62_刀の記憶
オサキは、カナエの墓前に花を供え、そっと合掌する。愛娘の命の灯が消えたこの地に二十年ぶりに戻った彼女の心に去来するのは、一体どの様な感情なのだろうか。オサキと共に墓前で手を合わせるアヤセは、そう考えずにはいられない。
ゲンベエ師匠とオサキの再会は、思っていたよりもさっぱりとしたものだった。涙に暮れることなく、また、二十年という時の長さを嘆くこともなく、お互いの無事を確かめ、再会を控えめに喜ぶだけに留めたのは、ひとえにアヤセ達がその場に居合わせたのも理由の一つかもしれない。
「オサキさんに自分達が同行する理由の一つが、大人数でゲンベエ師匠のもとを訪れ、必要以上の愁傷場にならないようにするためです。二十年という時間は、タダスケ君が側にいても二人だけでは精神的に重圧となるかもしれません」
アヤセは、昨晩マリーとホレイショに今回オサキに同行した理由をこのように説明していた。
(最も、自分の考えは余計なお世話になるかもしれない。でも、仮にそうだったらその時は黙って帰ればいいだけだ)
今のところ、オサキとゲンベエ師匠はアヤセ達がいることを特に気にしている様子を見せていないので、退散する必要は無さそうだった。
「ゲンベエ殿……」
オサキが一緒に合掌していたゲンベエ師匠に語りかける。
「タダミチの生霊も鳴りを潜め、ようやくあの子も安らかな眠りにつくことができるでしょう。私が逃げ出していた間、カナエのことを見守ってくださり、本当に感謝いたします」
「勿体ないお言葉です。オサキ様もバンボーでカナエのことを忘れずに弔いを続けてこられていたとアヤセから聞きました」
元は主従の関係にあった二人は、ゲンベエ師匠がオサキを様付けで呼び、敬語で話す。
「それに、強力な生霊は鎮められ、墓前を汚すことは無くなりましたが、その残滓は未だに近辺を徘徊しています。また、墓標を建ててから長い年月を経ましたので、細かい箇所に傷みが見えてきました」
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【クエスト(NPC)】
ゲンベエ師匠の依頼(1)
内容:タダミチの生霊を討伐せよ
報酬:銑鉄のレシピ、2,000ルピア、経験値200
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【クエスト(NPC)】
ゲンベエ師匠の依頼(2)
内容:カナエの新しい墓標となる素材をゲンベエ師匠に供出せよ
報酬:白パンのレシピ、4,000ルピア、経験値300
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「おい、クエストが出たぞ。でもよ、『タダミチの生霊』って相棒が倒したんだよな?」
「トカゲの時もそうだったが、どうも特定の場所に現れる特別な敵は倒しても再出現するらしい。だから、夜になるとおそらくこの場所に出てくるだろうから、それを討伐するとして、石材はどうしたらいいのだろう?」
「ま、フィールドで入手するのがセオリーだよな。最も、王都に戻れば、石材店を営んでいるNPCとかいるかもしれねぇな」
「『白パンのレシピ』って魅力的な報酬ですよ。このクエストは是非受けましょう!」
マリーの言うように、白パンのレシピは魅力的な報酬であった。アヤセ達は小声での相談の結果、二人より出されたクエストを受注することにした。
「ゲンベエさん、もしよろしければ、依頼をお受けしたいのですが」
「おお、アヤセよ、引き受けてくれるか! 期限は特段設けておらぬから、手が空いたら取り掛かってくれ」
「皆様、よろしくお願いいたしますね」
(墓石といったら、やっぱり御影石だろうか……。フィールドを歩き回るより、王都で石材店を探して相談した方が効率はよさそうだな。一度王都に戻って店探しから始めてみよう)
王都に戻ったら石材探しに取り掛かることを決めるアヤセ。折角だから、カナエの墓標として相応しい良質な石材を探してみようと思ったのだった。
