(11)
シャンディアは、辺りからの視線を感じて振り返る。
「大丈夫……そう強力でないにしろ……
眩ませられる……」
そう言って唇を噛み、僅かな力でも守ってみせると眼を銀に光らせ、東に結界を張った時のように、胸に当てていた両手を開いた。
「岩だらけだな、ここ」
どうにか人魚を海に帰したビクターが、辺りに散らばるものに食いつく。
自分の島で見る白砂も殆どなく、木でできた家も少ない。
その代わり、岩でできた巨大な箱のような建物が幾つも並んでいる。
「屋根が鉄なのか!?」
ジェドが不思議そうに捉えたのは、脆くなったトタン屋根。
傍にいた南の住民が、そう教えてくれた。
ジェドはその足で、シャンディアの為の環境を整えようと声をかける。
「なぁ、海水を溜められる桶かバケツはあるか?」
ビクターも共に、周辺にそれらしいものがあるかを探す。
そこへ
「何だこれ?」
膝くらいまでの高さがある柱を見つけた。
その中からは、ひん曲がった錆びた鉄棒が剥き出ている。
柱に触れてみると、表面は岩ではない滑らかな感触だ。
白っぽく、浜の砂よりももっと粒が細かいそれは、指先を見るとザラザラと付着し、なかなか拭えない。
「コンクリートさ。
家なんかを支える柱や、壁になる。
砂や砂利を水に混ぜてできるものだ」
そこにいた南の住民が、突出する鉄棒に気を付けるよう言いながら説明した。
その名を聞けばピンとくる。
東の島でも、倉庫や家に部分的に使われているものだ。
想像をするビクターだが、声を掛けてきた彼の姿にも驚き、前のめりになって目を這わす。
スタンリーはジャケットというものを羽織っていたが、この人のものもまた、そうなのか。
だが丈が腰の辺りまでと短く、凹凸が連なった生地に、袖がない。
動く度にカサカサと音がしているそれは
「救命胴衣?」
形状から、倉庫や漁船にあるそれと類似するが、違うのかと首を傾げる。
「ダウンベストさ。随分ボロだけど、まだ温かいぜ」
ベストと聞けば、自分や仲間も作って着用しているので分かる。
中には羽が入っているのだと説明されると、鳥を捕まえて毟ったものを入れるのかと問えば笑われた。
早く皆と合流しようと促されつつも、ビクターはまた疑問を浮かべて立っている。
先程の柱はコンクリートと言ったが、知っているそれとは見た目がまるで違っているからだ。
砂や砂利がどうしてこんなに綺麗な表面に仕上がり、四角や曲面を作るのかと考えながら、曲がって剥き出る錆びた鉄棒に触れる。
「危ねぇじゃん。こんなもん出てくんなら」
彼は呟くと、先へ進む者達に続いた。
その最中、ライリーを探せという言葉が飛び交い、また首を傾げる。
代表作 第2弾(Vol.1/前編)
大海の冒険者~人魚の伝説~
9月上旬完結予定
後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって
シリーズ完全閉幕します




