軽い命
「さようなら」
涙ぐみ見送る者たちに最後の表情を。
最後の、その顔が目に焼き付くならばやっぱり笑顔がいい。
送られる者が滲む視界で、必死に手を伸ばす幼子と、その親。見方によっては愛した人。
抑えられながらも私の為に泣いてくれている。
それを見れただけで幸せ者だと思える。
パッと瞬きをした次には誰も居ない虚空に、それでも手を伸ばし悲痛な叫びが響く夜。
ようやく朝が来た。夜が明けた。
空を厚く暑く覆っていた黒はそうしてやっと青を迎えた。
「ようやく手がかりを掴んだぞ」
小さな部屋。殆ど灯りもないここで、日本刀を携えた少女は呟いた。
ポニーテールの少女に寄りかかって腕を絡める少女は耐え忍んだ時間と、ようやく希望の見え始めた事に涙した。
「うん。あと少し、だね」
幼さを感じる少女は和服に身を包み音が鳴らないように鈴を手に握っていた。
先ずは「鍵」を集めなくては行けない。
奴らは用意周到、油断も隙もなかったが、ようやくしっぽを出した。
どれだけ心を殺して居座ったか。
どれだけの憎しみを殺して平然と見せていたか。
「分かるまいよ……」
「ううん、分かってるよ」
憎しみに囚われた一言も慈愛の一言に包まれれば、自然と笑みが溢れるものだ。
だから余計に、この人を殺して明日を手に入れようなんて有り得ない。だったら、朝なんて来なくていい。
世界は滅んだらいい。
その為に今、私は……!




