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影色  作者: 奏良
30/37

NO・29

「金はあるか?」

斗鬼は目の前にいる男に尋ねた。

「金はあとでいいだろう」

「後じゃダメだ。悪いが、俺はただ働きはゴメンでね」

男が金の入った袋を差し出す。

斗鬼は満足げにうなずいた。

「じゃあ、行こうか」

二人は暗闇の中へと歩を進めた。


「さて・・・」

私は斗鬼さんの後をつけた。

いけないことだとは知っている。

でも、どうしても知りたかった。

全て・・・そんなものがあるわけが無いのに、斗鬼さんのすべてを知りたいと感じた。

「金はあるか?」

茂みの中で目を凝らすと、そう言う斗鬼さんと見知らぬ男の姿がある。

「金は後でいいだろう」

「後じゃダメだ。悪いが、俺はただ働きはゴメンでね」

斗鬼さんの声に、男はしぶしぶといった様子で数枚の金貨が入っていると思われる袋を差し出した。

「じゃあ、行こうか」

金の袋を懐にしまって、斗鬼さんが男に言う。

斗鬼さんの口調は、心なしか楽しそうだった。

私は遅れないように二人に続いて暗やみの中へと入っていった。


「あれ?ナイトは?」

日和が日向に尋ねた。

「ナイト?あぁ・・・仍か」

「違うよ、ナイト」

日向は仍の偽名にまだなじめずにいる。

心の中ではぁ、と溜息をついた。

「で、ナイトはどこ?」

「さぁ?さっきまで外に・・・」

「さっき?」

「斗鬼が出て行くまでは外にいたけど」

「じゃあ、小屋にでもいるかな?」

二人はそれで納得し、眠りについた。

まさか、斗鬼を追っていったなんて、微塵も考えてはいなかった。

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