side アイリス
ナルメア姉様とテト姉様、そして私が信志さんたちを召喚してからもう一週間が経ちました。
本来であれば、一ヶ月はかかるだろうと思われていた国の復興も、信志さんのおかげで、終わりが見えてきている状態です。
信志さんは最近、能力の使いすぎで倒れてしまったので、今日は部屋でお休みです。
それを機に、私たちも休むよう、大臣や国の人に言われてしまいました。
最初は休んでもいいものか悩んだのですが、根を詰めすぎないほうがいい、という意見と、国の人の「自分たちにも頑張らせて欲しい」、という言葉にこちらが折れる形で、お休みをもらいました。
なので、今日は城にある部屋で何をするでもなく、ぼんやりとしていました。
そこへ。
「やっほー、アイリス。」
テト姉様がやってきました。
それも少し、困ったような顔をして。
「?どうかされたんですか、テト姉様?」
「……んー、アイリス、椿信志クンって今どこにいる?」
「信志さんですか?今日はまだ、部屋にいるかと思いますよ?」
いつもあっさりとしたテト姉様が言い淀んだことに、なんだか不安を覚えます。
どうしたんでしょう。
「さっき、ちょっと聞いたんだけどにゃー……。」
そのまま、声を落として告げられた内容は……。
「えぇ!?信志さんの他にも?」
信志さんの他に食べ物を作り出した操草師の人がいるかもしれない、ということでした。
「……ふーん、そっか。」
テト姉様の話を聞いていると、部屋にナルメア姉様、天野さん、間さん、そして信志さんの4人がやってきました。
そこでテト姉様が最初から説明をすると、信志さんは一言つぶやいて黙ってしまいました。
何かを考えている、のでしょうか……?
「話はわかりました。その件は私の方で調査します。」
テト姉様の話が終わり、ナルメア姉様が調査を引き受けてくださいます。
そのまま私と信志さんの方を向いて、
「その間にアイリスと椿様には、頼みたいことがあるんです。」
「何ですか?ナルメア姉様。」
「アイリスは知っていると思いますが、ここから近いところにメラーシュ、という町があります。」
メラーシュ……確か、近くに鉱山がある町、ですね。
「その町とこの国は、お互いの近況を報告しあうようにしているのですが、大臣たちの話では最近途切れているようなのです。」
だから様子を見に行って欲しい、とナルメア姉様は続けます。
私は大丈夫なのですが、信志さんは……。
「?……ああ、ゆっくりしたしもう大丈夫だよ。」
視線を感じたのか、信志さんが顔を上げて答えます。
「本当ですか?」
「やばくなる感覚も覚えたし、大丈夫だって。……多分。」
今日休むことになった理由の一つに、は信志さんの疲労もあるのです。
心配する私をよそに、信志さんがナルメア姉様に話の続きを促します。
「ありがとうございます。……それともう一つお願いが。」
「もう一つ?他の町も見に行くってことですか?」
「いえ、場所はそこだけで大丈夫です。ただ、そこは少し大地が痩せてしまっていて、農業があまり盛んではないのです。」
メラーシュは鉱山から発掘をするために森を切り開いた、と聞きます。
その影響でしょうか。
それで信志さんに頼む、ということは……。
「なるほど。『操草師』の能力ですか。」
「はい。倒れる原因となることをお願いするのは、心苦しいのですが。」
「いえ、さっきも言ったように、大丈夫でしょう。ボクにできることならやります。ただ、あまり過度な期待はしないでくださいね?」
信志さんが了承したことで、その場はお開きになります。
護衛についてくれる兵の準備があるとのことで、出発は明日の朝になりました。
少し思うところがあるのか、何かを考えてそうな顔で信志さんは部屋を後にしました。
「信志さん、少しだけいいですか?」
そんな信志さんを見て、私は思わず声をかけてしまいました。
そんなつもりはなかった私は、声をかけられて驚く信志さんと、お互いに驚いた顔を向けあってしまいます。
こんばんは、Whoです。
さて、2週間ぶりですかね、新章突入です。
幻の都とは何なのか。
メラーシュ?いやいや。
近くの鉱山?さて、どうでしょう。
休みに入ってもなかなかペースは変わらないと思いますが、気長にお付き合いください。
ではでは。




