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Face of the Surface  作者: 悟飯 粒
勇気の章
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59/364

強くても負けます

俺は合図と同時に走り出す!

魔力も知らない、それに格上の相手に長期戦は不利だ!最初っから全力でぶつかっていかないと勝機は見出せない!


俺は腰から剣をすぐさま引き抜き横に構える!

テキトウに振っただけじゃ意味がない!流れるように連撃を叩き込んで行かなくてはならない!突きもいいのだけれど、一撃をかわされてしまったらその後の攻撃に繋げづらい!だから斜め下から振り抜き勢いを殺さないように一定速度を保ち続け、敵の隙をうかがう。

ひとまずはさっきも言った通り右斜め下からだ。その次は振り下ろして……………っ!?


俺は横に振られた剣から身を守るためにバク転をしてかわし…………たかったけれど俺がそんなかっこいいことを出来るわけがない。足を滑らせてすっ転んでしまった。まぁ、そのお陰で剣をかわすことができたのだが…………


「おっ、無様なりにはかわすことができたじゃねーの。お前にしては頑張った方じゃね?」


「まったくだな、俺にしてはよく避けれた方だと思うよ」


俺はさっさと起き上がり剣を構え直す。

筧君の剣捌きは俺の目でも簡単に見ることができた。けれど、俺の体が遅いからかわすのが難しい。目では止まって見えるのに、俺の体じゃまるで止まってというか止まってんだろ?レベルの動きしかできないからもどかしいこともどかしいこと。目の前にチョコレートケーキがあるのにガラスがあって迂回しないと食べに行けない時ぐらいもどかしい。


「ちっ………そうかよ」


そう言うと筧君は完全に脱力したのだろう、剣が地面につくほど腕をダラーんとさせる


「………どうしたんだ?構えた方がいいんじゃないの?俺がこれから攻撃しようとしてるんだからさ」


「構える必要なんてねぇよ。お前の攻撃なんて簡単にかわせるからな。…………へへ、目を瞑ってでもかわせるっつーの。」


ふーーん…………そうですか。

まぁ、相手が油断している今がチャンスだ。ここでさっき考えたように連続で攻撃して隙を作るんだ、そこからだろ話は


「なにせお前に攻撃させないんだからな。」


いつの間にか俺の懐にまで接近していた筧君。

マジかよ!ほんのちょっと瞬きをした瞬間にここまで来たのかよ!


ドズン!

なんとかして手を滑り込ませるが、勢いを殺すことができない。俺の手のひらごと顎を殴りつける!


「へへっ、まだまだ終わらねぇぞ!」


ガガガガガ!!!

そのまま筧君は俺に対して連打を浴びせてくる!

うぉぉおおお!!!ここまで接近を許してしまったら、俺の身体能力じゃさばききることが出来ねー!


「しゃらくせぇえぇえ!!!」


俺は筧君の攻撃を無視して剣を振る!

サンドバッグの意地をなめるんじゃないぜ!確かに君の攻撃は痛いけれど、我慢できないほどじゃない!まぁ足の踏ん張りが全然効いてないけれど、そこは剣だからね!少しでも当たればダメージになるわけよ!


「攻撃させないって言ってんだろ!?」


ガシッ

筧君は俺の右手を掴み、剣の振りを止める


「お前に拒否権はない。俺に無様に敗北してればいいんだよ!」


グイっ

筧君は俺の右手を引っ張り体を筧君側へと寄せる。そこには筧君の右手があった。裏拳って奴だろう。


ガンン!!

俺はそれを顔面でモロにくらい吹き飛ばされる!


「どうよ?これで俺とお前の力の差が分かったか?年上だろうとなんだろうとな、弱い奴が俺に口答えしてんじゃねーよ」


俺を見下ろしながらそう毒づく筧君。

…………まったく、嫌な世界だなぁここは。


「狩虎!もういいだろ!俺達凡人じゃあいつには勝てないんだよ!」


そして、場外からエンタの声が聞こえてくる。なんだ、観てたのか………自分の試合に集中しろってのに


「確かにその通りだなぁ。この世界じゃ弱い奴には発言権がないもんなぁ。」


俺は剣を杖の代わりにして立ち上がる。

ああ、結構いいのを貰っちまったな、少し目の前がボヤける。


「俺は弱いよ。当たり前じゃないか、俺の魔力じゃ人を殺すなんて限られた条件下じゃないと出来ないし、何より俺の素の力が騎士レベルなんだもんなぁ。お前が天才だってんならまぁまず勝てない」


