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結局この日は丸1日、すっきりしない天気だった。
月や星の姿がなく、厚い雲に覆われた夜空。
寒さが増したが、火があれば平気だ。
4人はいつものように、浜で薪と火種と、今朝捕れた魚を持ち寄って食事の用意をする。
最初は大抵フィオだ。
半分ほど薪を整えた頃に、ジェドかシェナがやって来るが、今日は珍しくビクターが先に姿を見せる。
その後から、シェナが走って来る姿が見えた。
「どういう事?
今朝の勉強も、いつにも増して集中してたし」
「別にいいだろ」
「だから天気が悪いの?」
追いついたシェナが笑いながら言うが、ビクターはただ、鼻で笑い返すだけだった。
彼が持ち込んだ松明は大きく、点火はあっと言う間。
太めの棒でこしらえていくのは、多く捕れた鮭の丸焼きにお手製の粗塩をかける。
魚介類を食べる上での定番だ。
最近は、酸味がある果実を見つける事もしばしばあり、大人達はそれをかけて喜んでいる。
しかし、酸っぱいのは口に合わない。
骨や、食べにくい皮も破棄せずに取っておく。
土に使えるほか、僅かであれ燃料を生み出す為に使う。
貝殻も、小道具や装飾に生まれ変わるので必需品。
そろそろ刃物などの作り方も教わる予定だ。
鮭の串刺しは、火にやや凭れかかるように、砂浜に斜めに深々と突き立てられる。
根元は重さに負けぬよう、そこらの石を重ねて固定する。
轟々と炎が立つ中、早くも芳ばしい香りが立ち始めていた。
「ジェドは?」
フィオが、魚とビクターに目を往復させて尋ねる。
その横では、シェナが貝類の支度をしていた。
今日はホタテとムール貝がよく捕れ、大きな殻が集まる。
「あいつは任務」
帰りが楽しみなのか、彼のにんまりする顔を見た2人は、怪しげな目を向ける。
それに気付いていない彼は、手早くコダラの鱗を取り払い、焼いている鮭と同様に火に当てる。
「ねえほら、これ火を受けてもキレイよ!」
シェナが取り出したのは、今朝の漁網にかかった例の鏡のような装飾だ。
炎の光を受け、輝きが一層増している。
そこへまた
「わあ!ほらね、海が映るでしょ!」
「「……?」」
「青いよ!ほら、晴れの日に潜った時みたい!」
フィオが楽し気に伝える。
陽光が深いところまで射し込んだ、それはそれは美しい透明度の高い海中を、沸々と小さな泡が揺れて弾けた。
まるで自分が泳いでいるようで、彼女の目はみるみる見開いていく。
「何言ってんだお前」
ビクターの言葉に、彼女は静かに驚いた。
横にいるシェナもまた、彼と同じ反応を表情だけで見せている。
代表作 第2弾(Vol.1/前編)
大海の冒険者~人魚の伝説~
8月上旬完結予定
後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって
シリーズ完全閉幕します