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真夜中の墓所の前で、不気味な靄が集まり何かを作り出していく。そして、その最中にアナウンスが響き渡る。
=パーティーアナウンス=
フィールドボスと遭遇。エリア内からの離脱ができません
「出やがったぜ!」
アヤセ達の前に現われたのは、一体の霊体系モンスターだった。
「こいつが『タダミチの生霊』だ」
====鑑定結果====
名前 タダミチの生霊
レベル 22
職業 モンスター(霊体系)
HP 660
MP 580
装備
武器 錆びた鈍刀
頭 なし
外体 なし
内体 みすぼらしい死装束_上
脚 みすぼらしい死装束_下
靴 なし
装飾品 なし
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「自分が以前遭遇したユニークボスに比べたら、HPとMPは三分の一程度だ。これなら問題無く対処できる」
「そ、そうなのですか? 何だか怖いです……」
実体を形成し、雄叫びを上げるタダミチの生霊を気味悪がってマリーがたじろぎ、テイムモンスター達も彼女の後ろに隠れる。だが、アヤセは前回死闘を演じたユニークボスに比べ、眼前の敵の迫力が幾分も欠けているように感じていた。
アヤセは鍔元に手をやり、すり足で敵との距離を瞬時に詰める。一方、タダミチの生霊は自身に近付いて来る相手が思っていた以上に速いことに焦り、何とか間合いを保とうと右手に持った刀を横振りに振り付ける。
太刀筋も定まらず苦し紛れで振られた刀を難なくしゃがんで躱しつつ、アヤセは鯉口を切り、立膝で刀を抜き付けて敵の右足に斬撃を加えた。
「ぐるぅわぁぁ!」
声に焦燥感を滲ませ、タダミチの生霊は大きく叫ぶ。
HPを半分以上奪った八倍判定の抜付けは、敵の動きを止めるにも十分だった。アヤセはその隙にスキル【換骨奪胎】を発動し、装備品を全て回収する。そしてバランスを崩した相手の右腕と左足をプリスの袖で絡め取ると、強引に宙に高く持ち上げ、背中から地面に叩き付けた。
激しい音をたて、仰向けに川原に投げ出されたタダミチの生霊は、(霊体系モンスターが呼吸をするのか分からないが)肺から全ての空気が吐き出されたかのように動きが止まる。アヤセはその隙を見逃さず四倍判定の流れを保ったまま、立膝から立ち上がり、両手持ちの刀を大きく振りかぶった。
「………!!」
落ち窪んだ眼窩でも、驚愕の表情を浮かべているのが分かるタダミチの生霊の頸部に、アヤセの必殺の意思が込められた刃が斬り下ろされた。
=パーティーアナウンス=
フィールドボス「タダミチの生霊」を撃破しました
(ユニークボスに比べてかなり見劣りする敵だったな。しかし、基礎レベルが低めのプレイヤーが多い王国においては、このくらいのレベルが妥当かもしれない。寧ろユニークボスの強さの方が特殊なのだろうな)
血振り、納刀をしつつ、タダミチの生霊がエフェクトを散りばめて消えていくのを横目に見てアヤセはそう考える。ボスの討伐はものの数分であっという間に終了した。
「瞬殺かよ……! お前さん、凄ぇな」
ホレイショがアヤセとパーティーを組んだのは今回が初めてであったが、その実力を目の当たりにして驚きを隠せない。
「俺の基礎レベルは39だが、正直お前さんとガチでやり合って勝てる気がしないな。これだけの実力なら、レベル差が40もあるPKを倒したという話も納得モノだぜ」
「アヤセさん、素敵です……」
マリーとホレイショが、それぞれ賞賛し、テイムモンスター達もアヤセの周りに集まり短い前足でアヤセの足をバシバシ叩くが、本人はそれに気を良くする様子も見せず、淡々と応じる。
「全ては『無銘の刀』のポテンシャルのお陰だ。これが無ければ、自分は攻撃の決め手が無く、敵と碌に渡り合うこともできないのだから」
「刀のポテンシャルは『鞘の内』でしたよね? 確かに効果は強力ですけど、これを使いこなせるのは、アヤセさんくらいしかいないと思いますよ」
