002. 棘付きの肩当てもアリかも
中学の入学式の翌日、新入生の一人である清野深言は図書室で本を嗜んでいた。
近所の図書館に足繫く通うぐらいには本が好きであり、中学に入ったらまず図書室の書籍を物色してみたいと思っていた。
次々と面白そうな本に当たりをつけておき、最初に読む本を持って早速読んでみようと席に向かっていたら本を読む一人の男子が目に入った。
普通ならそのまま気にも留めずそのまま通り過ぎていただろうが、その男子については思わず二度見した。
その男子の頭のてっぺんにすごく長い毛が天に伸びているのだ。
何本かの髪の毛が、重力に逆らってピンと立っている。男子も姿勢よく背を伸ばして座っているため髪も見事に垂直に伸びていた。その男子の伸びている毛とそうでなく頭の周りを覆う普通の毛で色彩が明らかに異なるのだが、あれは付け毛だろうか。
何なのこの人……と深言は怪訝な表情を出しそうになったがぎりぎり耐え、図書室の席に着いた。退室しようかとも思ったが少しでも早く目をつけた本が読みたくて、とりあえず件の男子がいる所からなるべく離れた席に、男子から顔を背けるように腰をかけた。
数分後、深言は本の最初の部分だけ読んで栞を挟み、他にも面白そうな本は無いかと本棚を探し回った。
そうして新たに見繕った本を手に戻ったら、また先ほどの男子が見えた。
その男子の目つきが少女漫画風に変化していた。
面白メガネ、というのだろうか。その男子は目のイラストが描かれている眼鏡を掛けて優雅に本を読んでいた。ちなみに自己主張の激しかった髪の毛は綺麗に無くなっていた。やっぱり付け毛だったのかと深言は益体も無いことを考えていた。
もう帰るか、と深言は自分の席に置いてきた数冊の本を係の人の所へ持って借りる手続きをした。ひとまず収穫があったので家でじっくり鑑賞するつもりだ。
手続きを終え、深言は退室しようとしたがつい気になって件の男子のいる方へ振り返った。
その男子は何か光り輝いていた。
男子は眼鏡を外し、どこかの歌手がステージ上で着るような白銀の光沢眩しいスーツを上から身に着けていた。こんな僅かな時間に着替えたのだろうか。
なお、これまでの間も他の生徒は数人いたが揃って顔を合わせないようにしていた。
この後深言は家に帰って早速新しい本を読んでいたが何だか集中できず、結局途中でやめて寝ることにした。




