表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/8

007 上かよって話だぜ


「ココって本当に大丈夫なんだろうな?」

俺がエレナに聞く。


「大丈夫よ。

 だってボビー、この部屋の事はアンタと私しか知らないんだから・・・はいコレ」

エレナが缶ビールを俺の前に置く。


ここはエレナのホーム。

高層マンションの一室だ。

バーから戻った俺たちは、変装を解き、ソファーに座っている。


「本当に俺以外、知らないんだな?」


「しつこいわね、知らないわよ。

 だってまだココ、借りて3日目なのよ」


「3日目?」


「そうよ、アンタを始末する為に借りたんだから」

エレナが缶ビールをグビグビ飲む。


は?何だと?

「そ、その為だけに、ココを借りたのか?」


「そうよ、それ以外にこんな所、何の用があるのよ?・・あ!ちょっと待って・・・」

エレナがリモコンで、テレビのボリュームを上げる。


『先ほどの事件の続報です。・・・犯人のボビー・エスコットは女性と行動を共にしているということです。

 もし、見かけたら直ぐに警察へ連絡・・・』ブチッ!


エレナがテレビを消す。


「おい!まだ見て、」


「バレてるわ」


「何が?」


「私の事もバレてるわ」


「どうして分かるんだ?」


「モーテルの受付には監視カメラが2台ついてたわ。

 警察が女の情報をマスコミに流すってことは、そういう事よ」


そういう事って、どういう事だよ?

「じゃあ、何でテレビにお前の顔写真と名前が出ないんだ?」


「マズいでしょ?犯人と元警官の女が一緒なんて事が世間に広まったら・・・

 だから、これは警告よ。もうお前はバレてんだから出頭しろっていう警察から私への合図よ」


そうなのか?考え過ぎじゃないのか?

この女、結構、思い込みが激しいんじゃないのか?

なぜなら、さっきのフィットネスクラブといい、言ってる事、外しまくっているぞ。

それに男への偏見も激しい・・・


「・・絶対そうよ・・・」

エレナがブツブツとつぶやく。


まぁいい。

こうなったら、まずは電話だ。

俺はセルフォンを取り出す。


「ボビー、アンタ何してんの?」


「電話だ、知り合いの弁護士に電話する」

俺がセルフォンを操作する。


「ベンジャミン法律事務所?」


な!?


そ・・・そうか・・この女。

俺の事、全部調べてるんだよな・・・

「知ってるのか?ベンの事」


セルフォンから呼び出し音が鳴る。


「知ってるも何も、そのジジイからアンタの事を聞き出したのよ」


「え!?お前ッ!!まさか!」

俺は慌てる。


「大丈夫よ、あのジジイは生きてるわ。

 それに私のターゲットは本物のゴミクズだけよ」


本物のゴミクズって・・・

じゃあ、ターゲットである俺はそうなのか?本物のゴミクズなのか?

まぁ、たしかに、否定は出来ない・・・


長めの呼び出し音が止まる。


『坊ちゃん!ボビー坊ちゃんですか?』


「そうだ、ベン。俺だ」

ベンは俺の両親の会社のお抱え弁護士だった。

そして9歳で両親を亡くし身寄りの無かった俺を18歳まで育ててくれた。


「スピーカーにして」

エレナが俺の横に座り小声で言う。


なにか横腹に違和感を覚えながらも、俺はセルフォンをスピーカーにする。


『大丈夫ですか?坊ちゃん』


「ああ、大丈夫だ。ベン、ニュースは見たか?」


『はい。大変な事態です』


「ベン、俺はやっていない」


『そんな事は分かっております。

 ところで坊ちゃん。女性と一緒なのですか?』


「1人だと言って。女とは別れたと」

エレナが俺の耳元でつぶやく。

いつの間にか俺の脇腹に銃を突き付けている。


「今、1人だ。女はいない。モーテルを出てから会っていない」


『そうですか。それは良かった。

 私、3日ほど前に女に銃で脅されて、坊ちゃんの住所を言わされました・・・。

 そしてその時に、この事を坊ちゃんに連絡したら、私の家族を狙うって言われて・・・』


ベン、脅されてたのか・・・

それでこの女、俺の探偵事務所にたどり着いたって事か・・・

だが、エレナはどういう流れでベンに会いに行ったのか?

俺が殺されなければならない理由は一体何なのだ?

クソ!ダメだ。全く分からない・・・


『とにかく坊ちゃんが無事でよかったです。

 今、どちらですか?良ければ会いたいのですが・・・』


「ああ、俺もベンに渡したいモノがある」

俺に何かあった時の為に、ベンに証拠写真のコピーを保管してもらう必要があるからだ。


「後で場所をメールすると言って」

エレナが俺の脇腹を銃で小突いてささやく。


「ベン、後で場所と時間をメールする」


『分かりました坊ちゃん。お気を付けて』・・・ブチッ。


電話が切れる。


「どういう事だ?エレナ?なぜベンを知ってる?」

俺はセルフォンをポケットに入れながら聞く。


「ボビー、アンタに言っておく事が、」


ピンポーン!


部屋のチャイムが鳴る。

同時にエレナが玄関のドアの方向を見て固まる。


「誰だ?」


「シッ!静かに・・・ついて来て・・・」

エレナがささやく。


ドン!ドン!ドン!

「警察だ!ボビー・エスコット!中に居るのは分かってる!開けなさい!」

ドン!ドン!ドン!


「こっちよ・・・」

エレナがバルコニーの扉をそっと開ける。


ドン!ドン!ドン!

「開けろ!ボビー!!」

玄関からの叫び声は今にも突入してきそうな勢いだ。


エレナはバルコニーに出ると隣の仕切りをヒョイと乗り越える。


「おいエレナ!お前‼」


「いいから!来て!」


俺も仕切りを乗り越え、隣の部屋のバルコニーに移動する。

エレナは当たり前の様にバルコニーの扉を開け、電気のついていない部屋の中に入る。

部屋の中は誰も居ない。

引っ越し前のスッカラカン状態だ。


エレナは玄関のドアに貼り付き、外の気配をうかがう。

俺もエレナの後ろで身をひそめる。

「この部屋、誰も居ないって知ってたのか?」

俺がささやく。


「ココも借りてるのよ」


「え?」


「万が一のために2部屋、借りてるのよ」


マジか・・・

脱出用に隣も借りているって事か?

こういうのって経費で落ちるのか?

いや、落ちるわけないか・・・

ま、それだけ裏の仕事ってのは普通じゃないってことか・・・


カチッ・・・


エレナがゆっくりと玄関のドアに隙間を作る。

わずかに開いたドアから隣の様子をうかがう。

「違うわ・・・」


「何が?」


「彼らは警察じゃないわ」


「何で分かるんだ?」


「AK-15を持ってるわ」


「AKって・・・」


「ロシアの特殊部隊で使ってるアサルトライフルよ」


ダンッ!!!!


隣のドアが破壊される音と、慌ただしく部屋に駆け込む複数の足音が聞こえる。


「行くわよ」

エレナがドアから飛び出す。

俺もエレナの後を追う。

エレナがマンションの階段を駆け上がる。


上!?上がるのか?

何だ?この女!どこに向かってるんだ!?


「逃げたぞ!!!探せッ!!!」

下の階から叫び声が聞こえる。


複数の足音が迫ってくる・・・


さぁて、俺たちは一体、どうなるのだろうか・・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