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第五話

おはようございます。第五話のお届けです。立村槇は天性の女優。彼女に、役者である事をやめてほしくはなかったが。お楽しみに!


 「続高校珈琲」

        (第五話)



         堀川士朗



¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶


こうやって槇と会話しながら、遠き過去に思い出を手繰り寄せる作業は、とても切ないが同時に楽しい作業だった。

槇とは色々な思い出がある。

実質、半年間しか付き合っていなかったのに、その愛は深かった。

と、自分では思う。

槇はどうなのだろう?

怖くて聞けない。


¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶


夕立雨が降った。アーケード街まで濡れて歩いた。

俺は立村の服が濡れていくのを見ていた。

改めてまじまじと彼女の顔を眺めた。

キリッとした眉毛の治安が良い。

自然のアイラインが入ったような目。

整った鼻梁線。

魅惑の唇。

この子は外人のように綺麗な顔をしているんだ。

立村は視線を感じて、


「ん?」


と、一瞬で表情を変えてまるでかわいいコツメカワウソみたいな顔になった。

立村槙は天性の女優だ。

しかし家が貧乏だから、高校を卒業したらすぐ菓子メーカーの田坂屋で働く事が決定している。

しかも作る部署。

こんなに綺麗な顔をマスクで覆って工場で肉まんとかあんまんとかを延々と日々製造する道が決定しているのだ。

勿体ない。

もう演劇には未練がないのかな。

何だか非道く勿体ない話だなと思う。

俺は立村に演劇を辞めてほしくない。

また俺の演出する舞台に出てほしいと思っている。


アーケード。少し濡れた。弾む息。

俺たちはしばらく見つめ合ったまま何も言わなかった。

やがて槙の方からキスを求めてきた。

立村槙。

ああ俺の槙。

一生大事にするからね。

この想いは本当なんだ。

お別れの時間となった。


「またデートしよう」


と言ったら立村はまた、


「ん」


ってコツメカワウソっぽく返事をして三回手を振って駅のホームで別れた。


¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶


           つづく



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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