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*完結* 大海の冒険者~人魚の伝説~  作者: terra.
第二話 夢
15/187

(9)




「これ、鏡じゃねぇか?ほら、俺達が映ってるぞ」




ビクターは、シェナから取った飾りを傾けながら皆に見せる。

海に長く沈んでいた割には、どこも錆びておらず鋭利な光を放っていた。

面の1つ1つに子ども達の顔が映る様子を見たグリフィンは




「何だかダイヤモンドみたいだな…」



「だいもん って なに?」




ウィルが横入りしてくる。




「ダ・イ・ヤ・モ・ン・ドだろ」




ジェドが持っている魚を下げ直して答えた。




「なあに?」




リサはグリフィンに前のめりになって問う。




「石の名前さ。

そうだな、空島で結晶を見なかったか?

表面の造りが、それに似てる」




旅に出た4人はそれを聞いて表情をパッとさせる。

光り輝く湖や滝壺に、巨大な半透明の岩が存在していた事を思い出した。

一方、空島を知らない子ども達は、分からないと騒ぎ立てる。




 ブローチや髪飾りにしては、やはり大きい。

この鏡の星のような装飾は一体、何なのだろうか。






「ねぇ貸しておいてよシェナ。

後で2人もこっちに来るでしょ?」




ビクターの手にあった装飾は、フィオの手に渡っていく。

彼女は、皆でこれを調べようと提案しながら、じっと眺めた。




「見て海!……あ、消えちゃった。

これ、海が見える!」




フィオはそこに、波と気泡を見たと話す。




「うみ が みえるの!?」



「かせかせ!」



「ひゃあ!いたいっ!」




フィオの手から乱暴に奪われたそれは、激しく床に叩きつけられてしまう。

壊れたかと騒ぎ立てるが、どうやら無事のようだ。

尖っているならば欠けていそうなものだが、しっかりと形状を保っている。




「映っただけじゃねぇの?」




ビクターの言う通りかもしれない。

何せ、鏡のようなのだから。






 「さあさ戻った戻った。観察するんだろう?

ちゃんと両手で、下から持つんだ」




グリフィンの促しに、皆が散らかったテーブルに戻っていく。

それを見届けながら彼は、ビクターに振り向いて静かに中へ促した。




「ん。お前の」




捕れた魚をジェドが突き出すが、ビクターは家の外の木箱に置いとけと頼み、やっと中へ入っていく。

そこへ思い出した。




「お前、今日」




既に通過して背を向けていたジェドは、ふとビクターに振り返ると、悪戯な笑みを浮かべた。

今夜の作戦は、彼もしっかり把握しているようだ。




「なーによ、気持ち悪い」



「言ってろ。どーせお前ものるさ」




ジェドの発言が理解できず、シェナは肩を竦めて自分の家に戻っていった。




挿絵(By みてみん)









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


8月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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