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第五百三十一話 きっと数字だって あがるよ


「へ?」


 言葉の意味を遅れて理解した俺は思わずコオリの顔を二度見した。


 まだこれが残念そうな感じなら女王様の命令なんだなと納得はする。

 しかしイケメンの硬い表情は他者からの指示ではなく、本人の明確な拒絶の意志を感じた。


「そう、邪魔して悪かったわ」


 戸惑っているとリコちゃんが口を開いた。そうですね時間ロスってますもんね。


「あ、ああ。また今度な」


 不穏な様子に後ろ髪を引かれつつも一旦カードの件は諦める事にした。

 深堀りされたくない話だろうし、ここで言えないなら後で教えてくれるかもしれん。


「やっほーバナナちょーだいバナナ!」


 そんな心配りを無にする輩がデザートを求めてやってきた。


「はい」


 幼馴染の唐突な要求カツアゲにサラリとデザートを提供するイケメン。

 ガラスの器に盛られた完熟バナナとベリーがキラキラと宝石のように輝いている。


「ねーねー、カードどんなのだった?」


 バナナをつまむさとりの言葉を聞き、そこで初めてコオリが封筒を手にしている事に気付く。


「じゃじゃーん!あたしのはこれ」


 取り出したカードには『雷光女児バッド・ガール 鳴神さとり』とURの刻印があった。


 ってレア度あんのかよ!?カード光っとるやんけ!

 説明欄にはプロフィールと受付で書いた技名の他、本音を暴くとまで書かれている。


「お、俺のはどうなってんだ?」


 たまらず投影プロジェクトを唱えて自分のカードを確認してみた。


 『伊達執事ファッション・バトラー 大河セバス』とRの刻印。

 執事服にレインコートを羽織った姿の説明欄には、偽名であり正体は妖怪だと明記されていた。


 レアリティーの低さはともかく何だよこの二つ名は。本名バレしてないだけマシなのか。


「コオリのも見せてよ」


 ちびっこプレイヤーのおねだりにコオリは無言で首を横に振った。


「ちょっとぐらいいいじゃーん」


 封筒に伸びる手をかわして距離を取る。暴露対策で口を閉ざしたままという徹底ぶりで。


 イケメンの警戒を無視してカードを奪おうとするノンデリ娘を見て察した。

 他人に知られたくない二つ名、あるいは情報があったのだと。


「おいやめとけ」


 幼馴染といえどもプライバシーへの配慮は必要だ。脳天気なお子ちゃまと違って。

 再び攻防を繰り広げようとした二人の間に、煮えたぎる麻婆豆腐を持ったチャンサンが割り込んだ。


「ご注文の特製激辛地獄麻婆豆腐アル!」


 香辛料の暴力がダイレクトアタック!眼球にダメージを食らった俺達はたまらず一歩退いた。


「サユキに食べてもらいたくて愛情たっぷり詰め込んだよ」


「ありがとう」


 受け取った料理を黙々と口に運ぶコオリの周囲には、他者の侵入を阻む激辛フィールドが発生している。

 チャンサンがおかわりを追加し続ける限り妖怪も人間も近付けない。


「ぐぬぬ、後でバナナいっぱいくれなきゃ許さないもんね!」


 負け惜しみを言いながら次のデザートを求め激辛アンチが去ってゆく。


 騒ぎにならずに済んでホッとしていると、制限時間終了を告げるブザーが鳴り響いた。

 アホのペースに乗せられ時間を浪費した俺にリコちゃんの視線が突き刺さる。


「すんません勘弁して下さい悪気はなかったんです」


 謝り倒す俺の姿を見送るイケメンの目には、同情と哀れみの感情が浮かんでいた。



「ハイ。では一回目ノ投票結果を発表しマス」


 結局勧誘を一度も成功させぬまま、お助けカードのドラフト会議が始まってしまった。

 壇上に立つリコちゃんの顔はいつも以上に不機嫌さを漂わせている。本当に申し訳ない。


「オープン」


 銀色の投票箱が発光し、それぞれが選んだ一人目の名前をホログラムに表示する。



 リコチーム マックス


 フレカチーム マイケル


 クリノチーム ゼナ


 キャラメリダチーム 木村京三郎



「ホワッツ!?」


 投票結果を遠巻きに眺めていたグループのうちの一人から驚きの声が上がった。


 巫女以外であれば所属も種族も問わない。お助けカードのルールを最大限利用させてもらう。

 こいつが関連企業の一員としてパーティに参加していたのを俺は見逃さなかった。


「指名を受ける場合ハ相手にカードを渡して下さい」


 自身にスポットライトが当たり、目を白黒させている男にリコちゃんの代理として赴く。


「よう、久しぶり」


 初日に試合を終え、油断しているであろうマックスに声を掛ける。

 馴れ馴れしく肩を組み周囲に聞こえないよう一言。


「正体がバレたくなかったら協力してくれるよな?」


 スーツ姿のこの男がメカ忍者だと知っているのは、悟さんを除けば俺一人だけ。


 勧誘のタイミングを逃した以上、他のチームの候補に挙がらない相手を選ぶ必要があった。

 マックスからカードを徴収しつつ周りを見れば、どのチームも交渉を成功させている。


 一巡目は何事も起こらず順調な滑り出し。動きがあったのは次の投票フェイズからだ。



「オープン」



 リコチーム サッカク・マジシャン


 フレカチーム テッパー


 クリノチーム ゴメス


 キャラメリダチーム ジェームズ



「おや」


「ニャッ!?」


 マジシャンが猫目を少しだけ見開き、猫耳賢者が飛び上がって驚いた。

 どちらも交渉タイム中に接触がなかったため、自分が選ばれるとは思っていなかったらしい。


「ダークヒーロー対決なんて激アツじゃないっすか。タッグバトルとか絶対盛り上がるっすよ」


 絶対サムライ呼ぶマンの桃太郎様に対抗するには同じ手段を持つしかない。


 メカ忍者とマジシャンを同時にぶつけてチートサムライを少しでも足止めする。

 でもって何か奇跡が起きていい感じになってくれ。


「まあ、いいでショウ」


「おっしゃ!」


 半ばダメ元のプレゼンだったが無事にカードをゲット。説明欄が白塗りなのは気にしてはいけない。

 猫耳賢者は桃太郎様の笑顔の圧にあっさり白旗を上げていた。


 そして運命の三巡目。



「オープン」



 リコチーム クランビット


 フレカチーム ウォンジィ


 クリノチーム 相澤丈史


 キャラメリダチーム 鳴神さとり



 マジシャンが発表した投票結果に会場が大きくざわめいた。



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