2話 優しき冒険者ヒカリ・ストガスア
あたしはリゴミズキ村が見えなくなるまで歩いた。しかし、ろくな食事をさせてもらえなかったため、空腹で倒れそうだった。でも、ここで倒れたら死んでしまうと思って、ふらつきながらもなんとか歩いた。
ひたすら歩き続けていると、遠くに町が見えた。あたしはその場所を目的にして、歩き続けた。
そして、あたしは町の入り口に着いた。あたしは感激のあまり「やったぁぁぁぁぁ!!」と大声をあげた。入り口付近にいた町の人達が驚いてあたしの方を見てきたが。そんな事は気にせず、あたしは町の中に行った。まずは食事をするためにあたしは料理店を探した。一分程で、近くにいるといい匂いがする料理店に来た。あたしは扉を開け、中に入り、カウンター席に座った。あたしは早速、近くの女性店員に注文する。
「おすすめの肉料理下さい!」
「おすすめですか? それならステーキはどうですか?」
「お願いします!」
「かしこまりました」
「お待たせしました。ステーキです」
しばらくして、あたしの元にとても美味しそうなステーキが来た。あたしは早速、ナイフでステーキを少し切り、フォークで少し切ったステーキを刺して口に入れた。
「っ!!?」
あたしはステーキを口に入れた途端、涙が出そうになった。今まで一度も食べたことの無い美味しすぎる物を食べて感動したのだ。噛んだ瞬間に美味しすぎる肉の味がして、さらに、美味しすぎる肉汁が口の中に広がる。それが噛む度に来るのだ。ステーキが口の中で柔らかくなるまで何度も噛んで、飲み込んだ。そこから、ステーキを少し切って、味わって食べて、またステーキを切って、味わって食べての繰り返しだった。
あっという間にステーキが無くなった。もう満腹で何も食べられない。こんなにも食事が幸せに感じたのは生まれて初めてだった。今までずっと、母さんはあたしにだけ料理を作ってくれず、適当にある葉っぱなどしか食べさせてくれなかったし、外食には一回も連れていってくれなかった。満腹になった事なんて全く無かった。だから、あたしは今、とても幸せだった。
あたしは立ち上がって店を出ようとした。その時だった。近くにいた女性店員があたしの所に来て「お客様。お金を払ってください。銀貨七枚ですよ」と言ってきた。あたしは店ではお金がいることを失念していた。あたしは冷や汗が出た。女性店員はあたしをジト目で見てきた。
「お客様。お金を忘れたのですか? それとも持っていないのですか?」
「そ・・・それ・・・は・・・くっ!」
あたしは店から逃げようとした。しかし、すぐに誰かに取り押さえられた。暴れようとしたがそんな力は無い。なので諦めてしまった。あたしはあたしを取り押さえた人を見た。その人は金髪ロングの美少女だった。
長方形の机を囲んで、片側の椅子にあたしが座って、反対側の椅子に金髪ロングの美少女と女性店員が座った。俯いているあたしに女性店員が話しかけてきた。
「お金が無いのにどうして来たのですか?」
「どうしても美味しい物がいっぱい食べたかったんだ」
「それなら家で食べれば良いではないのですか?」
「・・・家からは追い出されたよ」
「どうしてですか」
「ブスだから」
「そんな理由で追い出される人はいません」
「あたしの家はブスがいらない家なんだよ」
「・・・理由になりません。帰って取ってきて下さい」
「・・・・・・・・・・・・」
あたしは黙り込んでしまった。すると、金髪ロングの美少女があたしに話しかけてきた。
「帰れない理由があるの?」
「帰ったら酷い目にあう。だから帰れない」
「貴女の家族は酷い事をする人達なの?」
「家族だけじゃない。村の人全員があたしの敵だ」
「敵・・・。貴女の住んでいた村の名前は?」
「リゴミズキ村だ」