俺は口に広がっていた血を飲み込む。唾を地面に吐き出すってのは運気を下げるらしいからな。いつもはそんな迷信なんて信じるつもりもないが、状況が状況だ。どんな些細なことにでもすがりたい。


「ようやく認めたか………へへっ、俺とお前じゃ」


「ただ、お前は天才じゃねぇ。ほんのちょっと他の人より才能があるだけのなんちゃって天才だ。」


また、筧君の顔から笑みが消える。


「俺は今までいろんな天才と出会ってきたが、そいつらにはなんつーのかな………一般人にはない何かを持っていたんだよな。雰囲気ってのかなぁ、オーラってのかなぁ、はたまた気品っつーのかなぁ…………見ただけで分かるんだよな。[あ、こいつは別格だな]ってさ」


宏美と遼鋭と翔石君と雪さんとイリナ………こいつらは確実に天才の部類だ。誰にも異論を許さないほど、彼らのスペックは別格なのだ。


「それに比べてお前はダメだな。俺と同種かそれ以下のダメダメ野郎だ。クズだクズ、腐ってんだよ。勇者とか以前に人としてダメだ」


「テメッ………一度ならず二度までも!」


翔石君が剣を引き抜く

………やっと俺の間合いに入ってきたな。


「あーーそういえば、君の年齢からして今年でこの試験は3回目だよね?去年は運悪く強い人に当たっちゃったから不合格になったとは言えさ…………おかしくないか?君が天才なのならその前年には試験に合格してるもんじゃないのかな?…………あっ、もしかして」


ニヤァ


俺はイリナの笑い方を真似て筧君にその笑顔を向ける。あのイリナの、顔を目一杯歪ませて笑うあのニィヤニィヤ笑いだ


「天才(笑)のくせに試験に落ちちゃったのかな?強敵も何もいなかったのに?」


「テッッメェェ!!言わせておけば!!!」


さっきまでどんだけ手加減してたんだよ!って速さで筧君が突っ込んでくる!

だがまぁ、速いけれどある程度の距離があれば俺の目と体でも対応できる!


ガキィン!!

剣と剣がぶつかり合う!


ギャリン!ギャリン!カカカカカンンン!!!


幾重にも張り巡らされる剣線をはじき返す!

この目で相手の初動を見極め、どこに攻撃してくるかを読み解く!0.7秒先の世界を見続けろ!全てを予測しろ!全てを把握しろ!全てを見極め続けるんだ!

地面の石畳が削れて粉が舞い散る!火花が周りをチカチカと照らす!


筧君の右手の人差し指が浮き上がった。握る直すつもりなのだろう。それはつまり次の攻撃は重たい一撃!また彼の左手が後ろに引き、右手首が右下にしなる!

全てを統合すると彼の次の攻撃は下からすくい上げるような速い一撃だ!きっと今まで以上の重たい攻撃だ!…………だが逆を言えばそれをかわせば相手には今まで以上の隙ができるってことだ!


「防御ごとお前を吹き飛ばしてやるよ!」


ビュッっ

筧君のすくい上げるかのような速い一撃!………だが、予測通りだ!


俺は自分の剣を筧君の剣の側面にぶつけ軌道をずらす!………が、それだけじゃ完璧に逸らしきれない!このままじゃ首が切れちゃうぜ!


ブシュゥゥううう!!!

それを見越しておいた俺は右手から水を勢いよく発射し、筧君の剣の軌道をさらにずらす!


ブン!

そして、筧君の攻撃は空振りに終わり、筧君の体制が少し崩れ隙が生じた!


いまだ!

俺は筧君の顔面めがけて剣を振る!こんなチャンスはそう簡単に巡ってこない!今この瞬間でこの戦いに決着をつけてやるぐらいじゃないとこの先もたない!


「………ちっ!食らうかよ!」


筧君はすぐさま身を引き、俺の剣をギリギリでかわす!

……………さて、さっき言ったことを確かめさせてもらうぞ。


「ぐっ!?」


俺の剣の刃先から水が滴り空を舞う。そして、それは筧君の両目にジャストミートした。


「さっき言ったよな?目を瞑ってでも攻撃をかわせるって…………それを試してみようじゃないの!」


俺は目をこする筧君に向かって走り剣を振りかぶる!


