100. 来週からまた忙しく
体育祭は、赤組の優勝に終わった。
蓮真達が走った一年の対抗リレーの直後は白組が微差でトップだったものの、続けて二年、三年の対抗リレーでは赤組が勝利したのが効いて優勝が決まった。ちなみに白組は二位だった。
「結局負けちゃったね」
閉会式の後、愛花が蓮真の近くに来てそうぼやいた。
「しゃーない、来年勝とうぜ」
「そんな切り替え早くはできないかな……」
愛花は困ったように笑う。
「まあ、一年のリレーは勝てたしそれで御の字かな」
「よかったな」
「来年も君と同じクラスだったら次はいけるかもね」
「来年もか……」
「ん。何か文句ある?」
「いえ、何も」
「まあいいよ。じゃ、またね」
愛花は手を振って自分の席に戻っていく。体育祭での勝ち負けに結構こだわっているように見えたが、今の彼女の声や表情は何かとても充実しているように明るく映った。
生徒達が校庭に置かれた自分の椅子を持って各々の教室へ戻っていく。蓮真もその中に混じって椅子を持ち歩いているとき、
「健闘してたね」
「あ、先輩。お疲れ様です」
朋美が腰に手を当てて蓮真に話しかけてきた。二年対抗リレーでは赤組のアンカーを務めており、ビリからのスタートも構わず他のアンカーを抜き去り堂々一着でゴールしていた。
「君が同じ学年だったら危なかったかも」
「リレーの話ですか」
「勿論」
「先輩が勝っていたような気がしますが」
「あれが君の全力ならね」
「全力でしたよ。明日はまともに歩けないかも」
「ふふ」
朋美は人差し指を立てて、蓮真の顔の前に向けてきた。
「あんま先輩を馬鹿にするもんじゃないよ」
そう笑顔で諭した朋美は手を引っ込めた。
「ところで先輩、リレーと赤組の優勝おめでとうございます」
「急に話変えてきたね……。まあ、嬉しいっちゃ嬉しいかな」
朋美が校舎に掲げられた各組の得点板に目をやる。そこに書かれた数字が赤組の優勝を一目で示していた。
「去年は私のいた組も負けてたからね。まあ来年もまた勝ってみせるさ」
「来年は先輩と同じ組だと心強いですね」
「へえ、君もやっぱ体育祭は勝ちに行くの」
「自分は特に興味無いですがね」
蓮真は二組の生徒達の方をちらりと見る。
「勝ちたくて頑張ってる奴が自分のクラスにいるとき、楽できそうですから」
「ふーん……?」
返事する朋美だったが、今一つ要領を得ないという気分がありありと伝わった。
朋美と別れた後、蓮真は教室に椅子を戻し、クラスの帰りの挨拶も終えて学校を出た。他の生徒達も夕焼けに照らされつつ、それぞれが帰路についていく。
蓮真は既に体育祭のことよりも、次に作るアートのことを考えていた。来週から創作に取り掛かるため、明日にはお店で材料を揃えてこようと早速予定を組みだした。
諸般の事情により、これにて筆を擱かせて頂きます。
ご愛読頂き、ありがとうございました。




