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籠城





明道「まさかストームを消すとは……」


 明道は台風の消滅に驚きを隠せなかった、全ての思惑がこうも見

事に予測不可能な事態に陥った事は今までに無かった、だがその予

測不能という不確かなものでなければ真っ当に科学が進んだ異星人

相手に全てが常識という範囲では劣っている人類が生き残れる可能

性は極めて低い現実があったからだ、故に人類存続の為に動いて来

た彼にとってもここは決断の時だったのだろう。

『奴の行動は不確か過ぎる……そんなあやふやな物に賭けている場

合ではない少しでも確かな方法……いや確かな方法等そもそも存在

する物なのか……?だが現実は』


ーー地下シェルター前ーー

笠田「何だ!奴は……人間か?こんな考えなど異常者のする事だ!

な、そうだろう?考えたとて確証の無い事に大勢の命を委ねる事等

こんなもの決して認める訳には行かぬ!奴は危険だ、この場は納め

ても根本解決など何もしておらん、そうだ……何も解決しとらんで

はないか、その場凌ぎの救済など、人類存亡の危機の中た、たか

が台風を何個か消滅させた、それだけだ奴は必ず消さねばやがて異

星人との交渉もほっとけば奴1人のせいで弊害が起こる可能性も高

い……殺さねば、正義の名のもとに……人類の為に」



笠田談


 正義とは……笠田は悪でハクは正義それは見る視点によっても違

うかも知れない、人間という種族を絶滅から避ける為に確率の高い

方法を選んだ彼、多少の犠牲は命によって支えられている現代でも

変わらない、生きる為に食う、それは人間が地球上では最高捕食者

という前提、異星人からすればその人間が異星人であり地球人は牛

や豚などの家畜生物という認識からすれば人の歴史同様そういう命

の犠牲の上に成り立つのである、侵略というものも所謂、宇宙から

すればごく自然な小さな出来事なのだろう……そこにある倫理に正

解は無い、だがあるのだろう……無いが在る、矛盾の中に真実は在

る、人が未だ在る物を工夫し人は歴史を作っている、だがそこに無

から生まれるものは未だ存在しない、それを神域と呼びのかも知れ

ない……その鍵は存在し存在しない人の思いや心なのかも知れない

心震わせる光という名の方向性が真の正義とすればハクの行動は未

来であり自然ではなくたどり着くべき真理の力なのかも知れない。



シェルターにかかったロックを秘書が開けようとしていた。

「何をモタモタしておる!台風は去った事で全ての計画はバレたの

だぞ、従えたレイダー達もワシが見捨てた事がバレとるだろう……

シェルターがもたない事もワシがあの場に居ない事で……放送もだ

自衛隊の囲み戦略及び避難の際に人海戦術で奴らの増援を止める為

に避難場所を見せかけだけのシェルターに誘導したのもじゃ!全て

は台風が始末する予定が……ここで暫く身を隠す、見つかったら終

わりだ、ワシは生き残らねばならないのだ」


執事「……心えております」

笠田「何をモタモタしておる早くせんか!馬鹿者」

執事「はい」

 背後から怒りを露わにする挙動は執拗に彼の持つ杖で執事に向か

うのだった、暫くし続々と遅れて幹部達が此処に集った。

笠田「集まったか出直しだ、ここなら食料も豊富に備蓄がある」

話を遮るように幹部達を掻き分け楠木と黒田が笠田の前に立った。

「遅いぞ、護衛幹部が何をしておった馬鹿者」

黒田・楠木「申し訳ない」


感情を露わにする笠田は秘書を突き飛ばし慌てていた。

笠田「早くしろ!どけワシがやる」

幾度と番号を打ち込むも解錠出来なかった。


楠木「……暗証番号は合わないぜ、俺らが変えといたからな」

黒田が銃を笠田に向けた、その行動に他幹部が一斉に2人に銃を向

け周りを取り囲む。

笠田「……どう言うつもりだ」

黒田「仕事なもんでな」

笠田「仕事だと……何一つ仕事をこなせなかったお前らが、このワ

シに銃を向ける事が仕事だと?反乱か、だがお前達2人で何が出来

ると?銃を下せ今なら不問にしてやってもいい」

黒田「要らないね」

笠田「貴様、ワシの前ではその態度と喋り方をするなと言った筈」

黒田「まっ指示でそうして来たけど、俺は元々こういう人間だった

でしょーヨ」

楠木「やっとお前らしくなったな」

黒田「お堅いジジィだからな、仕方ない」


緊張の中、集団を掻き分け明道が姿を現したのだった。

笠田「貴様か……反乱という訳か、首謀者はお前か」

「反乱?ちと違うな……」

笠田「血迷いよって3人如き周りを見ろお前達に向く銃口の数を」

明道「3人?」

 明道が指を鳴らすと楠木、黒田に銃を構えていた者達の銃口が一

斉に笠田に向けられた。

笠田「なっ!」

明道「おっさん、そういうこった」

笠田「何故だ、何故皆ワシに従わん」

黒田「説明が要るか……面倒臭い奴だな、おっさん、ことの始まり

を思い出してみ?どうやってこのコミュニティを作った、そしてど

うやって仲間を集めた?仮にもレイダーを謳う荒くれ者達が汚ねぇ

素性もわからねぇおっさんの戯言を素直に聞く奴等がいると思った

のか?お気楽だな」

笠田「何を言うか!崇高な目的で集まった筈だ!皆人類存亡の為」

明道「だが俺はオッサンの意見もアリだと思ったぜ、故の今だ」

笠田「……まさか貴様」


明道「最初からお前は俺の操り人形だったと言う事だ、発足時集っ

