・・」
「いや、わかってます・・・」
仁音の発言に、零斗は少し傷つく。
「お、やってるね!」
「白金先輩、夏色先輩!」
白金 千兎と夏色 夕陽が通りかかる。
「先輩達もします?射的。」
「千兎、あれ欲しい!」
夏色先輩は熊のストラップを白金先輩にねだる。
「わかった、頑張るよ。」
そう言いつつ銃を受け取る。
「うわ、結構距離あるね。当たるかな?」
白金先輩が銃を構える。
「よーく狙って・・・はっ!」
一発目は外れる。
「んー、結構難しいな。」
二発目は掠れるが、倒れない。
「まだあと四発あるから、焦らないで!」
三発目も外れ、四発目は隣の景品に当たり、それを落とす。
「なんか、別のが取れちゃった。」
五発目も外れる。
「あと一発・・・」
六発目、最後の最後に見事に命中し、景品を落とす。
「やった!」
目当ての景品を白金先輩に取ってもらって夏色先輩はご機嫌の様だ。
「じゃ、三人とも、またね!」
「一途ちゃん、あんまり二人の邪魔しない様に!」
夏色先輩の言葉の意味を一途はあまりわかっていない様だ。
代わりに零斗と仁音が少し赤面する。
「白金先輩かっこよかったね。」
「そう?私なら一発目で取れたけど?」
「姉さん、少し黙ろう?」
「生徒会の出し物、見ていく?」
生徒会室の近く。一途はニヤニヤしだす。
「じゃーん!生徒会役員コスプレカフェ!」
生徒会役員の皆さんがアニメのコスプレして、店員をしている。白鳥 雷蔵副会長が何故かメイド服だ。
「何やらせてんだ!」
「一途、生徒会の出し物はその年のテーマを習字で書いて展示するんじゃ・・・」
伝統、と言うには学校自体の歴史が浅いが、それでも初代生徒会から続く生徒会の出し物を変更した挙句、まさかのコスプレカフェ。
零斗も仁音も頭を抱える。
「し、白鳥副会長・・・」
「何も言うな、早坂零斗。何も言うな。」
コスプレカフェを出て、二人で一途にお軽く説教する。
「まったく、自分が髪染めたいからって校則変えたり、テロリストへの報復の為に校内の統率を副会長に丸投げしたり、毎年恒例の生徒会の出し物を変更したり、自由過ぎでしょ!風紀委員長として、流石に見過ごせないレベルなんだけど!?」
「って言うか、なんで副会長はメイド服だったんだよ!?」
「だって、アニメ見ないから何にコスプレしたらいいかわからないって言うから・・・」
「はあ、大変だな、副会長・・・」
瞬間、不審者の侵入を知らせる警報が鳴る。
「「「!!!?」」」
「これって!」
「はあ、よりによって高専祭の日に・・・」
「一途!行くよ!」
「ここが異能高専・・・なんか、見るからにハイテクって感じ!」
「最近の設備はようわからん、壊してしまって大丈夫かのう?」
「ジンジャー翁、敵の設備なんですから気にしないでください。」
「得木律神を捕らえろってんだろ!早いとことっ捕まえて、とっとと帰ろう。」
「フテス、ここは仮にも異能力者達の本拠地。油断は禁物。」
「油断なんてしてねえよステフ。でも俺達二人なら心配することは何も無い、だろ?」
「うん。」
「仲良し兄妹だね〜。」
「行きますよ。」
バルリア・アンラ・トシティ率いる魔術連合執行部の一級執行官達が襲来する。
登場キャラクター紹介
白金千兎
性別男身長174cm体重60kg誕生日11/10年齢19歳
東京校の五年生。ランクA。異能関連の世界三大企業の一つシルバーシトラスの御曹司で、夏色夕陽とは幼馴染。
少し女性的な顔立ちでかなりの美形だが、常に夏色が一緒にいる為、あまりモテない。
冷静沈着で気配り上手。静謐で思いやりがあり、それでいて曲がらない真っ直ぐな人間。
純粋そうに見えて、お家柄、大人の世界の闇を知っている為、打算的な行動も行う。
好きなものは夏色。嫌いなものは悪人。特技は分析。苦手なことは運動、家事全般、ゲーム。
異能は錬鉄系。メタルキネシス。金属製の物体を捻出して操る。剣や盾はもちろん、ランクAになると銃などの複雑な構造のものも制作できる。




