↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/187

(2)




「戻るよ。何事も、絶対は無い。君も上がって……」




暗い林の路を向くと、気遣うグリフィンの手が、アリーの腰を僅かに押す。




「変な事考えないでね」




振り返ったアリーの顔は、強張っていた。




「貴方もまた、率先して行ってしまうでしょう」




否定はできない。

元々住んでいた西の島が、完全に海に呑まれると予測できた時、死ぬ覚悟で、天に昇る光の正体を突き止めようと荒海に出た。

その傍ら、ここ、東に辿り着こうとした。




 どうせ死ぬにしても、最後まで行動したかった。

何が起こるか分からない、縋るものもない大嵐の先に無事がある事に賭けよう。

そんな発言をした、無茶な自分だ。

その結果、共に飛び出した人々に死を齎してしまったような気になっている。

自分だけは、生き残って。




 しかし、失われた仲間はこれを恨む事をしないだろう。

だからこそ、いつだって最大限を尽くしたい。

その意志は、端で火の粉と化して弾け、舞い上がる。




「ああ、きっとそうする……してしまう……

でも……」




アリーは眉を寄せ、恐々(こわごわ)と目を震わせている。




「今度はもう少し、賢くな。

前とは、状況が随分違うから。今の俺には……」




松明を見上げる瞳に、炎が焼きつくように揺れ動く。




「今の俺には、あの時よりも守りたいものがあるからな……」




口調こそ柔らかいが、力強い眼差しは、過去から未来にかけて篤と眺める。

島が消滅する嵐の時を。

砂になってからの闇を。

切り開かれた光と、更なる可能性を。






 それらを暫し噛み締めては、ふとアリーに微笑んだ。

止まっていた足が動き出し、再び林を二人で進むと、ぼんやりと温かさを灯す家々が垣間見える。




「エドが難しい顔をしてる……

相変わらず、いつもの箱を開けて……」




長老のお決まりの動作だが、何を覗いているのかは分からない。




「あまり気にかける時間が長いと、体に障るわ……」



「仕事柄だともう、染みついて取れやしないさ。

割り切って、考え方の知恵を貰えばいい。

それが役目だろうし、きっと……

そうありたいんじゃないか」




アリーは曇っていた表情を和らげると、小さく頷く。

林を抜けた先には、まだ共に過ごしている子ども達が集まる自宅がある。

グリフィンにとって今や、大切な場所だ。

中からは小さく、賑わう声が聞こえてくる。

彼等は随分、安心しているようだ。

今はそれに、胸を撫でおろす。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


9月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。