「ああ。相棒のプレイヤースキルは相当なものだぜ」
「……っ! 自分なんてまだまだだ」
アヤセは言葉短く、不機嫌そうに話を切上げる。マリーとホレイショは、態度を硬化させた当人の変化を不思議に思い、お互い顔を見合わせるが、二人とも心当たりが思いつかなかった。
「それより、撃破報酬がインベントリに送られたようだ。残念ながら相手が相手だけに、あまり良い報酬とは言えないけど」
意図的にアヤセが話を逸らしたことに二人は気付いていた。しかし、これ以上は当人から何も聞き出せないと察し、それぞれ自身の戦利品を確かめるべく、インベントリを閲覧する。
「……そうだな。俺の報酬は、『銅鉱石★2』と『麻布★1』と『ダーイズの種★2』の三種類だ」
「ケピ帽の効果で★が3の物もあるが、自分も大体同じだ。撃破報酬は鉱物系と布素材系と農作物系の三種類で固定らしい。ユニークボスは破格だったのに、ノーマルタイプはそれほどでも無いようだ」
ちなみに、アヤセがスキル【換骨奪胎】でタダミチの生霊から奪った装備品も品質、価値共に最高で2までしかなく、ポテンシャルも有用なものが一切無かった。
「でも、素材が手に入ったのは、私にとっては嬉しいです。生産にも使えますから」
「まぁ、そうですね。用途は何かとあるでしょう。それで相談なのですが、マリーさんの農作物系素材と自分の布を交換しませんか? 自分は菜園を借りているので、種や苗は有効活用できそうです」
「アヤセさんは菜園で農作物を育てているのですか? ちょっと意外に感じちゃいました。素材の交換は私からもお願いしたいです」
「俺も、鉱物を交換してもらいたいが構わねぇよな?」
三人は、アヤセが農作物系を、マリーが布素材系を、ホレイショが鉱物系のアイテムをそれぞれ交換して手に入れる。三人分の報酬なので、質はともかくそれなり量を得ることができた。やはりパーティーを組むと効率的だ。
「さてと、やることも終わったし、鍛冶場に帰るとするか」
「そうですね。素材も手に入ったので良かったです」
カナエの墓標にそれぞれ手を合わせ、三人は鍛冶場への帰路につく。取り敢えずゲンベエ師匠達のクエストは一つクリアした。カナエも、ゲンベエ師匠が言うタダミチの生霊の「残滓」を排除した今夜は静かに眠れるだろうかとアヤセは考えるのだった。
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翌朝……。
アヤセとホレイショは、ゲンベエ、タダスケの師弟と共に早朝の鍛冶場にいる。
「それで、お主達は今日出立するのだな?」
「はい。今日はポワティエで一泊して、明日オサキさんをバンボーまで送り届けたいと思っています」
行く行くは、ゲンベエ師匠とオサキは、鍛冶場で同じ屋根の下で暮らすことを考えているようだが、それは狐陶庵の生活の整理がついてからになりそうである。今回のところは王都に戻ることをオサキは選択し、アヤセ達もそれを受けて、日帰りで戻る予定を変更して、ポワティエの宿場町で宿を取ることにした。
「そうか。オサキ様のことをくれぐれも頼んだぞ。それで、お主が気に入った物はこの中にあったか?」
ゲンベエ師匠がホレイショに尋ねる。
「そうだな……。どれも良い武器ばかりで迷っちまうぜ」
「ここにあるカットラスは全て実験的に打ったので、性能も平凡な物だ。これで良いならどれでも好きな物を譲ってやるぞ」
「性能で迷われるのでしたら、ポテンシャルで選んでみたらどうでしょうか? アヤセさん、何か良さそうな物はありませんか?」
「そうですね、これなんていかがでしょうか?」
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【武器・中型刀剣】 猫足風のカットラス 品質4 価値4
耐久値 400 重量30 斬35 突15 打27 魔23
装備条件:STR 35以上
特殊効果:なし
ポテンシャル( )…風波(風魔法被ダメージ値30%down)
ポテンシャル( )…波状攻撃(通常攻撃に連撃効果追加)
