探究パート1 始まりは図書館から
前説
ざっくり紹介。アストライアとは?
ギリシャ神話に登場する女神で、名前の意味は「星乙女」です。
季節の女神ホーライ三姉妹の一柱である正義の女神ディケーや、その母である掟の女神テミス、
さらにはローマ神話の正義の女神ユースティティアと、同一視されることもあれば、
別の存在として扱われることもあります。
有名なのが乙女座の神話です。
かつての人類は黄金の精神を持った素晴らしい種族だった。しかし、代を重ねる毎に劣化していく。
そんな人類に神々は失望し、次々と地上を去るが、アストライアは最後まで残り、人々に正義を訴え続けた。
だが、残酷で欲にまみれた人類に、彼女の言葉は届かない。
ついにアストライアも血に染まった地上を去り、天に輝く星となった。
それが星乙女。後の乙女座なのだとか。
以上を踏まえた上で、本編について説明させてください。
当初、記念すべき第一弾として計画してましたのは、怪物ゴルゴンの次女エウリュアレであり、執筆も進んでおりました。
そんなある日、ちょっとしたことがきっかけでアストライアのことが気になり、
ChatGPT(以降、チャッピーと呼称)と何気なくチャットを重ねてみたところ、これが思いのほか面白かったのです。
この楽しさを皆さんと共有したい!
だけどウカツに編集すると魅力半減でつまらなくなるかもしれません。
ならばいっそのこと、チャッピーとのやりとりをそのまま発表してしまえっ!
こうやって誕生したのが、今回のアストライア編です。
これを作品と呼ぶべきか、それとも神話談義の記録と呼ぶべきか、自分でもよく分かりません。
ですが、楽しんでいただけましたら幸いです。
【ご注意】
「ChatGPT の回答は必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。」
チャッピーとのチャットで見かける、おなじみの定型文ですね。
実際、今回のやりとりでも誤った情報が含まれておりました。
(ちなみに私は、チャッピー情報のみに頼らず、ネット情報、書籍情報なども踏まえて探求しています)
ですが間違いを指摘することで学習してもらうのも、AIの醍醐味、AIの楽しさだと思うのです。
どこが誤りかは次第に判明していきますので、それも含めて本編をお楽しみください。
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【風炉の丘】
チャッピー、正義の女神アストライアについて質問です。
帰省した際、故郷の図書館へ寄ってみたところ、
マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル共著の『ギリシア・ローマ神話事典』という分厚い本を見つけました!
貸し出し禁止でしたので、館内で時間の許す限り、気になる項目をチェックしていたところ、奇妙なことに気づきました。
アストライアが見当たらないのです。
おかしいなぁと思って自宅へ戻ると、以前購入していたバーナード・エヴスリン著『ギリシア神話小辞典』を確認します。
するとこちらにもアストライアの記載はありませんでした。
一体どうなっているのでしょう?
少なくとも、 オウィディウスの著作『変身物語』にはしっかり記載されているのです。処女神「正義」と。
記述を読むと、ヘシオドスの著作『仕事と日』の影響か、英雄時代を除く4つの時代が語られた上で、人類に失望して地上を去っています。
もしかしてアストライアって『仕事と日』の5つの時代でのみ語られる女神なのでしょうか?
