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アンドロイドねえちゃん  作者: 秋山 楓
プロローグ
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プロローグ

 吾輩は弟である。名前はまだ無い。


 ……ごめんなさい、嘘です。僕の名前は小宮山(こみやま)太郎(たろう)っていいます。中学二年生です。すみません。国語の授業で『吾輩は猫である』を習ったばかりだったので、使ってみたかっただけです。はい。


 家族構成は、お父さん、お母さん、そして僕の三人だけです。おじいちゃんやおばあちゃんはみんな健在してますけど、遠い県の田舎に暮らしています。この家の子供は僕だけだから、お年玉が独占できるのは嬉しいことです。


 自宅は平凡な中流家庭……って言うのかな? 完璧な耐震構造住宅の一戸建てで、広い割に三人暮らしなもんですから、余っている部屋もいくつかあります。しかもなんと、ウチには地下室まであるのです。でも地下室は両親の研究室になっているので、進入は禁止されています。好奇心旺盛な小学生時に何度も忍び込もうと試したけれど、幾度となく失敗しました。というより、常に鍵が掛けられていて、小学生の子供じゃ手も足も出ませんでした。


 あぁ、そうそう。僕の両親は二人とも、科学者をしています。なんでも人工知能やらロボット工学なんかを研究しているらしいんですが、まだまだ知識の足りない僕には、漠然としたイメージしかできません。例えばガンダムや鉄腕アトムみたいな。


 共働きとはいえ、現代の子供によくありそうな家庭内で孤独になることは、僕には決してありませんでした。それは両親が常に僕のことを気に掛け、会社から早く帰ってきてくれたこともあるでしょう。仕事の引き継ぎが、自宅でできる環境でもあったからでしょう。


 けど、それだけではありませんでした。

 両親共々仕事が長引き、家に帰れないことがあっても、僕は物理的に一人じゃありませんでした。


 何故なら僕には、姉がいたからです。


 これは嘘ではありません。でも戸籍上では、この家にはお父さんとお母さんと僕しか記されていません。そのお姉ちゃんは、例えば近所のお姉ちゃんや、従姉のお姉ちゃんという意味でもありません。従姉のお姉ちゃんに当たる人は一人いますが、その人は新幹線で一時間走らないと会うことができない、遠い場所に住んでいます。


 じゃあ、そのお姉ちゃんとは一体何者なのか。

 その話を今からしようと思います。

 中学二年生で、過去を回想するのはいささか歳より臭いですが――、

 あれは約四年前、僕が小学校四年生の頃。


 突然、僕にお姉ちゃんができました。

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