「…………へへっ、さっき言ったはずだ。もう忘れたのか?[攻撃させない]ってな!」


筧君は左手を持ち上げ俺の方向に人差し指を向ける。…………そして、


キラッ


指先が光る!

…………やばい!確実にやばいのがくる!

俺は嫌な予感がしたのですぐさま体を水で覆う


ピュン!!

指先から光り輝く一筋の光源が発射される!速度は…………分からん!めっちゃ速いとしか言いようがない!筧君の剣速よりも速いなこれは!

一瞬で俺の元まで来た光源は眩しくって目を開けてられないほどだ。

そして………………


ドゴォォォオンンン!!!

水に触れた瞬間巨大な爆発が発生し、水ごと俺を吹き飛ばす!


「俺の魔力はレーザーって言うのかな?光とほとんど同じ性質をしてるんだ。まっ、速さはそれ以下で100分の1以下だろうけどな。…………へへっ、それに何かに触れたら爆発だ。結構派手だろ?」


…………確かにそうだな。

俺はまた剣を杖代わりにして起き上がる。もうね、こんな所で腕の筋力を使っているわけにはいかないのだ。剣でもなんでもいいから使ってエネルギーを温存しないと


「そしてだな、確かこの剣は持ち主の魔力の性質を帯びることができるんだろ?…………へへっ、一体どうなるんだろうな?」


筧君の剣が光り輝き始める!

ボゴン!

筧君が剣を地面に叩きつけると剣が爆発し地面が吹き飛ぶ!


…………最悪じゃねーか


「さぁて………まだまだ力の差を理解できない、脳の回転がトロいおっさんには強い衝撃が必要だろ?理解するのにはよ」


そう言うと走り出す筧君!


「くっそ!!」


ボゴンンン!!!

剣と剣がぶつかると同時に激しい爆発が発生する!

熱は俺の体質上余裕で耐え切れるが、目の前で発生する爆発の衝撃が強すぎる!必死に意識をつなぎとめないともってかれそうだ!


ボゴンボゴンボゴンボゴォォオンン!!!


ステージ上で幾度も爆発が起こり、その度に俺の体が黒くなっていく!ああ、水で洗い流したい!


「攻撃は遅いくせに防御力はいっちょまえにあるな。…………へへ、サンドバッグみたいだな」


ああ、くそ!等々こいつにも俺の性質がバレちまったか!


「ゴキブリ並みの生命力だ。潰されるだけの命のくせに、無駄にしぶとく生き続けやがる…………これならどうだ!?」


筧君の左手から太めのレーザービームが出される!

俺はそれを水を出して相殺する!


ドゴォォォオンンン!!!

俺の右側面で巨大な爆発が起こり意識をもってかれそうになる!

やばいやばい!結構今のは高威力な一撃だったぞ!爆発も大きすぎて筧君が見えな…………


そう思っていると爆炎の中から筧君の剣が姿を現す!

爆煙を切り裂きながら俺の胴体へと迫り来る光明、完璧に心臓を断つつもりだ!


「死んでたまるか!!!」


ドゴォォォオンんンン!!!

さらに爆発が起こり俺は吹き飛ばされる!

剣を間に滑り込ませるために無理な体勢をしたからな…………ただですらない足の踏ん張りがゼロになり爆発の衝撃に耐えられなかったのだ。


「…………やっぱゴキブリは熱に強いな。このまんま同じ戦い方をしていたら、時間がかかっちまう」


爆発の煙が晴れ、筧君の方を見ると、筧君が光り輝く剣を俺に向けていた。


「これ使うともうこの剣を使えなくなるからやりたくなかったんだが…………まぁいい、今ここで一瞬で終わらせてやるよ」


筧君の剣が更に光を増していく!


