NO・8
手を振った瞬間、火は消えた。
火があった場所には水跡が残っていて、またしても現実を思い返すことになった。
だけど、今水を使ったは、自分の意思だった。
自分の意思だったのに、憂鬱しか感じない。
でも、今の火は一体・・・
「おい、可愛そうだろ、女の子だぜ?」
日向がそういって斗鬼に抗議した。
「びびってんじゃん、まぁ、急に火が出てきたらびっくりしないわけないけど・・・」
日和もそういって斗鬼に近づいた。
「うるさい」
そういいながらも、斗鬼は少し後悔していた。
ここに迷い込んだだけだったかもしれないのに、脅かしてしまったかもしれない。
指先に浮かぶ炎をつけたり消したりしながらそう思っていた。
だが、
「お、おい!」
日向が急に声を上げた。
「何だよ・・・」
「見ろ!」
日和も驚きの表情を見せて、下を指差している。
「は?」
斗鬼はもう一度下を見た。
「な・・・!」
火は消えていた。
水跡を残して、炎の跡すらない。
何故?
斗鬼はそう思い、考えるより先に飛び降りていた。
「わ!」
急に上から人が落ちてきた。
私は驚きのあまり硬直してしまった。
「おい、今のどうやった?」
落ちて・・・というより、降りてきた私と同じくらいの男は、私を見るなりそうきいてきた。
「え?」
「今どうやって炎を消したんだよ?」
問い詰めるように近づいてくる。
私は誰なのかもわからない人に、そんなことを聞かれるとは思っても見なかったので、呆然としてしまった。
「おーい、斗鬼」
「初対面で何聞いてんだよ」
その後ろから二つの影が現れた。
顔はそっくりだし、着ている服も同じなのに、全く雰囲気の違う二人だった。
「ゴメンね、この人、興奮するとすぐこれだから」
服を着崩しているほうの人が私に声をかけ、
きちんと着ているほうの人が斗鬼と呼ばれた男を止めた。
「は・・・はぁ・・・」
私はその光景をただ見ていた。




