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※漁船の彼等の視点に戻ります







 漁船から再び遠退くレックスとグレンは、人魚の群を分散させていく。

適当に目を走らせた様子だと、互いに10体以上がついている。

いよいよそれらは、彼等の頭を狙うように襲撃し始めた。

エンジン音は更に高まり、速度が一気に上がる。

これまでに出したことのない速さだが、故障して失う心配などしていられない。




 グレンはハンドルから手を放すと、腰に装備していた弾薬を即座に装填し、後方の海中に連射していく。

伸びてくる人魚の掌や腕、海上に飛び上がり姿を露わにする瞬間に肩、脇腹と全て掠り傷に留めていく。

その度に緑の血が激しく散った。

轟く悲鳴はまるで、金属を擦り合わせるような不快なもの。




 他を気にする間も無く、ジェットスキーの後部に1体が両腕で掴んできた。

その真上をもう1体が、彼の顔を目掛けて牙を剥いて落下してくる。

構えが間に合わないと、一時、死が過ぎる瞬間、レックスの銃弾がその右肩を貫いた。

間一髪のところで人魚が海中に消え、グレンはつい彼を見ようとするが




「振り向くな!」




余所見などしていられない。

レックスが吠えた傍から、グレンのジェットスキーの後部に鋭い爪が喰い込み、人魚はいよいよ乗り上がろうとするではないか。




 グレンは、迫りくる1体の顔面を蹴る。

しかし喰い込む爪の影響で、まだ後部を取られている。

透かさずナイフを抜き、両腕を浅く切りつけた。




 痛みに離れた人魚は泣き叫ぶ。

薄い皮膚で脈打ちながら流れる血は、ドクドクと音を立てて血管を膨らませていく。

彼は息切れしながら、雨の如く襲い掛かる別の1体を、持っていたライフルのストックで大きく殴り飛ばした。






 その時、レックスの悲鳴が上がった。

とうとう足に爪で傷を負わされた彼は暫し、顔を険しく歪めている。

彼のジェットスキーにへばりつく人魚は、他に比べて巨大なもの。

体の肉付きもどこか違うそれは、人で言うならば男か。




 グレンは方向転換し、レックスのジェットスキーの後部に向かって速度を上げる。

これ以上ハンドルの捻りが利かないが、後方の群からは少々距離を稼げた。




「伏せろ!」




グレンの叫びとほぼ同時に、レックスは屈む。

合わさるように横から現れたグレンは、彼を襲撃する巨大な1体を見事、ジェットスキーで撥ね飛ばし、沈めた。




 とは言え、半減しても10体いる。

周囲や上空を見れば、大量の亀裂が走っていた。

隙間からは薄っすらと、陽光が射し込んでいる。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


8月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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