【チャッピー】
面白いところに気づかれましたね。
結論から言うと、
アストライア(Astraia/Astraea)は「『仕事と日』だけに登場する女神」ではありません。しかし一方で、ギリシャ神話全体で見ると非常に影が薄く、主要神話の登場人物ではないため、神話辞典によっては独立項目が存在しないことがあります。
まず整理してみましょう。
『仕事と日』ではどうなっているか
実はヘシオドスの『仕事と日』に出てくるのは、厳密にはアストライアではなく、
•ディケー(正義)
•アイドース(羞恥・良心)
です。
『仕事と日』の鉄の時代の終末では、
アイドースとディケーは白い衣をまとって人間を見捨て、オリュンポスへ去る
と語られています。
つまりヘシオドス自身は、
「地上を去るのはディケー」
と書いています。
アストライアという名前は出てきません。
ではアストライアはどこから出てきたのか
後代になると、
•ディケー
•アストライア
がほぼ同一視されるようになります。
アストライアは元々、
•「星の乙女」
•「星の娘」
という意味の名を持つ存在です。
系譜も資料によって異なりますが、
•エオスの娘
•アストライオスの娘
とされることが多いです。
ところがヘレニズム時代以降、
「人類の黄金時代には地上にいた正義の女神」
というディケーのイメージと融合していきます。
その結果、
人類が堕落したので地上を去った正義の女神
という役割をアストライアが担うようになります。
『変身物語』では
おそらくユーザーさんが読まれた箇所ですね。
変身物語では、
ヘシオドスの「五時代説」を下敷きにしながら、
最後に
正義の処女神アストライアが地上を去った
というローマ時代的な解釈が採用されています。
つまり、
ヘシオドス → ディケーが去る
後代神話 → ディケー=アストライア
オウィディウス → アストライアが去る
という流れです。
なぜ神話辞典に載っていないのか
おそらくこれが本題ですね。
アストライアは、
•ゼウスの恋愛譚に関わらない
•英雄伝説に関わらない
•怪物退治に関わらない
•オリュンポス十二神でもない
という、非常に神話的エピソードの少ない存在です。
実質的には
「黄金時代の正義の象徴」
という観念的な女神です。
そのため辞典によっては
•アストライア項目を立てる
•ディケー項目に統合する
•処女宮や乙女座の解説で触れる
など扱いがバラバラになります。
さらにややこしい話
古代人は最終的に、
アストライアが天に昇った後、星座になったと考えました。
つまり現在の おとめ座 そのものです。
そして彼女の持つ天秤が てんびん座 になったとも解釈されました。
このためローマ時代になると、
アストライアは神話上の人物というより、
「失われた黄金時代の正義」「天上へ去った最後の徳」
を象徴する文学的存在へと変化していきます。
なので、風炉の丘さんの疑問に対する答えは、
「アストライアは『仕事と日』だけの女神ではない。しかし『仕事と日』のディケー退去説から発展した後代の文学的・寓意的存在であり、神話辞典によっては独立項目が立たないほど神話的活躍が少ない女神である」
となります。
むしろ調べていて辞典に載っていないこと自体が、アストライアという女神の立ち位置をよく表していると言えるかもしれません。ヘシオドスのディケーと、後代のアストライアが半ば融合した結果生まれた「神話と寓意の中間」にいる存在なんですよね。
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【風炉の丘】
興味深いお話をありがとうございます。
こういう部分は本を読んでもわからない部分ですので、大変助かります。
ただ……
もしかしたら些細なミスなのかもしれませんが、私的には非常に重要なことを書かれておりますので指摘させてください。
ディケーは黄金時代にはまだ生まれておりません!
『仕事と日』で語られる5つの時代とは、
黄金時代、銀の時代、青銅の時代、英雄の時代、鉄の時代に分けられ、
優秀だった人類種族が劣化していく様が語られていきます。
黄金時代はクロノスの時代で、ティタノマキアを経て、その息子ゼウスが支配する白銀時代になりました。
王となったゼウスは2番目の妻としてテミスを選び、生まれたホーライの1柱がディケーです。
つまりディケーが生まれたのは、どう考えても白銀時代。
黄金時代にも正義の女神がいるとすれば、ディケー以外の誰かです。
当てはまるとすれば、掟の女神テミスか、あるいはディケーとは別神のアストライアが!?
