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姉を虐げ、両親に溺愛された義妹が行方不明!? ~そして判明するのは義妹の愚行の数々!?~  作者: mimiaizu


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番外編10.アクサンの末路/再会

(アクサン視点)



毎日毎日、鉱山を堀り石を運ぶ無味乾燥な日々。その過程で私の心と体は壊れていった。今まで遊び続けきたため体を鍛えたことがない私は鉱山の仕事にすぐ音を上げたが、そのたびに鞭が飛んでくるから何も変わらないし変えられないのだ。



鉱山の仕事は住み込みで朝昼夕で食事も出るが、無理やり働かされて日々絶望しながら生活を送るのは変わらない。大変苦しみながら働いてやせ細った我が身がその証拠。



「牢屋のほうがマシだった……。牢屋ならば働かずに済んだ……」



遂には、こんな言葉まででるしまつ。本音だ。



「牢屋のほうがマシとは、体が弱すぎやしねえか?」



鞭で打つ男に聞かれてしまった。ああ、また鞭打ちが来るのかと思うと憂鬱だが、もう恐怖すら感じない。



「……仕方ないだろ。私は本来、鞭で打たれるはずがなかった……お前達に気安く話しかけられることも触れられることもなかったはずなんだ。国で一番高貴な血筋のはず……うう……」



思わず涙が出る。やり直したい。間違える前から最初からだ。どこで間違えたのかも考えたらきりがないけど……。



「貴族のお坊ちゃんなのは分かっていたがここまで弱いとなると働き方を変える頃合いだな」


「……何?」



どういう意味だろう。『働き方を変える』と聞こえたような? まさか!



「お前はこことは全く違った場所で強制労働をしてもらうことになった。あまりにも体が弱すぎて他の奴らの足手まといにしかならないからな。まあ、牧場で豚の世話係というわけだ」


「は?」



……牧場? 豚?



「ああ、勘違いしないでくれ。適材適所ってやつでこの近くにある牧場で働けってだけで、お前さんが開放されることはないってこった。まあ、死ぬまで頑張れよ」


「…………」



もう、どうにでもなれ。





私は本当に牧場に連れていかれた。豚しかいない牧場だそうだ。人に食われる動物の世話係をさせられるなんて思ってもいなかった。



「は、ははは……この私が、豚の世話係とは……転落するにしても酷すぎる……」



目の前には、たくさんの豚がいる。初めて見たが、結構大きい生き物なんだな……。コイツラの世話係をこれから一生続けるのか……。



豚の世話は思っていた以上に大変だった。豚は結構繊細な生き物のようで雑菌などには気をつけなければならないらしく、一々履いている長靴を洗わされる。豚の餌も人と同じく朝昼夕で必要であり、しかも結構な量を必要とする。豚ごとに餌のやり方を変える必要もあったりするから面倒だ。掃除も糞を取り除いたり、豚の部屋を洗うなど、人の世話をさせられているような錯覚を感じる。



正直、鉱山よりも肉体を酷使することはなかったが、ここでは鉱山以上に頭を使う仕事が圧倒的に多い。ミスをする頻度が鉱山のときよりも増えてしまった。



つまり……



「何度言ったら分かるんだ! 餌の量が間違っているって! 水の量も少ないじゃないか!」


「す、すみません……」



叱られる量も多くなってしまったわけだ。



「くそ、これじゃあ精神面の方がやばくなりそうだ……」



ここでは鞭が飛んでこないが、上司がみんな屈強の男ばかりで逆らったり反論などできない。怖いからな……。



「これじゃあ、鉱山とは別の意味で大変なだけじゃないか。なんでこんな目に……」



これも本音だ。せっかく環境が変わったのに辛さは変わらなかった。



「その声は……アクサン様?」


「……え?」



後ろから聞いたことがある声が聞こえて振り返ってみると、一人の女が震えながらこちらを見ていた。女だけじゃない、私も彼女の正体に気づいて体が震えていた。



怒りで。



「お前は……ワカマリナ!」



そう、ワカマリナだ。太っていなくて顔つきも少し変わったようだが、声だけで憎むべき女だと分かってしまった。向こうのほうが早く気づいたようで、私が指摘すると怒りをぶつけてきた。



「やはりアクサン様なのですね! 一体今まで何をしていたのですか! わたくしがこんな場所で働かされていたというのに助けにも来ないで! っていうかその格好はアクサン様も働かされているのですか! やっぱりアクサン様も悪い人だったのですね! 貴方のせいでわたくしの人生は滅茶苦茶ですわ!」



生きる目的も希望も無くなりかけていた私だが、ワカマリナの身勝手な言い分を聞いて血が沸騰するような怒りが沸き起こった。



「ふざけるな! それは私のセリフだ! 私の人生はお前のせいで終わったんだ!」



私はワカマリナにつかみかかろうとした。だが、豚の世話で疲れ切った心と体は、正常な判断と弱々しい動きしかできない。



「ちょ、来ないでください!」


「ぎゃあっ!?」



ワカマリナはそんな私を箒で叩いた。見事に頭に命中し、その衝撃で私は豚の糞に転がってしまった。しかも、気づいた豚たちに餌だと思われて噛まれてしまう。



「ぎゃああああああああ!!」



大人の豚は結構噛む力が強く、人の指くらいなら噛みちぎれるという。実際、私は服を破かれてその下の皮膚に激痛を与えられた。



「く、くそ! なんでこんな目にいいいいいいいいいいいいい!!」





アクサン・フューシャとワカマリナ・イカゾノスは牧場で再会したが、以前のように仲良くなることはなかった。


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