「この剣を俺のビームと同じ性質にした。だがさっきと違うのは、この剣がビームのように発射されるってことだ」


「発射されるだけだろ?さっきのビームと同じ性質なら俺の水に当たった瞬間に爆発するんじゃないの?」


「確かにそうだな。ただ…………へへっ、ここから俺がひと工夫加えてな、身体に少し突き刺さった時に爆発するように仕掛けたんだ。お前の水なんて剣の性質で貫くし、身体に当たれば爆発…………どうよ?最強じゃね?」


………最悪だぜ。つまりあいつの攻撃をかわすか剣で弾くかしないと意味がないってことだろ?……………剣で捉えられる自信はないし、ましてかわせるとも思わない。俺の鈍足っぷりをなめないでほしいね。


「まっ、さっきも見たようにこのビームの爆発は大規模だ。体の中で爆発なんかしたら身体は破片すら残らないだろうな…………死ぬぞ?」


「死ぬ、か…………そいつは残念だな。最近やっと生きる資格を貰ったばっかだってのにすぐにその命を散らすってのは悲しい話だな」


俺は起き上がり剣を構え直す。

だけれどまぁ、やらないと死ぬんだろ?だったらやってやるよ。座して死ぬほど俺は潔くないんでね。


「………なんで今、絶対に死ぬってことをわざわざお前に言ったかわかるか?降参させるためだ。何も試験ごときで死にたくはないだろ?だからこれは…………へへっ、俺からお前へのほんの少しばかりの善意だ」


善意ねぇ…………お前の性格からしてそれは善意じゃないだろうなぁ。


「おい狩虎!さすがにもう諦めろって!死ぬなんてシャレになんないよ!」


お、まだいたの?さっきの爆発でさっさとここから逃げたと思ったんだけどな


「なんで逃げないんだよ!死ぬんだぞ!?筧が言った通りだ!たかが試験でなんで命をかけるんだよ!そんなにこの試験は大事なのか!?」


…………あーーうっせぇなぁ。


「仕方ないだろ。この試験を逃したら来年まで待たなきゃいけないんだろ?そんなの俺には無理だ。今俺は、ここで、絶対に試験に合格しなきゃなんないんだ。………合格するためなら、命が危険に晒されようが俺は続けるよ」


「…………なんでだよ!さっきも言ってたろ!?勇者になんて本当はなりたくないってさ!それなのに命までかけるなんて………言ってることが矛盾してるだろ!」


ステージに登りそうになるほど身を乗り出すエンタ

…………まぁ、確かにそうだな。


「なりたくはないが今の俺には必要なことなんだよ。目的のためだ、お前に理解してもらおうなんて思っていないさ」


俺はエンタの方に向けていた首を、筧君の方に向ける。


「それに………俺は絶対に死なんよ。死なないってあいつと約束したからな」


俺は筧君に指を向けて、くいくいッと動かす


「来いよ筧君。さっきは善意だとか何だとか言ってギブを促してたが………あれは建前だろ?実はお前、俺のことを殺したくてうずうずしてんだろ」


ニヤ

筧君が不敵に笑う


「ああ、そうだ。あそこまでコケにされたら誰だってキレるっつの。お前を殺さないと気が済まないんだよ俺は」


自尊心の塊だな…………ちゃんと教育してやらなかったのか?周りの人間どもは


「そんじゃお言葉に甘えて…………へへっ」


剣が更に光り出す!


「死んでくれ」


ピュン!!!!


剣の形をした極大の光が高速で突っ込んでくる!

…………ああ、これは確かに水だけじゃかわしようがないなぁ。でもよ、筧君。君は知らないんだよなぁ、俺の魔力は水だけじゃないんだぜ?水を凍らせることもできるんだぜ?


パキパキパキパキ…………ズァン!ズァン!ズァン!ズァンンン!!


俺と光の間に氷の壁が8個生み出される!


カキン!

1枚目の氷の壁に光が当たると、氷が弾ける音が響き………

ヒュン!

光が反射して筧君に向かって飛んでいく!


氷の光の反射率なんてどんなに鏡面を磨いても多寡が知れている!光の全てを反射することはできない。だけれど、少しの光なら返すことができるんだぜ?………それに、


2枚目3枚目の氷を少し斜めに作っておいたから、剣の形をした光は屈折して俺の正面から少しずれる!

さらに4枚目5枚目と氷の中身を荒くしておいたからさらに細分化されていく。

光が氷を通過するたびに、パリンパリンパリーンと氷の弾ける音が聞こえてくる。


6、7、8枚目の氷は光が少し上へと行くように斜めに設置した。これでもしものこともないだろう。

…………そして


「氷って………マジかよ!」


筧君は跳ね返った光をかわすために俺から見て右へとジャンプする。俺が少し左側に向けて撃っておいたのだ。


ヒュヒュヒュン!!