【チャッピー】
これは鋭い指摘です。そして、おっしゃる通り私の前回の説明は系譜と時代設定を十分に整理していませんでした。
まず事実関係から確認すると、
•黄金時代 → クロノス統治
•白銀時代以降 → ゼウス統治
•ディケーはゼウスとテミスの娘
という系譜は、少なくともヘシオドスの『神統記』に従うならその通りです。
したがって、
「黄金時代にディケーが人類と共に暮らしていた」
という後代の説明を、そのままヘシオドスの神話体系に当てはめると時系列上の問題が生じます。
これは実は古典神話でよくある現象で、
神々の系譜
と
人類の時代区分
が必ずしも厳密に整合していない
のです。
ヘシオドス自身を見てみると、『仕事と日』では確かに黄金・白銀・青銅・英雄・鉄の五時代が語られますが、
「ディケーはいつ生まれたのか」
という話はそこでほとんど問題にされていません。
一方『神統記』ではディケーの系譜が語られます。
ところが両作品を突き合わせて、
ディケーは白銀時代誕生だから黄金時代には存在できない
という考証は、ヘシオドス自身がやっていないのです。
神話にはこういう緩さが結構あります。
さて、ここからが面白いところです。
後代にアストライアが登場すると、まさに風炉の丘さんがおっしゃる疑問が生じます。
つまり、
黄金時代から人類の側にいた正義の女神は誰なのか?
という問題です。
後代文献では大きく三つの解決法が見られます。
① ディケー=アストライア説
最も一般的です。
この場合、
•ディケー
•アストライア
は同一人物として扱われます。
系譜の矛盾は気にしません。
ローマ時代の詩人たちは割と平然とこうします。
② アストライアはディケーとは別存在説
こちらだと、
•アストライアはもっと古い正義の女神
•ディケーは後に生まれた正義の女神
という整理が可能です。
実際、アストライアはしばしば
•アストライオスとエオスの娘
とされます。
この系譜ならティタン世代に近く、黄金時代にも存在できます。
風炉の丘さんの推測はこちらに近いですね。
③ テミスの化身説
個人的にはこれがかなり興味深いです。
正義・秩序・法の概念を追うと、
まず存在するのはテミスです。
テミスから
•エウノミア(良き秩序)
•ディケー(正義)
•エイレネ(平和)
が生まれます。
つまり概念的には
ディケーはテミスの一部を人格化した存在
とも読める。
そうすると黄金時代に人類と共にあった正義は、本来テミスそのものであり、
後代になるにつれ
テミス → ディケー → アストライア
という具象化・人格化が進んだと解釈することもできます。
実は私は、風炉の丘さんの疑問はアストライア誕生の背景に迫っている気がします。
ヘシオドスでは、
•地上を去るのはディケー
•しかし系譜的には黄金時代に存在しにくい
という微妙なねじれがあります。
後代の詩人たちはこの「黄金時代の正義の女神」のイメージを発展させ、
より古くから存在できる星の乙女アストライアをその役に据えたのではないか、と考えることもできます。
もちろん明確にそう書いてある古典資料は私も知りませんが、
少なくとも
「ディケーでは黄金時代に置きにくいので、アストライアがその役割を引き受けた」
という発想自体は、神話の発展過程を考えるうえで十分あり得る仮説だと思います。
むしろ風炉の丘さんが見つけた「ディケーは黄金時代にまだ生まれていない問題」は、アストライア研究をしている人なら一度は気にしそうな論点ですね。こういう系譜と時代設定のズレを見つける視点は、神話をかなり丁寧に読んでいないとなかなか出てこないと思います。
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【追記のご注意】
ここでチャッピー、痛恨のミス。
上記で話題の書籍『仕事と日』を実際に購入して読んでみたところ、誤情報が判明しました。
『仕事と日』で語られる地上を去る女神は、アイドース(廉恥)とネメシス(義憤)。
ディケーでもなければアストライアでもなかったのです。
実に興味深い。
他にも個人的に驚愕する情報を手に入れるのですが、
詳細はアストライアの更なる掘り下げをやる際に執筆する予定です。




