NO・18
兵隊の数は徐々に減っていた。
だが、伴って村人たちの数も減っていた。
床に流れる血が靴を染める。
そんな余裕ないはずなのに、私は村人たちに同情していた。
それが隙になる。
兵士の短剣が頬を掠めた。
血が流れ出ているのを感じる。
憎い憎い憎い
私の青い目は憎しみを増した。
私たちは何も悪いことなんてしていないのに。
村人たちをも巻き添えにして、何が楽しいの?
何が嬉しいの?
爆破寸前まで膨らんだ憎しみが目の青さを引き立てる。
私は必死で水を使いながら斗鬼さんを見た。
斗鬼さんは頻りに誰かを探しているかのように目を動かしている。
私の近くに兵士は少ない。
代わって、斗鬼さんの周りは兵士だらけだ。
私は手助けしようと頬の血をぬぐって走ろうとした。
そんな時だった。
火を使いながら敵の攻撃をかわしていた斗鬼さんに旧式ボウガンの矢が当たった。
「くっ・・・」
そこを狙って兵士たちが攻撃に入る。
「斗鬼!」
日向と日和が駆け寄ろうとするが、別の兵士に邪魔され、前に進めなくなっている。
「い・・・いやだ!」
私は叫ぶと駆け出した。
「おい、水少女、こっちに来んな!」
斗鬼さんがそう叫んでいたが、私は聞かない。
というよりも、勝手に足が進んでいた。
確かに私は弱いかもしれない。
斗鬼さんみたいにうまく能力も使えない。
でも、こんなときにそんなことまで考えている余裕なんてなかった。
「いやだ!」
私はもう一度叫んで斗鬼さんの前に立った。