「リゴミズキ村・・・。西にある小さな村か。・・・私がリゴミズキ村の人達に言っておこうか?」
「しなくていいさ。みんなあたしの事を凄く嫌ってるから無駄だ」
あたしがそう言うと、金髪ロングの美少女は「そっか」と言った。そして、小さな袋を取り出すと、袋から銀貨七枚を取り出し、女性店員に渡した。すると、女性店員は顔をしかめて「こんな人のためにお金を払うのですか?」と言うと、金髪ロングの美少女は「今回だけですから」と言った。女性店員は金髪ロングの美少女が出した銀貨七枚を受け取った。そして、あたしに「家に帰れないというのであれば冒険者にでもなってお金を稼いで下さい」と言ってきた。その言葉にあたしは何も言わなかった。
女性店員は仕事に戻った。あたしは金髪ロングの美少女と対面して座っている。あたしは金髪ロングの美少女に「お金払ってくれて・・・ありがとうございます」と言うと、金髪ロングの美少女は笑みを浮かべた。
「貴女、私と一緒に冒険者になってみない?お金、必要なんでしょ?」
「・・・お金はいるけど冒険者は無理だ」
「どうして?」
「母さんからろくな料理を食べさせてもらえなかったから体力無いんだ」
「粗末なものしか食べさせてもらえなかったってこと?」
「そうだ。今朝は葉っぱ一枚だったよ」
「えぇっ!?・・・じゃあ昨日は?」
「昨日か・・・昼ごはんに野菜の皮が小さいゴミ箱に何枚かあったな。それだけだ」
「・・・・・・可哀想」
金髪ロングの美少女は悲しそうな表情をした。あたしは心の中で驚いた。あたしが可哀想だと思ってくれる人はこの金髪ロングの美少女が初めてだからだ。リゴミズキ村の人達はあたしが粗末なものしか食べさせてもらえないのを見て、笑ったり、「ざまぁ」と言ってきたりする人ばかりだった。こんなに優しい人もこの世界にはいるんだなと思った。
その後もあたしは金髪ロングの美少女にあたしの色々な事を話した。「うるさいゴミ」や「この金はヒナコのための物だ」などと言われ何も買ってもらえなかった事、遠くへのお出かけにはあたしは邪魔だからと連れていってもらえなかった事、村の人達からいじめられたあげく罵られた事、調子が悪くなったり病気になったりしても誰も看病してくれなかった事、村の会議とやらで決めて、あたしを村から追い出し、どこかでのたれ死ぬように言われた事などを教えた。金髪ロングの美少女はずっと悲しそうな表情で聞いていた。そして、金髪ロングの美少女は涙を流しながら「辛かったよね」と言ってくれた。
金髪ロングの美少女は涙を拭くと、再び笑みを浮かべて手を差し出してきた。
「貴女。私の仲間になろうよ!」
「いや体力が・・・」
「それなら大丈夫。私がサポートするし、体力が普通の人位になるまでは危険な依頼は受けないから! だから仲間になろ?」
「・・・わかった」
あたしは金髪ロングの美少女の差し出された手に触れた。生まれて初めての握手だった。
あたしは金髪ロングの美少女と一緒に料理店を出た。あたしは料理店の前で金髪ロングの美少女に「名前、なんて言うんだ?」と言った。すると、金髪ロングの美少女はハッとした様子になった。
「あ! ごめん! 言ってなかったね! 私はヒカリ・ストガスア。このリルアサカ町に住んでいるよ!」
「・・・そうか。あたしはユズキ・ソバジだ」
「よろしく!」
「よろしく」
あたしとヒカリさんはもう一度握手した。その後、歩きながらお互いの事を教えあった。
ヒカリ・ストガスアはあたしの1歳年下の14歳。腰まで伸びた綺麗でさらさらの金色の髪、とても美しくも可愛らしい顔立ち、身長は159センチ位、スタイルはとても良い。胸は大きくも小さくもないちょうど良いサイズだ。着ている服はよくある冒険者らしい服で、腰には剣を携えている。




