05.それに既視感を覚えて【Side彼】
「っだあああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
ぶわっと吹き飛ばされた俺。
いや、吹っ飛ばされたのは俺だけじゃねぇけど。
「アーズラース!」
「はいぃぃぃ!?」
飛んでるからな。っていうか飛ばされてるからな。
語尾が伸びる伸びる。
「ついでにー。お前もー」
「……」
返事が無い……。
え? 何? もしかしなくても気絶してたりする?
「アーズラース! 拾えぇ」
なんとか聞こえたらしく、アズラスはディーを拾ったみてぇだが風に押し流されている。
てか、え? 見間違いじゃなければ、こっち来てねぇか?
「おいおいおいおいおい、マジでかよ!?」
真面目にその巨体が迫り来る時はマジでビビった。
とっさのアズラスの機転で人の形をとらなかったら、俺は死んでた。確実に死んでた。
「オルドビスっ!」
「もしもの事があっても、予定通りなぁ!」
俺は魔力でなんとかしようと、呪文を唱えた。
《我が身の自由を奪うもの。オルドビスの名において、拒む事を許さん!》
最後のフレーズの前に、アズラスがディーを押しつけてきた。
その顔が薄く笑っていたのが気になる。裏の意味はなんとなく分かるけど。
俺は片手で受け止めながら最後の言葉を紡ぐ。
《風魔法・竜神逆鱗!》
ゴウッと風が荒れ狂う。
竜巻を起こす魔法で逆回転させて相殺してみようと思ったんだけど、な……。
何か、思ったよりもでかくねぇ?
つか、竜巻って言うより台風だろこれは!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
情けねぇけど、俺は自分で作り出した竜巻。もとい台風に弾き飛ばされた。
ちゃんとディーを小脇に抱えてたのは奇跡だったんだと思う。
この時ばかりは死ぬかと思った。いや、マジで。
呪文とか何それです。
貧相な頭ではかっこいーのが思い浮かびません。うっわぁって感じの呪文ですが、スルーしてあげてください。作者が居たたまれなくなるから←
センス、どこかに落ちてないかな。