そこに狙いすましたかのように光が飛んでいく!

俺が剣を氷の性質に変えて光を剣で打ったのだ。結構な距離があって、俺の氷の壁である程度の場所まで光を誘導できるからな。それを反射するなんて頑張ればできる。


「う、うおおお!!!」


ドドドォォオオオンンン!!

小規模な爆発が連続して筧君の周りで発生する。まぁ、周りってか筧君の皮膚の下でだけれどね


「いやーーやっぱり君は強いよね。一撃だけで人を再起不能にまで持っていけるんだから…………本当、俺なんかの数十倍は強いんじゃないの?それで慎重さがあればなお完璧なんだけどなぁ」


煙の中から、腕が吹き飛んでいる筧君が現れる。さっきの爆発食らって立ってるか………やっぱり強いなぁ。


「とっさに右手で体を庇ったか………でもそれじゃもう戦えないだろ?無理はするもんじゃないよ」


「………うるせぇ、お前なんて片手一本あれば十分なんだよ」


筧君はそう毒づきながら走り出す。………が、


「ぐぁぁあああ!!!」


筧君は叫びながらぶっ倒れ、片手を抑えるようにうずくまる


「腕吹っ飛んだ後ってめっちゃくちゃ痛いから。ほんの少しの衝撃で泣きたくなるレベルだよ本当。俺も一回経験したから分かるよ」


俺はまぁ、腕を自分で骨折させて、斬り飛ばしただけだけどな。腕がまるまる吹き飛ぶような酷いところまではいってない


「うるっ………さい!やるっつったらやるんだよ!お前なんて、絶対に倒してやる!」


それでも諦めずに立ち上がる筧君………見上げた根性だな


「なんだよ、プライドだけの人間かと思ったらちゃんと根性があるじゃないの、正直見くびってたわ………ああ、だからエンタはお前に勝てないのかな?だってあいつ根性ないもんな」


俺は剣を腰に収めて、筧君に向かって走り出す!


「お前のことは気に入ったが………今は少し休んでな。」


俺は右手を振り抜く!


「うるせぇ!お前の攻撃なんて痛くもかゆくもねぇ!」


筧君は片手で俺の攻撃を防ごうとする


俺のパンチは確かに遅い。多分勇者最遅だろう。でもな、俺のパンチは硬いぞ?どんなに相手の装甲が固かろうが、どんなにお前の防御が固かろうが、俺の拳は壊れることはない。お前のそのガードを壊すまで、俺はお前が言ったようにゴキブリ並みにしつこく攻撃し続けるぞ?


ガガガガガガガガガガ!!!

俺の連打が筧君のガードを削っていく!


「…………くっ!!」


グラっ

筧君の体勢が少しぐらつく


いまだ!


「俺の拳は、どんな物にも折られることはない!全てを貫くんだよ!!!」


メシッッッ!!!

筧君のガードが吹き飛ぶ!


「これぐらい…………!?」


筧君の足に大量の水が襲いかかり、上半身の後ろへ吹き飛ぶ衝撃と相まって筧君の両足が宙を浮く。


俺は殴った時のエネルギーをそのまま利用して一回転して、左肘を筧君の真上に持っていく。

パキパキ………

そして、俺の肘が氷でコーティングされる


「死ぬほど痛いぞ?気をつけろよ」


メシッッッ!!!!!

筧君が地面に落ちるのと、俺の肘が筧君の鳩尾に炸裂するのは同時だった。


「がっっっはっ…………」


筧君の胸骨が折れたような感覚がする…………筧君は泡を吹いてその場でずっと倒れている。

まぁ、立ってられたら俺以上のサンドバッグ野郎ってことだな。


「あーーーこりゃ試合続行不能だわ。………それじゃあ勝者は飯田狩虎だ。」


…………よし!第三次試験合格だ!

重要関連作品

カイが死んだあの事件とそれ以降をイリナの視点で追っていた作品。全4話約94000文字→https://ncode.syosetu.com/n6173dd/

カイが死んだあの事件とそれ以降を狩虎視点で追っていった作品。全15話約60000文字→https://ncode.syosetu.com/n1982dm/

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