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異能戦線-Chronos or BASIC-  作者: 崇詞
真世界反乱編
104/105

真世界反乱編F:慟哭

「姉さんを、返せ。」


 その声の主、早坂 零斗(はやさか れいと)が、朝日 焔(あさひ ほむら)と共に現れる。

「なんかお前、雰囲気違くねえか?」


───まあ、姉を誘拐したやつを前にしたらキレもするか・・・俺も、礼夢(れむ)を攫うような奴が目の前に現れたら骨も残さず焼き尽くすわ。


 妹の朝日 礼夢が誘拐された場合を想像する焔。だが、その思考を裂くように、低い女性の声がする。


「零斗!?」


 得木 律神(えるき りつか)の声が、零斗の元まで響く。

「一途さんが捕えられたとは言え、ここまで来るなんて!」

「お前が言うのか・・・」

 辺りを見回す零斗。


───あっちのギャルはランクEXの二人がマークしてるし、多分大丈夫・・・問題はそっちの青ローブだな。


 水の真と零斗の目が合う。

「凶兆、秒針、拒絶と依存、表裏を裂く者───」


───やつの斬撃は空気を異能で固定してできる、不可視の刃を射出するものだったな!なら、周囲を停止させれば防げる!


 止まれ!


 月影斬(げつえいざん)


 零斗がそう呟いた瞬間、水の真の右腕が切り飛ばされる。 

「現在に映し出されし、過去の影。」


───ッ!な、何故だッ!」


 右肩を押さえながら、水の真が吠える。


───確かに私は、周囲に停止の言霊を吐いた。空気を固定した不可視の刃であろうと!その言霊から逃れられるはずがない!一体どうやって!?


 零斗が放った「月影斬」は、通常通り生み出した、空気を固定した刃を過去に送り、過去に斬撃を刻みつけ、それを現在に再現する。

 一見、普通に斬ったほうが手っ取り早いように思えが、過去で確定した斬撃を現在に浮上させている都合上、斬撃範囲内の物質の硬度よりも斬撃の再現の方が優先され、結果的にその斬撃は、干渉不能の防御力無視攻撃となる。


「姉さんはどこだ?」


 ドス黒い殺意に支配された瞳を向けられ、ゾクリとする水の真。


───今この場にいる者の中では、戦闘力において、少なくとも、下から数えたほうが早いはずだ。なのに、この場の誰よりも恐ろしい。


空想黎騎(イマジナリーフォーム)全身加速(アクセルアームズ)・・・」


───早いッ!だが、強化魔術で強化した俺の動体視力なら、目で追えないわけではない。だいたい5から6倍の速さで動いているな。


「そこだ。」

 零斗の動きを読み、先読みしてアクアジェット水鉄砲を撃つ。

 だが、寸前で零斗は立ち止まり、回避される。

「!?」


───加速度的にあれは躱せない、と言うか普通の超加速ならそんなすぐ止まれる訳がない。


「何か仕掛けがあるな。」


 炎矢(ヒーヤ)


「!?・・・いつの間に背後に!?」

 回避は間に合わないと踏み、背後に水の盾を展開し、火の魔力の矢を受ける。

「水よ・・・」

 詠唱ですらない。ただ呼びかけただけで、周囲の水が鎖となって、零斗を捕らえようと、蛇の如く襲いかかる。

「ちっ!」

 全身加速(アクセルアームズ)の速度で振り払うも、水の鎖は獲物を逃さない。

「もっと速く!音すら超える速さを!・・・っ!」

 

───なんだ?・・・急に意識がっ!




 22:00。その瞬間・・・

「回収時間だ、真達。」

 黒と白に左右で分かれたローブの人物、光と闇の真が、何処からともなく一瞬で現れる。

 足音も無く、空間を繋げたわけでもない。登場シーンをカットされた映像のような、不自然な不連続性のある現れ方だ。

「お前、は・・・」

 

───光と闇の真っ!


 光と闇の真が手を翳すと、水の真の懐から小さな鉄のカプセルが、吸い込まれるように、翳した手の中へと向かう。


「っ!姉さんっ!?」

 

 カプセルの小窓からチラリと、氷漬けにされた早坂 一途(いず)の顔が零斗の目に入る。

 

───なんだあれ!?手のひらサイズのカプセルに姉さんが入ってる?カプセルに封じた後、カプセルごと縮小した?・・・魔術だろうけど、そこまで物理法則を無視出来るのか。


早坂一途(最優先目標)を、回収。」

「返せっ!俺の姉さんを!」


 ぼやけ始める意識の中、ドス黒い殺意を空気の刃に込め、光と闇の真に向け射出する。

 だが・・・

「・・・いい風だ。」

 その空気の刃は、光と闇の真に届く直前に霧散し、そのフードを靡かせる。

「な、に・・・」

 

───光のロナズマ?いや、あれは固定硬化(キュアリング)には効果が薄かった筈だ。あんな一瞬で分解するなんて・・・


「キュアリングは確かに現代科学では突破し難い硬度を誇るが、それは硬化の解除法を知らないからだ。正しくほどけば、なんということは無い・・・まあ、今の科学で、その解き方にたどり着けるとは思えないがね。」

 時計と歯車の仮面がベラベラと、まるで教師が生徒に教えるように話す。

「あああ!!!」

 掴みかかる零斗をひらりと交わす。

 仮面で素顔は見えないが、声からしたり顔が想像できる。

「意識が薄れてきているな。超スピードの副作用だ。無理することはない。眠たいんだろう?」

「わかった、ようなことを・・・!」

 零斗が睨みつける背後から土の剣が飛来するも、()()()()()()()


「は?」


「効かないか・・・」

 射出の結果を見て、位置取を変える律神。


───心が読めない。脳波を放っていないのか?とりあえず、正面じゃダメなようだね。


 零斗や律神に続くように、猛者達も戦闘態勢に入るが・・・

「うわっ!」

「何ッ!」

「これはっ!」

 光と闇の真を中心に、突如発生した強大な斥力によって、水の真、風の真以外の全員が壁まで吹き飛ばされ、押し付けられる。

「長居する気もないからね。ここで失礼させてもらうよ。」


「まっ、待てっ!ねえさあああああああああん!!!」


 叫びも虚しく、次の瞬間には皆を押し付ける斥力と共に、3人の真は消え去った。


「うっ、姉、さん・・・ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」



設定紹介


月影斬

 この攻撃を防ぐ方法として、まず思いつくのは『斬撃の範囲外に出ることで、浮かび上がってくる斬撃を躱わす』。

もしくは『過去に送った斬撃を無効化し、斬撃を刻ませない』因果系防御、あるいは『その場にいるけど、その場にいない』などの存在操作系防御に限られる。

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