た仲間一人一人ハナっから全て俺の仲間だ、何故か分かるか?表に

出ると動きずれぇからだ、全ての運営と矢面は人に任せるのが一番

だ、そしてお前の野望を叶える為最初に手を貸したのは俺だよな、

大事な取引先としてだけでなく鼻っから監視してたのさ、だが信用

を得る為に動いてやっただろ汚れ仕事もだ、まぁそれも俺の策だか

ら動かなきゃだけどな、故にお前は最初っから何もしてねぇて事、

社長が見えねぇ末端の社員ってとこか、だが異星人の交渉を道に人

類を存続する案は絶妙だった……おっさんの情熱と交渉術と言う実

力は確かだ、故に人類存続の策の一つに取り入れた訳だ」

笠田「では何故今になって」

明道「……気まぐれだ」

笠田「愚かな」

明道「かもな、おい開けてやれ」

シェルターのドアを解放し中へ入れてやるように指示した。

「おっさん、これからは自分の力でその思想を成り立たせてみな、

1からな、生かしてやる今までの贅沢とその命が給料だ、退職金も

払ってやる、ここにいる幹部の中でおっさんについて行く奴はいる

か?なら付いていけ報復はしないと約束する、こんな世の中だ何が

事を成し得るか想像は出来ねぇ……可能性をゼロにする気は無ぇ、

おっさんが正しく無ぇとも俺も言い切れねぇ、そこまで追い詰めら

れているのが人類の現状だからな」


笠田「……後悔する事になるぞ、お前もハクもだ」

明道「そりゃいい!復讐もまた原動力だぜ?やりたきゃやれ俺は俺

の道を行く、おっさんはおっさんの道を行け」


その時カケルが手を挙げ笠田に付いて行く意向を見せた。

明道「お前か……後悔しねぇなカケル」

カケル「あぁお前が変わったのはハクの影響だろう、その甘い考え

に乗ったお前に付いていく事は出来ない、俺はアイツらを直に見て

余計そう感じた」

明道「好きにするがいいさ、おっさん良かったな味方が居たぜ?他

は居ねぇようだから俺達は行く、ちなみに下っ端は正真正銘おっさ

んが集めた者達だ、好きに従えとけ、って今更ノコノコと出て行っ

たら真っ先に殺されるだろうがな」

笠田「……言いたい事はそれだけだなカケル入るぞ」


 ドアは閉じられた、内部はパニックルームになっており外部のモ

ニターから外も伺えた。

楠木「良いのか?あのおっさんを育てたのはお前だ、最早出会った

頃の狂言まがいの気狂いじゃねぇぞ、商談方法、統率も大した物に

なった、いずれはまた勢力を伸ばす可能性は低くは無ぇぞ」

明道「ハハハ!良いじゃねぇか、目的は同じだ、おっさんが上手い

事やれば俺が目的を果たしたのと同じだ、狭い視野で物事を見る必

要が何処にある?今の時代、野心家は心強いじゃねぇか、負けてら

んねぇってこちらも気合い入るじゃねぇか」

黒田「相変わらずだねぇ……まっ其処が明道の持ち味ってことね」

明道「お喋りは後だ、まだ仕事は残ってるぜ、いいか此処からもま

だ手が抜けねぇぞ、この台風で被害は甚大だ、外壁が倒壊寸前なの

はわかるな、ここいら一体はコミュニティが集中している、そう進

路方向のコミュニティは壊滅だろう……故に来るぞ大量のゾンビが

灯のついた此処目指して」


楠木「ホントここんとこ忙しいな」

黒田「進路の先に純衣がいる筈、通す訳にはいかない」

楠木「ホントお前も変わったな」

黒田「愛を邪魔する奴は」

楠木「もういい……頼むやめてくれ」

黒田「……」


 台風の進路方向に住む人間の多くは被害に見舞われた……そして

再びガスを浴びた人間は考える意思を持たぬ本能のみで動く獣とな

る、そして時間がさほど経過していなく再び目を開けたゾンビの動

きは人間と変わらない、いや痛みを感じない故に動きも素早く食欲

と言う欲望も高い脅威の化け物として此処に近づいていた。


ーーコミュニティ内部ーー


軋む防壁の音が時が経つほどに大きく広い範囲で危険を知らせた。

ヌク「一難去ってまた一難ってとこか……」

ハク「……確かに予想より早く来た、既に囲まれてる」

ヒロ「……なんすか怖い事言わないで下さいよ」


 防護柵の弱い部分の板が割れゾンビが中に入ろうと足掻き踠く姿

が皆の恐怖を再び甦らせた。

武丸「ゾンビ……この地鳴りの様な音ってあれが正体」

ヒロ「なになに、あれくらいの数さっきのドローンを使った策で

チャチャと殲滅っすよね!」

ハク「ドローンもう無いよ?」

ヒロ「何ですと!ななな、あの数どうするんですか!数で押された

ら抵抗する事なんて無理じゃなーい!またですか!何度命の危険が

きたら済むんですかー!」

武丸「往生際が悪いぞ……どうあっても此処は戦わなきゃならない

場面だ……」

ヌク「どうする気だ……ダイナマイトはワシが腹に巻いとる分はあ

るそれで道を開き正面突破しかないがかなりキツいぞ、奴らに恐怖

は無い爆発で吹き飛ばしたところで水みたいなもんだ、この人数で

は直ぐに後方の者から飲み込まれる」

武丸「……しか手が無いならやるしか無い」

ハク「いや此処は籠城しましょう」

雪丸「俺はハクに賭ける」

ハク「確証はありません……が希望は無い訳じゃない」

雪丸「その言葉だけで充分だ、俺は限界まで弟子を守るだけだ」


 蠢く影が圧をかけ辺りに響く、照らされたライトがゾンビ襲来で

消えていく……少し肌寒い風は恐怖の槍となり彼等に刺さる。


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