ポテンシャル( )…風の刃(スキル【エアブレイド】使用可)
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タダスケの問いかけにアヤセは一振りのカットラスを手に取り、ポテンシャルを他の者達に説明する。
「当たりは『風の刃』で、次点は『波状攻撃』でしょうか? スキルが使用できる装備品は貴重な上、有用です」
「ポテンシャルの付与が上手くいかなかったら、別の物を選んでもいいぞ。とにかくやってみたらどうだ?」
「いいのかい師匠? じゃあ相棒、頼む」
「了解だ。ポテンシャルを付与する」
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【武器・中型刀剣】 猫足風のカットラス 品質4 価値4
ポテンシャル(1)…波状攻撃(通常攻撃に連撃効果追加)
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「うーん……! 『波状攻撃』か」
「うむ、一応次点だが、どうする? また、選び直すか?」
「いや、いいぜ。俺はサブジョブが水兵だから銃を装備できる。そう言う訳で、遠距離攻撃の手段が絶対に欲しいという訳ではないからな。いや、しかし、これが五千ルピアでいいなんて、正に掘り出し物だ。師匠には礼を言わなきゃいけないぜ」
「これは先程も言ったとおり試作品だからな。それに礼ならアヤセにこそ言うべきだろう」
「ああ、そうだな。ありがとうよ、相棒」
「まあ、良作あってのポテンシャル付与なのだから、礼など無用だ」
「良かったですね、ホレイショさん」
「おう、ありがとよ。今度は『★』の数が多い素材を多く手に入れて、是非とも新調を頼みたいぜ」
「どちらかというと儂の専門は刀だから、カットラスの性能までは保証はできぬぞ。それで良いのなら、今度持ち込んだ素材で新調してやろう」
お目当ての武器も見つかり、新調の約束を取り付けることができたホレイショは、当初の目的を果たすことができ、満足げだ。
「それでは、朝食の準備もできていますし、一旦母屋に戻りましょう。今朝はオサキ様にもお手伝いいただきましたから、いつもよりきっと美味しいですよ」
「そいつは楽しみだな。無事に武器を調達できて一仕事終えたから、腹が減っちまったぜ」
アヤセは、ホレイショとタダスケがオサキ特製の朝食の御相伴に預かろうと母屋へ移動しようとするのに倣い、一緒に鍛冶場を退出しようしたがゲンベエ師匠に呼び止められた。
「待て、アヤセ。お主に話がある。時間をくれぬか?」
「ええ、自分は結構です」
「じゃあ、俺達は先に行ってるぜ」
ホレイショとタダスケが母屋に移動し、鍛冶場にはアヤセとゲンベエ師匠の二人きりになった。
「……」
ゲンベエ師匠の表情は、一変して非常に重苦しい。先ほどとは打って変わった空気の中、師匠はおもむろに口を開く。
「済まぬが、お主の刀を儂に見せてくれぬか?」
「自分の刀でしょうか? どうぞ御覧ください」
ゲンベエ師匠の出し抜けな依頼にアヤセは応じ、「無銘の刀」を脱刀して作業台の上に置く。
「…………」
刀を手に取り、ゲンベエ師匠は丁寧な所作で鞘から刀身を抜き、眼前に掲げ食い入るように見据える。長い時間刀身を眺めていたが、やがて何か確証を得たらしく嘆息混じりにつぶやきつつ鞘に納める。
「そうか、やはりか」
「何か思い当たることがあったのでしょうか?」
「うむ。この刀は、タダミチが打った物だ」
「えっ……!」
確かに「無銘の刀(消刻)」は、タダミチの生霊からアヤセがスキル【換骨奪胎】で奪った代物なので、生産者がタダミチであっても不思議な話ではない。そうは分かっていても、アヤセは驚きの声を上げずにはいられなかった。
「そうだ。しかし、解せぬのは、銘が消えていることだ」
(装備品名にもわざわざ「消刻」って入っているくらいだから、元々何かしらの銘が刻まれていたとは、何となく想像はできるな。しかし、消された銘とは一体何なのだろう。ゲンベエ師匠も知らないのだろうか?)
