第1章 エピローグ
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ヴァルカ軍支配惑星No.833からの報告書。
調査隊隊長『宇宙連邦軍第232独立科学技術部隊隊長グラフト・ダ・マスラ』准将の報告書。
本日までのまとめ。
現在私、グラフト・ダ・マスラは『マスラ・フラッグ』と名前を変え、マルカワ軍需品研究所の所長をしている。
今回、私の補佐としての任に就いたのは、この惑星で私と一緒に行動している『ルイ』である。『ルイ』は私がこの惑星へ調査に来る前から潜入している『ルーイ・ナ・メンメル』である。
ちなみに『ルーイ・ナ・メンメル』はこの惑星では『アキハラ・ルイ』と名前を変えている。
もうちょっとユーモアがあれば良いのだが、彼女"達"メンメル研究所出身者は張り付いたような表情しかしないのでちょっと不気味なんですよねぇ~。
おっと、話がそれました…。
話を元に戻して、私はこの惑星を調査していた前任者『エドワード・デ・ピレンツ』。惑星883名『エンドウ・レンジュウロウ』から調査業務を引き継いだ。
惑星833の人型知的生命体はやはり生物化学者『Dr.ジュパーソン』が製作したものであるとして間違いはない。
魔術や錬金術で作られたわけではなく、純粋な科学技術でのみ作成された痕跡がある。
しかも、Dr.ジュパーソンが製作者ということと、捕まえた個体から調べた遺伝子などの情報から、何かの生命体から作り出された訳ではなく、遺伝子や細胞を"一から作られた知的生命体"と判断される。
つまり、宇宙連邦が命名した人工生命体『カンラ』である可能性が高い。
個体数は数十億存在している。
彼らカンラはこの惑星で、自分達が人工生命体と理解しないで暮らしている。
宇宙には異星人がいるということも知らない。
彼らはおそらくDr.ジュパーソンが用意した歴史、文化、言語を駆使してかなり遅れた文明の中生活をしている。
Dr.ジュパーソンの説明は説明する必要は無いかもしれないが、今回は彼の目的と関連性が極めて高いと思われるため、少し情報を記載する。
Dr.ジュパーソン。元宇宙連邦生物化学研究所所長。私を造った人物でもある。
現在は宇宙怪獣や人工生命体のキメラ、『カンラ』を無許可で製作した罪で逮捕状が出ている。現在も逃亡中。
ヴァルカ軍と協力し、現在も協力関係にある可能性大。
様々な惑星で危険生物を作成し、宇宙連邦や同盟国に対して多大な損失を与えている存在でもある。
話を戻し、惑星833の調査をする中で、奇妙な発見をした。
それはヴァルカ軍と宇宙連邦軍が戦闘を行っている前線であり、元々超大規模な都市惑星だった『惑星クラレス』の住民達を発見した。
彼等は誘拐され、記憶を消されて惑星833の住民達に紛れ込まされていたが、何かの拍子で記憶が戻った模様。
その中誘拐された惑星クラレス人の中で、重要人物を発見した。
惑星833での名前は『ナカグラ・エミリ』。
元々の名前は『エリーナ・グークスラ』。
惑星クラレスが戦場になる前の『惑星クラレス市』の市長『ラクレスター・グークスラ』の娘である。
しかも彼女の役職はなんと、惑星クラレス市議会議員だ。
彼女はふとした拍子に目覚めたと、同じく惑星クラレスから誘拐されてきた者達と共に、『クラレス同盟』というものを立ち上げ、更にエリーナ・グークスラはその同盟の盟主となり、この惑星と戦おうとしていたらしい。
そうなってしまうと、我々宇宙連邦も混戦の中、活動しなくてはならないので非常にその状況はよろしくない。
今回、とある事件の影響により(※別の報告書にて記載)過激な行動を控えるように考えを改めたため、我々が同胞に乱暴な手を使う。ということは回避された。
個人的な話しだが、エリーナは私が昔家庭教師を勤めさせてもらった家の子でもある。
現在彼女はこの惑星833の中にある国『ヤマタイ共和国』の高校2年生"役"をさせられているようだ。彼女の種族は平均寿命は160歳。一般的に宇宙連邦人に多い平均寿命80~100歳から比べると約倍違う。しかし寿命に対して精神年齢の成熟は平均寿命80~100歳の種族と変わりはないので、高校は15年前に………おや?誰か来たようなので、報告は一旦切る。
以上、送信!
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