18. ZATの誕生
さあ、新しい 組織が誕生します。
田嶋は、勇者の突拍子もないアイデアに、笑いをこらえるのに必死だった。
「内臓売って行方不明…って、勇者、本気で言ってるのか?」
「ああ。それで世間を騒がせておけば、二度と転売に手を出そうなんて思わないだろ?引っ越し先のマンションとかは俺の方で手配する。親戚にも口止め料を渡して、二人にこっそり引っ越してもらうんだ」
「それで、そいつらをどうするんだ?」
田嶋が尋ねると、勇者はにやりと笑った。
「あいつに俺たちの転売防止組織を作ってもらう」
「組織?……ずいぶんと大掛かりな話だね?」
「ああ。ゲインエキスパート・ジャパンの不正防止組織、通称ZATだ」
「ZAT?」
「ゼロ・アクティベート・トランスファーの略だ。要するに、転売させない、ってことさ」
佐野は、突然の提案に戸惑いながらも、勇者の前に連れてこられた。美咲も一緒だった。
「智也…」
美咲は、心配そうな顔で佐野を見つめる。佐野は、そんな美咲に、大丈夫だというように優しく微笑みかけた。
「お前には、転売ヤーとして培ったその知恵と、転売ヤーならではの独自のノウハウを、ゲインエキスパートのために使ってもらいたい、最初は実行部隊は二人で始めてもらうが、必要に応じてどんどん人員は増やしていくようにしろ、
事務手続きや人事総務などの内部の対応する人員はそうだな?田島、佐伯に今週中に対応するようお願いしてくれ。とりあえずオフィスは最初ゲインエキスパートジャパンのビルのどこか間借りするけど、年内にはお前たちのビルを準備してやるから安心しろ!とりあえず最低年収は智也 、お前に1億やる、美咲 は素人だから、とりあえず今年は1000万円な、で後で報酬額決めるけど出来高制で成果給も別途支給する から、がんばってくれ、おーそうだ、できたら智也の知り合いみんなひっぱて雇ってくれ、最初は予算が決まってないからみんな一律1000万円保証な!
ふふふ、どうだ、やるきでたか?」
佐野は信じられないような表情で、勇者を見つめた。あまりのことに言葉が出ないようだ。
「智也…!すごい…!ていううか、あたしにもきゅうりょうでんの?
わたし素人だよ!」
美咲は、思わず佐野の手を握りしめながら、素朴な疑問を口にする。
勇者「あったり前田、智也にAI使わせて育成プログラム作らせるから、美咲ちゃんがプログラムの体験して完成させてくれ、いわゆるテスターてやつだね。
こきつかうからかくごしてくれよ。」
「うん」
彼女のが佐野の方をみると、茫然とした顔の佐野が、しょぼくれた犬のような顔にみえて笑ってしまった。
「ただし、条件がある。とうぜんだがうちの商品だけは、絶対に転売するな。それ以外の転売は、別にやってもいいし、やらなくてもいい、別に国内の転売を撲滅する必要もないし、調査研究費も出してやる、うちに必要なスタイルのZATを考えて形にしていってくれ、あっ、もちろんケースバイケースで企画書出してくれよ、AIに作らさせてもいいし、企画担当・プレゼン担当みたいなやつもやとってもいいからさ。」勇者の言葉に、佐野は目を見開いた。
「は?あんた、正気か…?」
「俺は、敵を倒すだけじゃつまらないんだ。敵を味方につけて、俺たちの力をさらに強める方が、よっぽど面白い」
「それにしたって、おまえ、いや、あんたじゃなくて、貴方に対して、いろいろやらかした俺を、なぜ責任者なんかにするんだよ、そおいうのはもっちと信用できるやつに任せるもんじゃないのかよ?」
勇者は 人差し指を突き出して続ける「一つ、これでも俺はいろんな修羅場を渡り歩いてきた人間でね、ほんとにヤバイ奴は見ただけでわかる、その点、智也お前は
善良な人間だ、いままで仕事や環境に恵まれなかっただけで、転売屋で有名なのを見ても有能なのが分かる。お前は活躍する場所を与えれば、きっと化けるぜ!
そして二つ、まあ、こっちのほうが重要なんだが、」
と勇者はポリポリとほほをかきながら「自慢じゃないけど俺は、友達が少ない。
人手不足だから、悪党でもなんでも、傘下に入れちまったら、重要なポジション与えてこき使わねーと仕事がまわんなっくなちまうんだよ、これかなり切実な問題なんだ。」
佐野は、大笑いした後、表情を引き締めると深く頭を下げた。
「わかりました!やらせていただきます!この命、御社に捧げます!」
「いや、そこまでしなくていいから。頑張ってね」
勇者は、そう言って笑顔を見せた。
智也は笑顔で考える。
転売ヤーとして不安定な収入で生活するのではなく、正真正銘の「ビジネスマン」として、年収1億円という成功を手に入れたのだ。彼が持っていた転売ヤーのプライドなどどうでもよくなるくらいな巨大なしごとをまかされたことをまだ実感できないながらも、ひしひしとプレッシャーをはらにかんじながら、なんともいえない気持ちになってわらいたくなるのをおさえていた。
ふと、隣を見ると、笑う美咲がいた。
彼女も心に巣食っていた不安が、一瞬にして消え去り、じょじょに愉悦に似た感情が湧き上がってくる。 犯罪者か内臓販売エンドから一転して、
智也が年収一億円の人生の成功者になり、自分も年収1000万の高給取りになったのだ。
笑って去っていった勇者にとりのこされた田嶋氏が、「あー君たちの新しい住居が準備でき次第、連絡入れるよ。 とりあえずは、家に帰るのはますこみとかいそうだから避けて、ホテルとかに泊まってくれるかな?」と言いながらカードを渡してきた、
智也「これなんですか?」
田嶋「うん?ブラックカードってしらない?とりあえず限度金額とかないカードだから、なくしたり貸したりしないようにね、1時間たてば、智也のサインでも使えるようになるから。」
智也が青い顔になりながら「了解しました。」といううと田嶋はにっこり笑って、「気を付けてね!」と送り出してくれた
美咲は、智也に抱き着いて、
「ねえねえ智也、とりあえず用事がこれ以上ないなら、コウキュウディナーか叙々苑の焼肉屋さんとかにいくわよ!」 そして二人は、仲良く 手をつないでタクシーを拾い繁華街へむかって消えていった。
その日の夕方、佐伯香澄は、勇者からの報告をタブレットで確認していた。
「転売ヤーを引き抜き、不正防止組織を立ち上げ…か、しかも責任者にして丸投げって、」報告書を読んだ佐伯は、静かに笑った。
「面白い。これで、また一つ、常識外れのビジネスが始まるのかしらね?」
佐伯は、勇者のビジネスパートナーとして、その能力を心から信頼していた。
こうして、ゲインエキスパート・ジャパンは、のちに日本最強と呼ばれる情報戦略組織 zatを立ち上げることになった。もちろん勇者は単にの転売対策組織をたちあげただけとかるくかんがえていたのだが。 そして、勇者は何も考えていなそうな顔で「さてと、次はなにがおこるのかな? 何が来ても、いいけどね!」
その言葉は、楽しんでいるのか、あきれているのか?つぶやくようにぼそりとつぶやき空にきえていった。
zatがその成立過程で、犯罪シンジケートとぶつかりつぶしまくるのは
そう遠くない未来の話であった。
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