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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第9章 動き出す冒険者と三国交渉
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スペーラ使節団 Side:A -09-02-


いつの間にか200万PV達成してました

ありがとうございます

今朝出来上がったばかりの新しい武器を抱えて上機嫌で転移門へ向かうオトハ。それを心配そうに眺めるルイ。


「先に言っとくけどね、オトハ。今日は戦いに行くんじゃないから」


「わかってるよ?」


その後ろにヨウジとキクロが続く。


「王都に行くのも久しぶりだ。ずっと精霊の湖に籠ってたから」


「僕は基本的にプリマで活動してたからなぁ」


転移門の前にはシズネたちが集まっていた。


「あれ?おねーちゃんたち陸路じゃなかったの?」


「5日も歩くなんてばからしいからプリマまで転移門で行くことにしたの」


「騎士団に見つからないといいですね」


「じゃあ私たちは先に行くねー」


転移門に一番に飛び込むオトハ。それを追って3人が続く。



先日の襲撃の時と全く同じ衣装、しかも今回は見るからに怪しい男 (キクロ)加わっている。今までにぎわっていた広場は一瞬で静まり返った。


「……騎士団呼ばれる前に王城に乗り込みましょうか」


「ルイ。戦いに来たんじゃないよ?」


「わかってるよ」


広場から城までの一本道を突き進む。途中、キクロが怪しい魔導書ニセモノに惹かれて姿を消したり、ヨウジが変な武器に惹かれて姿を消したりするのをルイが何とか回収し、門までたどり着く。


「こんにちは。通してくれる?」


「貴様ら…」


「通さないっていうならまた門ごと吹き飛ばすけど」


「オトハ。戦いに来たんじゃないから」


「わかってるわかってる。案内してくれたら金貨5枚払うよ?それともこのネコ耳とデートがいい?」


「ええええ…」


どの条件で納得したのかかなり不安だが、兵士は門を開き中に誘導した。


「オトハって、お姉さんたちの前だと猫被ってない?」


「気のせいでしょー」


ところどころ焦げている廊下を進み、前回カナデとシオンが塵にした扉の前に立つ。

多分少し待つように言われたが、全く気にせずドアを開け放つオトハ。


「こんにちは。2日ぶりだねオウサマ」


「え?王都の謁見ってこんな感じでいいの?」


「私たち庶民にはかかわりのない社会だからな。いいんじゃないですか?」


「いいわけないでしょう……」


王様はかなり疲れた様子で玉座に座っていた。


「何の用だ」


「しいて言うなら外交をしに来ました」


「君たちと外交して我が国に何か利益があるのか?」


「そうですねー…ルイ説明してあげて」


「丸投げはやくないですか……まずはギルドの利用ですね。ギルドを通してギルドに所属する10万の冒険者に依頼を出せます。モンスターの討伐や薬草の捜索までなんでも賃金次第で引き受けます」


「たとえば傭兵を募集してもか?」


「まあそれなりの報酬を出せればの話ですがね。次にうちの職人たちの武器、防具などや魔道具を貿易で販売します」


「我が国の剣がお前たちの武器より劣っているという証拠は」


ヨウジが前に出て、その手に1振りの剣をだし、側に使えていた近衛兵に投げ渡す。


「それはうちの一番レベルの低い職人が作ったミスリルソード。それでもう一人と打ち合ってみてよ」


王に促され、剣を抜く近衛B。どちらもミスリルを使っているが、刃が交差した瞬間高い音を近衛Bの持っていた剣が砕け散った。どちらの兵士も呆然として剣の残骸を見つめる。


「じゃあルイさん。続きよろしく」


「ありがとうございますヨウジさん。最後に学園に子供たちを招待します」


「……何?」


「学費は一切いりませんよ?魔法の適性を持つ子供たちを集めて魔法や剣を教えます」


「それはどれぐらいの期間で?」


「……キクロさんお願いします」


「妥当に考えて3年ってとこだろう。強い国を作るにしてもまずは教育からだと私は思うが。3年かけて魔法と戦術を叩き込めば私たちの足元ぐらいには及ぶかもしれないな」


どうしていちいち挑発的なのか…。


「……わかった。宰相と騎士団長が来るまで少し待ってくれ」


「了解です」


「その間にあのバラバラの剣直してあげようか」


ヨウジは剣の残骸を適当に並べると鍛冶スキルで修理を開始した。


「そんなことできるんですか」


「うちの組合員なら誰でもできると思うよ?それこそカナデさんなんか2秒ぐらいで直すと思うし」


あの人はいったい何者なんだ、と思ったルイだったが、とりあえず口には出さなかった。

完全に修復された剣を近衛兵に手渡す。


背後のドアから二人の男が入ってきた。一人は眼鏡をかけた老人。一人は鎧をまとった青年。


「じゃあこの用紙にこの羽ペンでサインをお願いします」


ルイが手渡した羽ペンに興味を示す宰相。


「これでわざわざしてサインする意味は?」


「使用者の魔力で書くので偽造できません。既に代表ハルト・オダのサインがしてありますが、この後さらにオトハがここでサインするので偽造の心配はありません」


宰相はなるほどと言う顔をしている。

フロール王ライナルト・フロールのサインを確認してオトハがサインをする。

キクロが用意した転写装置で複製を作り、原本を宰相に手渡す。


「これで正式に対等の立場になりましたね。それではまずは商談から始めましょうか」




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