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(4)




 立て続けに騒動が起こる内に陽はすっかり落ち、夜になった。

晴れた空に点々と瞬く星は、(じき)に厚い雲に隠されてしまう。




 4人を知るのはこの島の者のみである筈だと、長老は鋭利な目に影を落としながら、やけに彼等に詳しい様子を見せる人魚を見下ろした。




 すっかり濡れた体に砂を纏う彼女はしかし、彼を恐れる事なく見上げては、双眼を元に戻して言う。




「………シャン…ディア…」




力無い声で名乗ると、離れた先に広がる黒い海に眼を向け、焦り始める。




「……お願いです…どうか…どうか力を貸しっ




突如咳き込む様子は、喉を痛めているようだった。




「おうおう…こりゃあ、極度の乾燥肌にアレルギーってやつか」




マージェスが呟くと、カイルがボートに水を張ろうと提案する。

シャンディアの為に海で集まるとなると、こちらが直に凍えそうだ。

彼女の為の環境を整えるべく、海水を浸した布を頭や体に被せ、潤いを与え続けた。

その間、その場にいた子ども達が漁師達と手分けし、ボートと海水を運搬する。






 途中、グリフィンが足早にやって来た。

どうやらレックスが激痛で目覚め、スタンリーが、南へ移動できないものかと話していると言う。




 片や、漁船の帆の修繕は何とか終えられたものの、現在の状況とレックスの覚醒といい、少々混乱した。




「シャンディア?だったわね。

とにかくほら、ここに入って!」




フィオの呼びかけに彼女が振り向くと、周囲に支えられながら立ち上がり、ボートになみなみ張られた海水に足を入れる。




「おふろみたい。おわったら、ふいたげる!」




クロイがボートの縁に両手を添え、楽し気に言った。

その横に同じく小さな3人が並び、珍しいシャンディアの体を突いたりと興味を示す。




「やめなさい、あんた達」




それでもケビンは、母の声を聞こうともしない。




「ヒレ、どこへきえたんだ?」



「これ、うろこ?かがみ なのかい?」




ウィルは、彼女が運ばれる最中に拾った鱗を突きつける。




「どのくらい、いきを とめられるの?」




クロイが問う横で、リサは顔を歪める。




「さかなでしょ?いきは とめない。ねぇ?」




口々に疑問をぶつけてくる小さな彼等に、シャンディアは口を開けたまま動かない。

彼等が指で体を突いてくる動きが、皮膚を擽りながら美をもたらす小魚に似ていると感じて仕方がなかった。




「俺達の仲間が1人、人魚の爪で怪我をした。

君も人魚なら、何か知らないか?

と言っても、君とはまるで見た目が違っていたが………」




グレンの問いかけに、シャンディアの顔は徐々に青褪める。

心当たりしかない知らせを耳にするも、今度は深々と顔を伏せ、困り果てた表情をした。






 「君も、他に魔法が使えるのか?」




彼女はふと、ジェドを見上げる。

彼はシャンディアを見て、空島での事を振り返っていた。




「使えるけど使えない……か?」



「何だかリヴィアに似てるわね」




シェナは、空島の女王リヴィアもまた、魔女によって似た状況に陥っていたと話す。

また見た目も同じ、純白の肌をしていた事も思い出した。

神と呼ばれる類の者は皆、そうなのか。

そんな事を想像する中、しかしだと、ビクターは首を傾げてフィオを見る。




「……お前にも似てる」




フィオは何も気にしていなかったが、シェナはこくこくと頷いた。




「真っ黒の髪は、まるで同じだわね」




けれども、たったそれだけなのか。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


8月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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