「確か、タダミチは何か銘を刻んでいたはずだが、思い出せん。今後、もしかしたら思い出すやもしれぬ。その時は、お主にも伝えよう。……刀身の研ぎ直しをするから、少々待っておれ」
そう言いながら、ゲンベエ師匠は砥石等、刀を研ぐ道具を鍛冶場から集め、刀を再度抜き、柄の目釘を抜いて、鍔やはばき等一式全てを素早く取り外すと、刀身を水で濡らした砥石に当て研ぎ始める。手際の良いしゃりしゃりという研ぎ音だけが、静まり返った鍛冶場で聞こえる。その音はまるで刀がすすり泣きをしているようだった。
「……」
銘の件はどうやら、継続イベントらしい。
アヤセは当初、イベントを進めれば、銘が分かる程度のものだろうと、軽く考えていたが、刀を一心不乱に研いでいるゲンベエ師匠の姿を見て、事態は思った以上に深刻であると捉え、その変容ぶりについて理由を思案していた。
(正に「鬼気迫る」とは今の師匠のことを言うのだろう。それにしても、娘を手にかけた本人が打った刀を研ぐ心中は、どの様なものなのだろうか? ……待てよ、タダミチは娘の仇だよな? ………! まさか!!)
ここまで考えを巡らせて、アヤセは、重大なことに気付き愕然とする。
(「無銘の刀」は、タダミチの生霊が持っていた。もしかしたら、この刀でタダミチはカナエさんを手にかけた可能性がある! ゲンベエ師匠はそれが分かっていて刀を研いでいるのか!?)
自身の愛用している刀が、カナエの血を吸っている可能性があることにアヤセは気付き、衝撃を受けると同時に、その様なものを今までゲンベエ師匠の前で帯刀していた無神経な振舞いを悔やんだ。
「ゲンベエさん。その刀は……」
「……」
ゲンベエ師匠は、しばらくアヤセの問いに答えず沈黙していたが、おもむろに口を開く。
「……カナエの死の原因は、タダミチの狂気だ。刀自体に罪は無い。それに、お主はこれでかの生霊を二度も滅したのだ。彼奴も自分の得物で討たれることになるとは想像だにしなかっただろう。これからもお主がこの刀と宿命を共にし、多くの者を扶け、帝国に立ち向かうことを儂は願っている。刀を研ぐのもお主に対する儂からの手向けだ」
「恐れ入ります……」
言葉に詰まりながらもアヤセは深々と頭を下げる。その後、ゲンベエ師匠がきっと最高なかたちで仕上げてくれるであろう刀の研ぎが終わるのを、その一挙手一投足を見逃すまいとじっと見つめながら待った。
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【武器・中型刀剣】 無銘の刀+(消刻) 品質6 価値6
耐久値 620 重量20 斬84 突79 打55 魔64
装備条件:STR 25以上
特殊効果:・対:霊体系モンスター攻撃力up(中)
ポテンシャル(1)…【付与済】鞘の内
(初太刀の攻撃速度及び威力8倍、一連の技の流れが
続く限り全ての攻撃速度及び威力4倍)
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早朝の庭に空気を切り裂くような鋭い音が鳴り響く―――
ゲンベエ師匠をはじめ、全員が見守るなか、アヤセは手にした刀で、試し切り用の三本束ねの巻き藁を難なく袈裟に断ち切った。
今後、自身がカナエさんのような人に出会った際、この刀を救う側で役立ててみせる。ゲンベエ師匠やオサキさんのような不幸な人達を生み出さないために……。アヤセは刀を鞘に納めつつ、そう決意を固めるのだった。




